禁煙ファシズムにもの申す

禁煙ファシズムにもの申す

5月31日の「世界禁煙デー」とやらに寄せて

5月31日は世界保険機構(WHO)が勝手に決めた「世界禁煙デー」だそうである。
まことに以て「余計なお世話デー」だ。

無責任体質で保身だけしか頭にない国際機関官僚(彼らは国際公務員だから所得税をどこの国にも納税しなくても良い極楽とんぼのオイシイ仕事である。筆者の友人がかつて国際機関を渡り歩く国際機関ゴロをしていたので、彼らのいいかげんな実態はよく知っている)が偉そうにご託宣を賜る「○○デー」とやらを相手にするつもりはないが、また出鱈目な数字を垂れ流していたので、敢えて筆を執る。

WHOによると「喫煙関連疾患の死者は年間490万人(2002年)」だそうである。世界で「喫煙関連疾患」の死者がそんなに多くては大変だが、世界人口は60億人。単純に割り算をすれば、0.08%にすぎない。

察するにWHOは呼吸器疾患による死者を無理に煙草にこじつけたのは見え見えだ。一体全体どういう方法で、そういう推計値を出したのか明らかにして欲しいところだが、彼らはその推計値に至る方法を決して明らかにするまい。疫学に出鱈目な操作を施したことが見え見えだからである。
またWHOによると「職場での受動喫煙で年間20万人が死亡している」との怪しげなことを吹聴している。悪乗りして「屋内全面禁煙」を加盟各国に勧告したそうだ。この20万人とやらの数字も詐術である。

WHO様、もしご反論があれば、その無くなった20万人の氏名を公表してください。

こうした馬鹿馬鹿しいWHO発表の垂れ流し記事に関連して、毎日新聞の元村有希子記者(科学環境部)が面白い記事を掲載していた。(2007年5月30日付け朝刊2面の「受信箱」)
この元村記者は掲載されたお顔を拝見するとなかなかの美貌と思われ、筆者は好ましい感じがするが、ご婦人だけに考え方がシンプルで筆致は直球である。実にわかりやすい。

要旨は

  1. 安井至・国連大学副学長(環境維持学)の興味深いデータによると
  2. 生命を脅かす「リスク」を客観的に測る物差しを作ろうと、日本人に身近な35の死因についての10万人あたりの死者を試算した
  3. トップは「たばこ」、最下位は「BSE(牛海綿状脳症)」。BSEはたばこの36億分の1の死者でしかない。
  4.  安井副学長さんの言を借りて、これほど低いBSEのリスクに政府が巨額の対策費を使用してきたことを批判。「マスコミはBSEへの遭遇確率を無視し、毒性を強調しすぎた」(安井副学長)
    ここからが元村記者の直球思考の面白さである。
  5. たばこは危険なのに許容され、牛肉は安全なのに不安がられる。
  6. そろそろ社会が「安全」と「安心」を切り分け、本来のリスクについて考える潮時かもしれない

―――と結んでいる。

元村記者は相当な煙草嫌いの方と「推計」されるが、要は「煙草は危険なのに、社会が許容しているのは許せない」ということを言外に言っているわけだ。

いかにも尤もらしい議論だが、ここですっぽり抜け落ちているのが安井副学長さんはなぜ「煙草」のリスクを取り上げながら、「自動車の排気ガス」「工場の煤煙や有毒ガス」「お隣の中国から黄砂とともに襲来する汚染物質」を35の死因に入れなかったのか???
という根源的な疑問である。

自動車の排気ガスの有害性を声高に言えば、自動車会社から圧力が加わるだろう。工場の煤煙や有毒ガスも同じだ。中国のすさまじい大気汚染を取り上げるのは、まずいという心理が働いたのかもしれない。こうした「お上」に楯突いた研究をすると、下手をすれば国連大学副学長のポストも失うかもしれない、という不安がおありになったと勘ぐってもおかしくない。WHOの煙草に関わる研究とそれに基づく推計値もこの程度の馬鹿馬鹿しいものなのである。

元村記者は世間の傾向に諂(へつら)った学者の根拠が甚だ奇怪な研究を根拠に、煙草の害を強調されたいようだ。

こうした論法を世間では昔から「ためにする議論」と呼ぶ。

多言居士
2007/05