パイプの愉しみ方
JPSC四月特別例会 マックバレン社チーフブレンダー勉強会
日本パイプスモーカーズクラブ(JPSC、関口一郎代表世話人、東京・銀座を拠点に活動)は、4月23日夕、東京・東銀座の喫茶店カフェ・ジュリエで4月特別例会を開催した。デンマークのパイプたばこ製造会社マックバレン社のパー・ゲオルグ・ヤンセン(Per Georg Jensen)チーフブレンダーを招き、パイプたばこのブレンドについて約2時間にわたってじっくり講演してもらった。
講演に先立ち、今年五月に満百歳の誕生日を迎える関口一郎JPSC代表世話人と梶浦恭生日本パイプクラブ連盟(PCJ)会長が、ヤンセン氏を出迎えして挨拶した。今回のヤンセン氏の講演の実現はJTアイメックスの蒲池光社長の格別のご尽力によるもので、JPSC会員一同、蒲池社長とJTアイメックス社に深く感謝したい。
蒲池社長は挨拶の中で、マックバレン社は1826年創業、1887年から本格的にパイプたばこ製造を始めた老舗で、現在、世界第2位のパイプたばこ製造会社に発展し、JTが販売するパイプたばこをOEM生産していることなどを紹介。ヤンセン氏については「たばこプロフェッサー」の愛称があるマックバレン社のトップブレンダーで、同社に入社前は25年間に亘ってパイプ製造の職人だったことなどを披露した。
続いて講演に移り、ヤンセン氏はまず自己紹介するとともに、マックバレン社の歴史を、創業者一族を紹介する形でスライド写真で振り返った。現在のマックバレン社4代目オーナーのヘンリック・ハルバート氏については「美味しいたばこ葉を求めて世界中を飛び回っており、とても良質のたばこ葉を買い付けてくる。時々、あれれ?と思うような珍しいたばこ葉を買ってくることもあるが、彼が自分のお金で買ってくるので社内ではだれも文句を言わない」とユーモアを織り交ぜて紹介した。マックバレン社では、デンマーク・スヴェンドボルグの本社倉庫に常時3000トンのパイプたばこ葉を貯蔵、保管しているそうだ。
続いて、たばこ葉についての説明に移った。現在、世界中で栽培されているたばこ葉の祖先は中南米原産の原生種ニコチアナ・タバクムがルーツで、マヤ族が神と交信する宗教儀式に使い出したのが始めだろうと推測されており、コロンブスが旧世界に広める前には、カリブ海を越えて北米にも喫煙の風習は広がっていた証拠があるなどと述べた。
シガレット喫煙とパイプ喫煙の違いでは、「喫煙と言ってもシガレットとパイプでは全くスタイルが違う。シガレット喫煙は肺に煙を入れるが、これはニコチンを注射するようなもの。パイプ喫煙は舌で煙を味わい、口腔の粘膜からニコチンを吸収する。美味しいたばこの味を楽しむことができる」と述べた。
本論のタバコ葉の説明では、バージニア(黄色葉)、バーレー、ラタキア、オリエント、ダーク(・)ファイアード・ケンタッキー、ペリクについて実物のサンプルを示しながら薀蓄を織り交ぜて詳しく説明した。「キャベンディッシュは葉の種類ではなく、加工葉のこと。原材料がバージニアのものと、ダークファイアード・ケンタッキーのものと二種類ある」とも。
美味しいパイプたばこのブレンドの仕方、たばこのカットの違いとそれぞれに適した喫煙方法など講演内容は多岐に渡り、予定した2時間があっという間に過ぎてしまった。JPSCの会員はパイプ喫煙歴80余年の関口代表世話人をはじめ、喫煙歴半世紀、40年、30年など錚々たる者揃いだが、皆、神妙な面持ちで聴講。質疑応答では専門的で熱心なやり取りが続いた。また折から来日中のスウェーデン・パイプクラブ会員のペレ・ブロムスター氏(Pelle Blomster)も、講演の噂を聞きつけて急遽ゲスト参加し、国際色豊かな特別例会となった。講演後は場所を替えてヤンセン氏を囲んで、有志で懇親会を催した。
ヤンセン氏の講演の詳しい内容は、日本パイプクラブ連盟の会員専用欄に近く、録画を掲載して紹介します。お楽しみに。