禁煙ファシズムにもの申す

禁煙ファシズムにもの申す

北京の大気汚染の元凶は?

Wired Science Newsを読んでいたら、今年8月8日に開幕する北京五輪に関連して、北京の深刻な大気汚染状況について触れていました。

英文http://blog.wired.com/wiredscience/2008/07/pic-beijings-ai.html

日本語訳http://wiredvision.jp/news/200807/2008072821.html

こういう汚染都市で、五輪を開催すること自体がおかしいと思います。選手たちが気の毒です。IOCが北京での五輪開催を決めたのは間違いだったと言われてもやむをえないでしょう。日本ではあまり報道されないようですが、開催都市を決める権限のあるIOC委員に対して、中国の五輪招致組織は猛烈な「ロビー活動」を展開したそうです。ここで言う「ロビー活動」の意味は常識のある読者の皆さんはお分かりでしょう。この話は欧米では常識になっています。IOCの委員に就任するということは、大変うまみのあることのようです。

さて、中国政府は、五輪開催期間中だけの大気汚染軽減を目指しているそうで、諸施策を打ち出していますが、効果は乏しいとWired Science Newsは指摘しています。要するに大気汚染の元凶は、自動車の排気ガスと工場施設からの煤煙、建設工事の粉塵であり、これに北京特有の地形と気象条件が影響しているということです。

この記事を読んでふと思いついたのは、タバコを白眼視し、喫煙者を悪魔や魔女の如く嫌う嫌煙者諸氏は、なぜ大気汚染に甚だ鈍感なのかという根源的な疑問です。嫌煙者が自動車の排気ガス、工場煤煙、工事の粉塵に反対して諸々の活動や運動をしているという話は、私は寡聞にして知りません。思考パターンが偏頗な彼らは大気汚染には無頓着であり平気なのでしょう。日本で人権派と呼ばれる弁護士たちが、犯罪加害者の人権にだけ異様に敏感で、気の毒な被害者の人権には全く無関心であるのと実によく似ています。

嫌煙派の医者は、「肺癌は煙草が原因」「副流煙はタバコを吸わない人の健康を脅かす」と主張していますが、これは疫学の悪用もしくは誤用です。肺癌の原因は大気汚染であり、その元凶は自動車排気ガス、工場煤煙、建設工事の粉塵なのです。

その証拠に、第二次世界大戦前は欧米諸国、日本ともに成人男子の喫煙率は極めて高く、各国押しなべて80%前後だったのですが、一般に肺癌の罹患率は極めて低かったのです。当時、肺癌患者の比率が多かったのは、製鉄所や採掘鉱山などの煤煙、粉塵濛濛たる地域に限られていました。

近年、嫌煙者の反タバコ宣伝が奏功して、喫煙率は下がり続けていますが、これに反比例して肺癌患者の割合は著しく増えています。タバコが本当に肺癌の原因だったら、そういうことはありえない筈です。重ねて言うまでもなく、肺癌患者が増えているのは大気汚染が原因だからです。

この事実を隠蔽し、糊塗しようとして嫌煙派の医者は、様々な詐術を使ってタバコ主犯説を流しています。中には研究資金獲得目的の連中もいるかもしれませんが、科学者の端くれである彼らに、大衆を意図的に偽り、欺こうという邪悪な意図があるとまでは思えません。

私の大学時代の友人の中には、メディカルスクールに進学して医者になった者も多いのですが、その中でタバコを毛嫌いする彼らの共通点は思い込みが激しく、視野狭窄であるという点です。愚かにも反タバコの研究をすることが何か時代の流行であると信じているのです。そして彼ら個人のタバコ嫌いの個人的感情が優先するあまり、最初から「タバコは有害」という思い込みの結論に向けて、不誠実な前提条件を採用したり、研究結果を捻じ曲げたり、無理で強引な解釈をしても科学者としての良心が咎めないようになってしまい、しまいには自分で自分を偽って正当化してしまっています。

私の心から尊敬する宇宙物理学者C. Saganの著書[The Demon Haunted World : Science as a Candle in the Dark](邦訳:カール・セーガン 科学と悪霊を語る)にも、似非科学のメカニズムが語られています。また科学評論家のMichael Shermerの近著[Why People Believe Weird Things](邦訳:マイクル・シャーマー なぜ人はニセ科学を信じるのか)にも、一見科学的な装いを凝らした素人騙しのイカサマ理論の実例が多く紹介されています。

こうしたトリックを使った「研究成果」を嫌煙派の医者はマスコミに吹聴し、これを真に受けたエキセントリックな嫌煙運動の連中が真実のごとく宣伝しています。エキセントリックな嫌煙運動者やそのシンパサイザーと同類の偏狭で不寛容な精神構造の持ち主であるAdolf Hitlerは「嘘も百回言えば、真実になる」と嘯いています。エキセントリックな嫌煙運動者のプロパガンダは、不見識なマスコミの力を借りて、今や大衆に「真実」として浸透してしまっているのです。

嫌煙運動者諸氏に問い質したい。

あなた方は大気汚染とその元凶の自動車排気ガス、工場煤煙、建設工事の粉塵には甚だしく鈍感のようですが、なぜタバコだけに狂気のような敵意を燃やすのですか?

こうした偽善の二重基準に平気でいられるあなた方の歪んだ精神構造を、まず謙虚に自己反省し、それが出来ないようなら精神科医に分析してもらい、治療してもらうことをお薦めします。

Ebenezer von Scrooge
(原文は英語。日本パイプクラブ連盟事務局訳)
2008/08/04