紫煙を楽しむ

紫煙を楽しむ

川原遊酔(かわはらゆうすい)の「紫煙を楽しむ」
喫煙の効用(その3)―喫煙によるストレス解消作用―

「たばこは百害あって一利なし」などと言われることがありますが、全くそんなことはありません。喫煙の効用とりわけ科学的な効用については、喫煙による二相性の作用(気分が昂揚している時の沈静作用及び気分が沈んでいる時の興奮作用)、注意力の向上、作業遂行能力の向上、ストレス解消作用等について、学術論文等で報告されたものが多い状況について、今回は述べたいと思います。

先ず、喫煙は作業遂行能力の保持・向上に有効であることが、K. Wesnesによって1978年に報告されています。また、喫煙には二相性の作用のあることが、R. Stepneyによって1984年に報告されています。つまり、喫煙には、覚醒レベルの状況に応じた調節作用(中立化作用)があるということです。更に、喫煙又はニコチンが注意力の向上に有効であることが、D. M. Warburtonによって1984年に報告されています。

最近では、脳波トポグラフィーという方法で、喫煙直後の脳波の変化が色別に分けて分析されています。結果は、個人差はありますが、前頭葉を中心として、覚醒脳波(アルファ2波)が喫煙により多く出現することが確認されています。

たばこは大人の嗜好品として、愛煙家それぞれが、何らかの形で喫煙の楽しみを見出しているのですが、上記のような喫煙又はニコチンによる精神作用は、愛煙家の喫煙の理由になっていると考えられます。また、T. Yanagitaは、1999年に「一般に満足が得られた状態ではストレスは緩和されるが、喫煙はストレスを緩和させ、あるいは緩和させたと感じさせる」と報告しています。

ここで、興味ある「ストレスへの対処法」に関する調査結果を具体的に示します(表参照)。

ストレスへの対処法

これは、2001年に発表された厚生労働省による保健福祉動向調査です。この調査結果によれば、たばこをストレス対処法にあげた人は、男性22.8%、女性7.2%でした。この時の喫煙率が男性55.1%、女性13.3%でしたので、男女ともおおむね半数の喫煙者が、たばこをストレス対処法としてあげていたことになり、いいかえれば、喫煙によるストレス解消作用が認識されていたということができます。

以上述べたとおり、喫煙には、科学的、実証的に報告された効用があるということができます。

川原遊酔(かわはらゆうすい)