パイプの愉しみ方
煙道縦横
先日、丁抹(デンマーク)遠来のパイプ煙草ブレンダーの話を聞く機会が在り、妻と離婚する最も簡単な方法等興味深い話題が満載であった。
就中、フレークを充填する2つの方法の説明が興味深い。一つは勿論揉み解して普通に詰めるのだが、板状のまま半分に折り丸めて二,三回捻りボウルに詰めると違う味が楽しめるとの事である。その際、少なめの量をバラバラの端を下にして入れ、密度は後のタンピングで調節する。燃焼ガスが縦に並んだ煙草の繊維の間を通り揮発成分を抽出するため、喫味が濃くなるらしい。試みてみると確かに煙草らしい味がする。フレークが無いときは、レディラブドを細長く纏めて縦に入れても同じような効果がある。
パイプを始めた頃は、キャンプファイヤーの要領で互い違いに横積みする等と教える半可通が居て永く横積みをして来たが、新しい世界が未だ存在するようである。横積みは火の伝播が不連続なのでロングバーニングには向いているが、後半の喫味が炭化した葉ばかりで蘞辛っぽい嫌いがある。今回の充填法の方が、短いが充実したスモーキングが味わえるのではないか。
早速某長老に御注進に及んだところ、そんなことは疾うの昔に、今は無きPIBE DAN*の親父に教わった事だと言って鼻にも懸けない。しかもバラバラの端を上にするほうが火を付けやすいと聞き入れる様子もない。この話には、スパンカットの詰め方という続きが在るのだが教えるのは止めにした。
ところで冒頭の離婚する方法は、ラタキア葉を妻の目の前で吸い続けることだそうで簡便極まりない。悪妻に悩まされていたソクラテスが聞いたら落涙ものだろう等と言っていると、お前は煙草伝来の基本も知らないのかと何処からか罵声が飛んで来そうである。
綴り間違いではない往時の買物袋[*]
丹波作造