禁煙ファシズムにもの申す

禁煙ファシズムにもの申す

子供の健全教育って?  ―その2―
<承前>

「皆でルールを決めたんですから、従ってください」この女教師さん、声がますます甲高くなってきました。腕時計を見ると、まだ授業参観開始時刻まで20分ほどありますので、この興奮している女教師さんにしばし付き合ってあげることにしました。博愛の精神の発露であり、拙者も我ながら、自分の物好きな博愛心が些か厭になります。

「皆でルールを決めたとおっしゃいましたが、皆とは一体、誰ですか?」

「職員会議で決めたんです」

「ほう。この小学校では、職員会議とやらで決めると、それがルールになるんですか?」

すると、この女教師さんは、ぐっと詰まりながらも

「職員会議で皆で、決めたらルールになるのは,当然じゃありませんか」

「ほう。驚いたな。職員会議には、そもそもそんなルールを決める権限があるのですか?」

「あるに決まっています」

「本当にあるのなら、権限を示す証拠を教えて下さい。たとえば学校教育法のどの条文ですか?」

「そんなこと知りません。証拠といわれても困ります。職員会議で皆で決めたんですからルールです」と言い張ります。

「では、校長さんは諒解したんですか?」と少し、助け舟を出してあげました。

「校長は関係ありません。うちの学校は職員会議で決めて、校長はその通りにする民主的な方法で物事を決めています」

「私は、学校長には権限があると思いますが、この○○小学校は、校長さんをないがしろにして職員会議で物事を決めるんですか?」

「校長は諒解しているんですから、問題ないでしょ!!!」女教師さん、興奮して声がますますうわずり、顔が真っ赤になっています。

「大いに問題ありますな。門のところに、学校の敷地内での禁煙に協力をして欲しい旨の看板がありましたが、誰が協力を求めているのか明示してありません。学校長とでも協力の依頼主が明記してあれば、わかりますが、依頼の主がわかりません。依頼主が明記していない以上、誰かが権限もなく勝手に看板を出している虞もある。依頼主が仮に校長さんでも、無茶で馬鹿馬鹿しい依頼には協力できませんが、依頼主が不明だとますます協力できません。あんたの言う職員会議とやらには、そもそも何の権限もないでしょうが」

「馬鹿な屁理屈を言われても困ります。そもそもあなたは、何の用事で学校に来たんですか?」

「屁理屈ではありませんよ。あんたの言っていることが、まさに屁理屈ですな。何の用事かと言われましたが、授業参観に来て下さいと学校から案内が届いたから、来たまでです」

「では、何年何組の誰のお父さんですか?」

「見ず知らずのあなたに答える義務がどこにありますか? そもそもそういうあんたは誰ですか?その運動服姿から察するに、この学校の教員もしくは事務員らしいが、他人にものを尋ねるときは、自ら名乗るのが最低限の社会規範でしょうが」と、ものの道理を諭しました。

するとこの女教師さん、完全に逆上したようです。

「警察を呼びますよ」と突然、ヒステリックな大声を出して叫びました。

授業参観に訪れて来ている他の父兄が、びっくりした表情で、押し問答しているこちらを遠巻きに眺めています。武闘派で鳴らす拙者も、なんだか決まり悪くなってきました。

「どうぞ、呼びたかったら呼んで下さい。ご自由に。あんたの勝手だ。不審者を見かけたら警察を呼ぶ権利は誰にもあります。ただ、私は授業参観に来てくれと言う案内が来たから、わざわざ来たまでだ。運動服姿のあんたが、名を名乗れというから、他人に名前を聞く時は、まず自ら名乗るべきだと言う社会常識をわざわざ教えてあげたら、警察を呼ぶと言う。私を不審者として警察に突き出すつもりですか? あんたはいささかオツムが錯乱しておりますね」

この女教師さん、何も言わずにくるりと後ろを向いて校舎に向かって走り出しました。

少しご婦人をいじめすぎたかな、とちょっとだけ反省。

とは言え、言いがかりを付けて来たのは、女教師さんの方です。

売られた喧嘩は必ず買って、言いがかりには倍返しで反撃するのが武闘派である拙者が自らに課した掟です。

「さあて、警察が来たら、また一騒動かな。だけど面倒だな」と思って、いつのまにやら消えたパイプの葉にライターで火を着けました。

自慢ではありませんが、先般、深夜、ほろ酔い加減で帰宅しようとしていた拙者をオヤジ狩りの対象にしようとした不良ども数人を叩きのめして警察に突き出し、この不良どもをマークしていた地元の警察署の刑事さんには大いに感謝されております。拙者は小柄で痩せて貧相な印象を与えるので、不良やチンピラ、ゴロツキどもは、拙者を意気地なしの弱虫と勘違いするようですが、実は、拙者は喧嘩が三度の飯より好きで、格闘技には些かではありますが、自信があるのです。

「パトカーのサイレンが聞こえないなぁ。あの女教師、本当に警察を呼んだのかな?」と思って腕時計を見たら授業開始10分前。わざわざ、校庭でぼんやり警察を待ってやっている義理もありません、そろそろ6年生の教室に行こうと思ってパイプに蓋をして消しました。5年生の長女は家内が授業参観することにしておりました。

すると、さっきの女教師が、同じ運動服姿の男教師2名を引き連れて、こちらに走って参ります。男教師の一人は、棒らしきものを持っております。拙者を武器で威嚇するつもりでしょうか。良い度胸です。

降りかかる火の粉は、払わねばなりません。

体内から沸々と戦闘意欲が湧いてきました。


(この騒動話は次回で大団円を迎えます。乞うご期待。愛煙家諸氏、今回も最後までご愛読ありがとうございます)

愛煙幸兵衛一番弟子
2008/06/10