パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

「50にして煙を知る」 第36回JPSC 今年の総会風景からみえたもの

千葉科学大薬学部教授  小枝義人

成績上げよう!

師走1日、今年、創立45周年を迎えたJPSC・年次総会が銀座の中華料理店で開かれた。
恒例行事がいつもどおり行われるのは、平穏な証だろう。政治、経済、外交、問題山積であるが、それでも世間では「昨年の大震災を思えば、今年は平穏なほう」と認識するほうが、常識なのだろう。

なんとか1年間生きてきた会員の穏やかな表情を見れば、「まあ無事でよかった」と実感する師走のスタートだ。 参加者は40名ほどだろうか。今年、日本パイプ連盟会長に就任した梶浦さんのあいさつは、さすがにツボを心得ている。

「30周年の時、会長だった岡部さんが、まさか30年続くとは思わなかったとおっしゃったが、それからまた15年続いてしまいました」までは、なんてことはない。

「それにしても全国でいちばん会員の多いわがクラブの、コンテストの成績が振るいませんなあ。ひとつ50周年に向けて、大きな目標でも掲げて、成績もアップさせようじゃあありませんか」。会場から笑いが起きる。

「そりゃ、練習しない伝統、DNAだもん」とかわすには、御大の言葉だけにそうも言えないが、、、和気あいあいと酒、料理もすすみ、表彰に移る。

年間通算成績1位は5連覇達成の小泉さん。私が入会してからずっと彼が年間優勝者だ。「なぜ勝てるのかわかりませんが、、」とおトボケの挨拶も、御大の言葉とシンクロさせれば、みんなロングスモーキングなんか、あんまり気にしちゃいないからでしょう。

過去のレコードは故外川さんが、7回優勝だそうだ。私はまったく圏外の人間ですから、感心して3位から優勝者まで贈られる楯を眺めていただけだ。


今年の獲得品

「それでお前、この1年でなにか得たものでもあるのか」と問われれば、仕事じゃなんにもありませんが、そうそう、ひとつあります。

バンブー佐竹さんが、タンパーばかりでなく、パイプも造ってしまうことに感じ入ったことである。

煙道がバンブー(竹)の見事なパイプ作家ぶりを見せ付けた逸品がこれだ。

秋だったか、久しぶりに会った際、がくわえていたが、「ほお、ちょいと貸してもらえませんか」と咥えたら、「ううむ。あんたに似合いすぎるから、取り上げる気にならなくなった」と、即、マイ・パイプとなった。

実はもうひとつ、小ぶりのものもいただいたが、このロングタイプのほうが吸いやすい。晩秋から初冬にかけ、もっぱら吹かすのは、このバンブー佐竹パイプである。

「そういやぁ、あいつ、最近なんにもやっとらんなあ。傑作パイプまでわざわざ2本も贈ったんだから、なにかひとつ書いてもらわんとなあ」。

バンブー佐竹さんのつぶやきが、私を机に向かわせた。いけしゃあしゃあとしていられるほど図々しくはないし、ものにも弱い。来年も彼からのギフトを待ち続けるには「書くしかないか」。

性格をよく見抜いているわ。

それにしても師走に総選挙と都知事選―。今年は世界中が選挙イヤーだったから、わが国もいっぺんブラッシュ・アップしたほうがいいか。

選挙とパイプ、煙とともに去る2012年の師走、である。