禁煙ファシズムにもの申す

禁煙ファシズムにもの申す

「分煙」で仲良くしませんか?

アンデス山中の野生の植物に起源を持つナス科のタバコは、16世紀に喫煙の風習がイングランド、オランダに広まり、17世紀中葉までに中部ヨーロッパ全域に広まったという。日本には中部ヨーロッパより早く鉄砲伝来の頃からしばらくして入ってきたようだ。葉たばこ最大の生産地であった北米大陸では「パイプたばこ」からはじまり、独立戦争の時代に「噛みたばこ」が登場してヒットした。以後「巻きたばこ」が製造されるようになると主流になる。


日本にたばこが伝来すると、たちまち喫煙の風習が広がり、国内でもたばこの栽培が始まった。江戸時代には刻みたばこが全国に広がり、ものづくりが得意な日本人は、キセル、たばこ入れ、たばこ盆、煙草入れを帯に挟む根付などを工夫して作り出し、実に凝った細工物が珍重された。


たばこは嗜好品を越えて文化となり、芝居や浮世絵にも名脇役として不可欠となる。

明治になって紙巻タバコが外国から入ってきてやがて主流となる。こうして400年の長きにわたり続いてきた日本のたばこは、今や「悪の華」として人民法廷の場に引きずり出されている。

そして「肺ガン造成罪」で判決を待つのである。


私は40年間のピース愛煙家としてたばこの弁護人となろう。


≪ネズミによるたばこの害実験≫

元来、大の医者嫌いで、理科系が苦手の私には肺ガンに関する専門知識がないので、この項はもっぱら他人様の理論を引用させていただく。


「医学常識はウソだらけ」(三石巌著)におもしろい記載があったので引用する。


『 かつて、日本でこんな動物実験が行なわれた。

実験台になったのはネズミである。人間と同じ雑食動物であるため、動物実験にはネズミが使われることが多い。その研究者は、ネズミを動けないように固定して、口に無理やりタバコをくわえさせて火をつけた。

一本だけではない。次々に新しいタバコをくわえさせ、火をつける。いわばチェーン.スモーキングの状態である。


いや、その本数は人間のチェーン・スモーキングとは比較にならない。

人間の体格に換算すればおよそ200本分に相当する本数のタバコを、毎日ネズミに吸わせたのである。


この実験の結果、ネズミはどうなったか。そう、肺ガンになった。

今や「タバコは肺ガンの原因になる」というのは常識中の常識となっている。

だが、この学説の根拠となったのは、実はこの動物実験なのである。


これを知って、あなたはどう思うだろうか。

「なるほど、たしかにタバコを吸うと肺ガンになるんだな」と単純に納得した人は、ちょっと考え直してもらいたい。喫煙の習慣を持っている人間だって、一日に200本ものタバコを吸うのは尋常ではない。

中にはそれぐらい吸うヘビースモーカーもいるかもしれないが、そういう人はタバコが好きなのだから喫煙自体は苦にはならない。


しかし、ネズミにタバコを吸う習慣はない。

そのネズミが200本ものタバコを無理やり吸わされれば、想像を絶するストレスを受けたはずである。それを考えただけでも、喫煙と肺ガンの因果関係は怪しくなってくる。

それでもまだ、この実験結果に説得力を感じている人には、もう一つの事実を伝えておきたい。たしかにネズミは肺ガンになったが、それは100匹のうち数匹にすぎなかったのである。


それぐらいのパーセンテージなら、肺ガンはタバコを吸わせなくても発生する。したがってこの実験結果は、むしろ喫煙と肺ガンのあいだに因果関係がないことを証明したようなものだという見方もできるのである。


どうだろう。当たり前すぎるほどの「常識」だと思っていた学説にしてからが、この程度の根拠に基づくものだと知れば、たいがいの人は驚くに違いない。


しかし、それが現実なのである。しかも、この実験によって喫煙と肺ガンを結びつけたのは、国立がんセンターの疫学部長だった人物である。いかに権威や肩書がアテにならないかを象徴するような話ではないだろうか。余談だが、皮肉なことに、この元疫学部長は肝臓ガンで亡くなったという。


では、タバコと肺ガンがまったく無関係かというと、そうではない。

結果的に、タバコの煙が肺の中に活性酸素を発生させるからである。肺の中には、肺胞マクロファジという掃除屋(スカベンジャー)がいる。これが肺に溜まったゴミを取り除いてくれるわけだが、その清掃作業の際に活性酸素を発生させるのだ。だからタバコと無関係とはいえないわけである。


だが、活性酸素の発生にタバコだけが関わっているわけではない。

肺の「掃除屋」を忙しくさせるという意味では、むしろ大気汚染のほうが罪深いと言えるだろう。たとえタバコを吸わなくても、汚染された空気を吸い込んでいれば同じことである。タバコの煙が加わればいくらかリスクは高まるだろうが、少なくとも「タバコが肺ガンの原因だ」と大声で叫ぶほどの因果関係はない。


