パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

「50にして煙を知る」第26回 師走来る 今年も例会で締め

千葉科学大薬学部教授 小枝義人

「わがJPSCは総会で始まり、総会で終るというわけで、、、」と世話人の梶浦さんの言い得て妙な挨拶で、恒例のJPSC2010年年次総会・忘年パーティが12月4日夕、催された。

だらしのない臨時国会とは一味違う、「熟議と大人の集まり」の参加者は60人くらいであろうか。

会員ばかりでなく、タバコやパイプメーカー、他クラブの方々も集まってくるのは、JPSCの歴史、懐の広さ、深さもあるのだろうが、長く育まれたパイプ仲間の友情が、底流にあるのだろう。

脇で眺めていると、そういう空気が伝わってくる。土浦の全国大会から半月しか経っていないが、水戸クラブ会長の大金誠さんは地元のお酒を差し入れ、元気なお姿で友情を交換している。

この日全線開通した東北新幹線で青森からやってきてくれた平木さんは、その新幹線がいきなり2時間遅れて、特急券が払い戻しされたエピソードを披露し、会場が沸いた。

今年のロングスモーキング優勝は小泉さんが9月に2グラムで99分という非公認の世界怪記録を樹立したため、3連覇を達成。 二位の平野さんは「2グラムで99分吸われちゃ、かなわんよ」と苦笑いしながら準優勝の楯を受け取った。

特別表彰はレディーススモーカー部門でかつて唯一、日本人でレディースチャンプに輝いた市川澪さん。御礼の挨拶での数々の逸話は大変面白かった。

子どもの頃、職人だった父親がチェーンースモーカーで、脇にいる娘の彼女が子どもの頃からタバコに火をつけて渡していたのが、タバコとの出合いだったそうだ。物心ついたときはタバコがあったということか。すごいね。

ダンヒルの会長からプレゼントされた特製パイプの実物も披露してもらったが、こういうのはやはり英国や日本が重んじる栄誉、友情、文化に通じるいい話だ。「日本はいい国なんだな」と感じるひと時だ。

さて、セレモニーが終われば、お楽しみタイムのビンゴゲームである。「はずれなし、参加者全員が大きな福袋の商品を持ち帰れる」というのが、JPSCビンゴのすごさだ。毎回参加の人の目当ては築地の果物セット。これが豪華なんだ。

残念ながら、今回私は当たらなかったが、私の袋にはシャレたベント型の小型パイプが入っていた。オランダ製のビッグベン。

仲間に聞くと「まじめなメーカーだから、きちんと吸える。小型だから、ポケットに入れて散歩に持っていくタイプだね。いいパイプだよ」との答えが返ってきた。

そうか、散歩用か。

全国大会で72分という自己新記録達成、健康でつつがなく過ごせたことで充分幸せだったと、一年を振り返るのが、この総会だ。

福袋を抱えて、二次会は失礼して早めに帰路についた私でした。

背中に中年パイプマンの哀愁が沁み出ていたかしらん。