禁煙ファシズムにもの申す

禁煙ファシズムにもの申す

タバコをとるか?麻薬をとるか?

このところ毎日のように、いや一日に何件も大麻使用で逮捕される若者が報道される。驚くほど急激に増えているのである。

この報道で思い出すのは、1992年6月、コロンブスの新大陸発見500年記念行事の一環としてウィーンで開催されたシンポジウムである。国際パイプ・アカデミーの会員として参加した筆者夫婦の他に、日本からはタバコ会社の社長とその随行員数人が出席していた。日本の専売制はオーストリーから学んだ経緯から、オーストリー・タバコ主催のこのシンポジウムに招待されたものらしい。

確かテーマは「タバコと社会」であったが、記憶にハッキリ残っているのは二つの講演である。一つはセビーリア大学で歴史学を講じる、ホセ・マヌエル・ゴルディージョによる「ヨーロッパのタバコ史」。16年前のことであるが、特に印象強く残っているのは、チューリッヒ大学の社会学の教授による「タバコの広告規制と麻薬蔓延の相関関係」である。

タバコの広告規制が厳しい国ほど、若年層で麻薬使用の増加が顕著であるという事実を統計調査に基づき社会学的見地から述べたうえで、行き過ぎたタバコ規制に警鐘を鳴らしたものである。この時期、わが国ではタバコの広告の是非についての議論が盛んであった。「日本のタバコ会社のご一行はさぞ喜んだことだろう。おそらく日本でもこの観点からの議論を展開するに違いない。」と密かに期待したものである。

ところがなんと、帰国後何ヶ月待っても何も聞こえてこないのである。いや、何年待っても「文化だ、伝統だ」の一点張りである。この極めて重要な報告が理解出来なかったのであろうか?あるいは、語学力?ドイツ語の講演は英語に同時通訳されていたし、ご一行には英語くらいは分かる随行者がいた筈である。それとも、単なる意識の低さだったのだろうか?

国際パイプ・アカデミーの同僚会員、オットー・ ポルナー(ドイツ人)は、青少年を麻薬の害から護るために、自費でパンフレットを作りパイプ喫煙を勧めていた。視野狭窄型でヒステリックな禁煙強制派の諸氏は、その主張する“たばこ撲滅”がもたらす大いなる害に気が付かないのだろうか?それとも、依然として未解決の自動車公害から目を逸らせるための謀略なのか?

失敗に終わった米国の禁酒法は単にマフィアを太らせるだけに終わってしまったが、禁煙強制がわが国の地下経済を太らせることは必至である。急激な大麻蔓延は明らかにその兆しである。ただでさえ、若年人口が激減しているのにその若年人口を麻薬で汚染してしまうのが“禁煙の強制”である。

国際パイプ・アカデミー評議員 鈴木達也
2008/11/10