それを強調することによって、もっと重要な大気汚染という害が見えなくなることのほうが問題だと、私は考えている。

肺ガンを減らしたいなら、タバコ会杜のCMを規制するより、自動車の販売台数を制限したほうがよほど効果的だろう。いずれにしても、重要なのはタバコや大気汚染そのものより、それによって発生する活性酸素である。何度も繰り返しているように、この電子ドロボーを退治すればガンは抑えられる。


たとえタバコを一日に200本吸っていても、それに見合うだけのスカベンジャーを摂取していれば、傷ついた細胞はきちんと修復される。だから私は、人に「タバコをやめなさい」といったことは一度もない。たしかにタバコには、一本吸うたびに血中のビタミンCが200ミリ減るというデメリットがある。これはおそらく、ビタミンCが活性酸素を退治するために消費されるからだろう。

だが、それもスカベンジャーを摂取していれば解決する。

「健康に悪いからやめなければ」と無理に禁煙する人がいるが、むしろそのときに感じるストレスのほうが健康に悪いといえるだろう。

吸いたいのを無理やり我慢すればするほど、体は強いストレスを感じてしまい、喫煙しているとき以上に活性酸素を発生させる。

本末転倒とはこのことである。 


≪たばこを吸うと頭がよくなる?≫

イギリスの研究から。

イギリスのレディング大学ワーパートン教授は被験者を喫煙グループ、非喫煙グループ、 ニコチン投与グループにわけ、簡単な数字のテストや単語テストを行った。

その結果、喫煙グループとニコチン投与グループは正解率、反応時間、記憶力ともに群を抜いて良かった。

まあ、これは簡単なテストではあまり信用できないが、ラットなどの実験で迷路学習能力が上昇したという報告もあるのを弁護人としてはあげておく。


≪喫煙者はアルツハイマーにかかりにくい≫

アルツハイマー、パーキンソン病、それに潰瘍性大腸炎などの患者には、喫煙者が少ないというデータがある。アルツハイマー病は脳細胞が萎縮し、自己の行動や周囲の状況を認識することが正常に出来なくなる病であり、確固とした治療法がいまだに見いだされていない難病である。


アメリカの学者の研究で、喫煙者がアルツハイマー型痴呆になる危険率は、たばこを吸わない人よりも22%も少ないという報告がある。

イギリスでも喫煙者が痴呆にかかるリスクは、たばこを吸わない人より31%低下すると学者が発表している。しかも共通しているのは1箱以上吸う人はさらにリスクが低いとしている。

月刊誌「Forbes」(フォーブス・日本語版)2007年11月号によれば、アルツハイマー患者の認知障害にニコチンを使用した薬を投与しているそうだ。血圧上昇などの副作用もあるが、最近では治療効果だけ抽出することを研究しており、近いうちにその成果が報告されるだろう。

また、イギリスの心理学者の調査によると、老人ホームでは喫煙者のほうが対人関係が良好で、健康レベルも高いという報告もある。

日本では片山宗一・獨協大学名誉教授の研究で、軽い痴呆患者の肌にニコチンパッチを1ヶ月貼ると脳の反応が改善され、表情も生き生きすることが多くなったと発表した。

最近のニコチン利用の研究では、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、黄班変性症、鬱病などの治療薬として医学界では注目されている。


≪受動喫煙で肺ガンになることはない!≫

「受動喫煙」という言葉を編み出した平山雄氏(当時国立ガンセンター疫学部長、1966〜82年に調査)は、動物などの気管を切除して強制的に濃縮した副流煙を浴びせたり、塗ったりするという実験をして、数値を作りあげた。

これらの実験の科学的な信頼性には大きな疑問があると多くの医師たちが指摘する。大気中の副流煙は数千倍から数万倍に薄められているのだから。また疫学的な調査による結果も、副流煙の害に関する決定的な証拠はない。


≪嫌煙運動でも象徴的に使われる「黒い肺の写真」について≫

この写真は、中・高教育の保健体育の教科書でも紹介されているが、1日30本以上、30年間たばこを吸っていた人の肺と、交通事故で亡くなったノンスモーカーの肺と比較しているもの。

「黒い肺」はかなり衝撃的なので、確かに肺ガンになりそうだとか、たばこは体に悪いと思わせるアピールには効果的である。


ところが、この写真は極めて怪しい。


埼玉医大の研究によれば、人間の体内の細胞は新陳代謝によって日々更新されるから、肺も同じで、タール分が蓄積していって肺が真っ黒になるなんてことは有りえない。肺が黒くなるのには別の要因があって、喫煙が原因ではなく、大気汚染・職業暴露・加齢が主たる原因らしい。

そもそも、非喫煙者は喫煙者と違って、煙を肺の奥まで吸い込んで体の中に取り込むということはないのだから、実際には「受動喫煙」などという現象そのものがありえない。

窓を開けたり、換気をすれば十分に防げるもので、ましてや屋外で影響を受けるというようなことはありえない。

日本の喫煙率は、男性は年々下がり、女性は増えている。しかし、喫煙総数としてみれば減少している。しかも、日本も含めて世界のたばこの売上は低減傾向にある。

これにたいして肺ガンは年々増加している。

肺ガン増加は日本だけの問題ではなく、世界中で起こっている。それも都市部での増加が特徴である。日本の自動車台数は1975年からの30年間で、3000万台から、7700万台へと、2・5倍に増えている。

