禁煙ファシズムにもの申す

禁煙ファシズムにもの申す

嫌煙クレーマー

正月明けに、高校時代の親しかったクラスメイトが、ひょっこり訪ねてきた。彼は私のオフィスの近くの某名門ホテルの営業担当の支配人になっているが、年始の挨拶を兼ねて「今年も、宴会やパーティーはうちのホテルで是非宜しく」と営業に来たわけである。

昨年暮れに私は、その有名ホテルで甚だ不快な経験をしたので、支配人氏とは同級生で気安い仲ということもあって、早速、苦情を言った。

「昨年、君のホテルの若い営業担当者が来て、忘年会はぜひウチのホテルの直営レストランでお願いしますと言う。色々とサービスすると言うし、うちには女子社員も多いので、いつもの日本料理屋で一杯の忘年会もいいけど、たまには趣向の変わった忘年会もいいかなと思ったわけだ。そこで、君のホテルの直営レストランで開催することにした。費用は会社持ちということでね」

「夕方、早めにホテルに着いたら、玄関に君の部下が待ち構えていて、レストランに案内してくれた。なかなか気がつく奴だな、感心だなと思って、レストランに入ろうとすると、なんと入り口に『当レストランは禁煙です。お客様の理解と協力をお願いします』という小さな立て看板の表示があった」

「君の部下は私の事務所に時々顔を見せるが、私が愛煙家でパイプ党だということを、よく知っているはずだ。猛烈に腹を立てた私は、その場で彼に『二度とこの禁煙レストランは使わない』と通告した。彼は頭を下げて『申し訳ございません』をずっと連発していたが、私の気持ちは変わらない。あのレストランは二度と使わないことを改めて君に通告する。私は、その場で禁煙レストランをキャンセルして、近くの中華料理店に場所を変えようかと思ったが、女子社員たちがせっかく楽しみにしているからと思い、我慢した。1時間足らずで私は退席して、不快な気持ちで帰宅した」

支配人氏「それは申し訳ないことをした。私からも不始末をお詫びする。部下にはきつく注意しておく」と丁重に頭を下げた。

私「あの不快な禁煙レストランにはもう行くつもりは無いが、我々愛煙家に配慮して、きちんと分煙にすると言うなら話は別だがね」

支配人氏は「タバコの問題には、実はホテルとしても苦慮しているんだ」と深刻な顔で語り、実情を話してくれた。

以下、支配人氏の話の内容をかいつまんでご紹介したい。

マスコミで嫌煙論が10年ほど前からはびこりだしてから、タバコ嫌いの客が苦情を言い立てるようになった。ホテルにとっては喫煙者の方も、タバコ嫌いの方も、ともに大切なお客様だから、ロビーでの喫煙場所を制限したり、レストランを分煙にしたり、客室を喫煙室と禁煙室に分けるなど、バランスを考えてタバコ問題について対応してきた。

一応、これで、ホテル側としては、嫌煙論や禁煙運動に対する対応は済んだと思っていた。喫煙者の客も、ホテル側の分煙措置や喫煙場所の制限には良識をもって大人しく従ってくれて、特にトラブルも発生しなかった。

ところが、この1、2年、タバコ嫌いの人からの苦情が、異様に高飛車になってきた。苦情は電子メールから始まり、手紙、電話と手段を選ばない。直接、フロントに苦情を言って来る客は少ないところから、「ウチのお得意様は少ないと思う」が、業務の妨げになることが多く、正直、困っている。

以上、こんな内容だった。

説明をした支配人氏は「とにかく執拗で、攻撃的なんだ」とため息を漏らした。

私が「彼らの苦情はどんな内容なの?」と尋ねた。

「禁煙ルームに宿泊したが、隣の喫煙ルームから煙草の煙が漏れてきて気分が悪い」

「ホテルの喫煙ルームから、タバコの煙が漏れてきて気分が悪くなった。どうしてくれる」

「まだオタクのホテルは野蛮な喫煙を認めているのか。ホテルの経営姿勢を疑う」

「煙草の害毒についてのホテルとしての見解を求める。文書を出せ」

――あたりが苦情の主な内容で、「謝れ」「支配人を出せ」から始まり、「ホテル全館の全面禁煙」をしつこく要求するという。

支配人氏「何人か、異常にタバコを嫌う人たちがいて、一日に何回もメールや電話で要求してくる方が多い」「ウチだけじゃなく、他のホテルも大体、同じようにやられているね」

私「嫌煙パラノイアというか、嫌煙サイコというか、厄介な連中だね。そういう連中を人格障害型クレーマーとか言うんだろう? ところで、そいつらは徒党を組んで行動しているの?」

支配人氏「そこのところはよく分からないが、大体、同じメンバーが公共機関、JR、タクシー協会、ホテルなどにしつこくタバコの苦情を言い立てているようだね。喫煙者の側にはそうした行動を取る人は少ないから、結果的に嫌煙や禁煙ばかりの要求になってしまう」

支配人氏としばらく話をして、私は腹立たしく、暗い気分になった。
マスコミで、もてはやす「禁煙○○○」とかは、こうした嫌煙クレーマーさんたちの運動の勝利の結果だったわけだ。

このホームページには、諸先輩方の「禁煙ファシズム」・「禁煙ナチズム」への憂慮や義憤の記事が多く掲載されている。しかし、諸先輩方たちは、今の禁煙ファシズム、禁煙ナチズムを推進している連中の正体や実態についてあまりご存じないのではないだろうか。

まことに失礼ながら、「話せば分かる」とでも言うような、甘い考えの諸先輩もおられるように感じる。

我々、パイプ愛煙家は彼らの正体をよく知って、認識を新たにした方が良いと思って、慣れない筆を執りました。

伊達 国重
2008/01/29