紫煙を楽しむ
嗜好品としてのたばこ (その1) |
これから1年間がかりで、たばこのコラムを書くことになりました。たばこにまつわる楽しい話、悩ましい話などをわかりやすく解説していくつもりです。 ちなみに、筆者は、シガレット、パイプ、葉巻をこよなく愛する者ですが、ある時期に集中的に論文を書く機会に恵まれ、運よく薬学博士号を取得できました。 さて、初回のテーマは、「嗜好品としてのたばこ」です。「嗜好品」又は「嗜好物」という用語は、明治中期以降に我が国で使われるようになっていますが、英語には、ちょうど良い該当語が見当たりません。和英辞典を引くと、”luxury”とか”nonessential grocery”とかが出てきますが、適訳とは思えません。現代では、嗜好品は必ずしも奢侈品(しゃしひん)ではなく、酒、たばこ、コーヒー、茶など日常的に摂取しているものを指しています。もちろん、同じ日本人でも嗜好品の定義は、かなり異なっていますが。 筆者としては、嗜好品の定義は、「栄養摂取を目的とはしないが、なんらかの形で体内に摂取することによって、薬理成分が適度に作用し、満足度をもたらす物品の総称」とするのが適当と考えています。若い人の中には、ケータイとかTVゲームとか音楽とか絵画でも嗜好品だと言う人がいますが、前記の定義からすれば、それらは嗜好品には該当しないと考えます。なお、女性は、前記の典型的な嗜好品のほかに、菓子類(和菓子、洋菓子など)をあげる人が多い傾向にあります。 「嗜好品」の「嗜」は、「嗜み(たしなみ)」と読むことから、嗜好品を用いる際には、作法やマナーが求められます。したがって、酒やたばこのような嗜好品を楽しむためには、当然、作法やマナーが付随していなければならないことは、言うまでもありません。特に、最近では、喫煙マナーの悪い人が多いせいか、必要以上にたばこへの風当たりが強くなっていますので、マナーを守った喫煙で、快適に喫煙を楽しみたいものです。 |
川原遊酔(かわはらゆうすい) |