これに比例するように、肺ガン死亡者数は、1975年の1万4759人から30年間で、2005年には6万2063人でおよそ5倍に増加している。2005年5月、石原慎太郎東京都知事がディーゼル車の排気ガス汚染規制条例を制定したが、これは大正解。これまで放置していた全国の知事と厚生省の責任は重大である。


どうも「車の排気ガス」が真犯人くさいのだ。


≪オバマ大統領の禁煙≫

タイム誌のベテラン・コラムニストのマイケル・キンズレー氏が20日のワシントン・ポストへの寄稿で「たぶんオバマ氏は禁煙したとウソをついているようだが、それでも構わ

ない」と書いた。

キンズレー氏はさらに「オバマ氏がたとえ喫煙を続けていても米国民にそのことを明らかにする限り、私たちは許容すべきだ」と。

大統領としては若者の模範となるためタバコは止める方が好ましいが、「オバマ氏の冷静さは米国の財産であり、氏がその冷静さを保たせるために喫煙が必要だというのなら、われわれはオバマ氏にタバコを提供し、火をつけてあげて、あとは横を向いていよう」と書いた。


禁煙運動が盛んなアメリカでさえ、喫煙が冷静さを保ち、頭脳を明快にさせることを認めている。

この辺はさすがに個人主義の国だけあって喫煙者の人格までは否定しない。


ところが最近の日本の禁煙運動は過激すぎないだろうか?

運動の旗手である神奈川県の松沢知事はあらゆる職場を禁煙にすると発表して、温泉や娯楽関係者から抗議が相次いだ。

しかし、県の譲歩は禁煙と分煙をせよ、さらにこれは3年の猶予期間をもうけるだけのつれない回答である。

日ごろの仕事から解放されて、仲間とお酒を飲み、愉快に騒いでいるときに、突 然仲居さんがやってきて「たばこを吸わないで下さい。2万円罰金をいただきます」と告げる。

当然客はしらけて「こんなところ、二度と来るもんか!」と怒りをもったまま帰るだろう。

神奈川県は箱根・湯河原が温泉地として名高いが、そのすぐ西には静岡県の熱海がある。


客が熱海に場所を変えるのは時間の問題だ。


風評被害は大きい。平成22年4月1日からの施行であるが、すでに湯河原の宿泊客は激減して旅館は閑古鳥が鳴いている。


パチンコ業界も禁煙を迫られている。静岡県の浜松では全館禁煙をキャッチフレーズにしたパチンコ屋ができたが、連日ガラガラで、強気だったオーナーもすぐに喫煙席を設けて「分煙」にした。それでも岐阜や愛知県では全国チエーンの大手の会社が「禁煙パチンコ店」をやりだした。

さて客は来るのか、お手並み拝見といきましょう。


もともと人々がくつろぐ場所に禁煙は野暮なのである。

それ以上になぜ松沢知事はあんなにヒステリックなのだろうか?


私は幼いころ、老夫婦が農作業の休憩時に布製のたばこ入れから刻みたばこをつ

まんでキセルにつめ、おいしそうにたばこをくゆらせていたのを見たことがある。旦那さんが吸い終わると奥さんもお茶を飲み終えてキセルでたばこを吸っていた。


夫婦の情愛が通い合う風景で、いまだに忘れられない。


たばこには習慣性があるが、マリファナや覚せい剤のような常習による人格破壊は起こさない。以前私はインドのヒマラヤ地方で合成麻薬を飲んだ人の異常な苦しみを見たことがある。水もお粥も、なにも受け付けない「カラの吐き気」にみまわれて、何時間も苦しみ続けていた。たばこを禁止し、マリファナを許可したらいいなどという妄言さえも聞こえる禁煙運動には反対である。


日本人は「健康で長生き」ということばに騙されている。お釈迦様でさえ80歳で寿命を終えられたのに、100歳まで何の病気もなく生きるのが当然のように勘違いしてはいないだろうか?

人間は誕生した時から死に向かって生きているのである。

不老不死の妙薬など存在しない。


還暦を迎えたら「死の哲学」を勉強することをお勧めする。

忍者ものの代表作家であった山田風太郎氏が世界の著名人の死期を書いた「人間

臨終図鑑」が楽しく読めるので是非御一読あれ。


さて判決は、たばこの弁護人としては当然無罪。


私はたばこの力を借りなければこの原稿は書けないのです。

「分煙」でお互い仲良くやっていきませんか?

岡崎渓子:東洋史研究家
2009/03/25
(救国の提言第15話より転載許諾)
以下は、執筆者の岡崎渓子氏からのメッセージです。(PCJ事務局)

※皆さんからのご意見をお寄せください。
岡崎けい子のホームページhttp://www12.ocn.ne.jp/~okazaki8/
メールアドレス okazaki88@mocha.ocn.ne.jp

主要著書 「おんな独りアフガニスタン決死行」/岡崎溪子 出版:アルファポリス http://item.rakuten.co.jp/book/1557590/
「シベリア決死行」アルファポリス刊
「三仙洞探検記」文芸社刊