パイプの愉しみ方
「アンネ・ユリアさん、マンデュエラさんが静岡パイプクラブにやってきた!!」平成25年10月30日(水曜日)19:00~
デンマークの映画製作でアンネさん、マンデュエラさんの二人の女流作家が来日し、世界遺産となったMt.富士を眺めて、静岡PCのパイプ仲間と語らう。そんなプランを柘恭三郎氏から聞かされたのは9月中頃。驚いた。杉山s( sは当クラブのスモーカーの敬称)がシカゴの大会でアンネさんとお友達?になったとは聞いていたが。
<準備>
例会に立ち寄るとのシチュエ―ションだが、撮影もあって普段の部屋では狭すぎ、同じくC会館の最上階ラウンジを、料理も静岡の 地産地消メニューに。杉山sが手配した。望月会長が、洞爺湖サミットでG20の首脳が乾杯した日本酒焼津産「磯自慢大吟醸限定品」を調達した。鈴木敏朗sはデンマーク、日本、連盟の小さな旗を製作。あとは普段通りに例会。一行が宿泊するホテルの徳川慶喜ゆかりの日本庭園も拝観できる様に手配した。
<来静>
上海から来日するアンネさん、マンデュエラさんと2人の女性映画スタッフを柘恭三郎氏がエスコートし、当地で準備の柘社三井常務と合流し、まず杉山sのたばこ店(お店の紹介広告参照)を取材、その後クラブ例会にとの手筈。ところが中国からの飛行機が遅れ、例会に直行となった。
会館入口で望月会長夫妻と杉山s、西村s、西村fsで出迎え。ゴ・オフトゥン(今晩は)とデンマーク語で。柘氏「何で知ってるの?」と。挨拶くらいは知っておこうとCD付き会話本で勉強するつもりが、デンマーク語は難しく、モノになったのはゴ・オフトゥンとマング・タック(有難う)だけ。大体、本のカタカナ表記とCDの発音が一致しないのです。そう言えばアンネ・ユリエか、アンネ・ユリアかといった具合。エ/アとでも表しておくか。
<会場のパイプ展示>
三井氏がアンネさんとマンデュエラさんの作品ブースを設営。
ご存知アンネさんのパイプは花とか女性の脚のモチーフなど、既にコンテンポラリーアートの域。絵画も展示。非常に高価です。麻布円とか言う日本円とひとケタ違う通貨レートか?と思う程。それがこんなに沢山。どれも独特の表面処理ですが言葉では伝えられません。世界最高水準のパイプは写真でご覧ください。
マンデュエラさんの作風は小振りな物も多く異常なまでに精密な作り、とにかくカラフル。写真で分かり難いのですが、マウスピースやシャンクの配色が今までに見た事の無い色合い。特にグレーの特注エボナイトは官能的。超売れっ子作家で、これだけの物が揃うことも珍しいとの事。彼女のオウンパイプも拝見しましたが、特別な緻密なグレインでした。
二人ともパイプ以外のデザインもしているとの事。
<例会>
一行が会場に入るとパチパチとメンバーが歓迎。これで総勢24名に。撮影も開始。
司会は杉山s。柘氏とアンネさんが出会った37年前はお二人とも若かった美しかったと言う両人のスピーチの後、望月会長の「簡単な?」挨拶と乾杯の音頭。当クラブ例会は、会長の「いただきます」で始まり、後は殆どフリートーキングです。今回もその通りで、以後、会員達は勝手に活発に動き出す。語学力はそれぞれですが、パイプの話なのでニュアンスは伝わります。
<鑑定やいかに>
小生が持参した、アンネ作と言われている銀のタンパーを通訳係の柘氏、三井氏を介して「覚えていますか?」アンネさん赤いメガネケースから赤いメガネを取り出し、じっと見る。「覚えてないわ」残念。次に、これはアンネ作に決まっている70年代のパイプ。長く見つめた後「当然覚えている。Very Good. この頃は木が良かった。」と。Thank you. と握手。とても柔らかい手です。
<会員作のパイプを見てもらう>
鈴木敏朗sの作ったパイプ。彼は色々と作れるのですが、一番普通な一本を見てもらいたかったのです。アンネさんはコンサバティブな物も得意。評価は上々。Goodとの事。テーブルの小鍋で煮えている桜海老が彼のパイプ刻印である事を説明。
次に榊原s、柘社工場見学でもらって来たブライアー端材からボールを作り、ほてい竹に赤のラッカーで仕上げ、マウスピースは何やら白い樹脂。銘打って「レディー・ガガ」
アンネさんの脚のモチーフとは何ら関係ない筈でしたが、アンネさんは手に取り喜んでいました。後で見たアンネさんのオウンパイプと、なんと同じ色使い。金属のスタンドも似た発想。榊原sは天才でしょうか。
<牧田sが梅田晴夫本で>
牧田sが70年代の梅田晴夫著「パイプ七つの楽しみ」などを二人に説明。アンネさんも当時の日本のパイプブームを懐かしむ。マンデュエラさんに至っては牧田sにと一旦サインした本を買いたいと。柘社に同じ本があり差し上げる事になった。イルステッド氏の記事があった為。彼女はイルステッド氏のファミリーでした。先の東京大会パイプショウのブースで見たイルステッドの小型パイプの作風にマンデュエラさんのパイプと共通点が有りました。賛否両論の梅田本ですが資料的価値が実証されました。
まだ若いはずの牧田s、日本のパイプファンを代表してか、「アンネさんは我々の憧れでした」と言おうとしたが「憧れ」の英訳が見つからず、皆で考え込んでしまいました。しばしの沈黙の後、柘氏がアイドルだと気付き、「You are the Idol.」一同爆笑。キョン2か森高か?
<松田s熱心に取材>
松田s、アンネさんの花のモチーフのと、なんと亡夫ラスムッセン氏作の最近になって火を入れたと言うパイプを喫いながら、黙々と高級誌の取材を。当クラブは人材豊富です。
<佐藤sとマンデュエラさん>
一行は中国を経由してきたばかり。国際派の佐藤sはマンデュエラさんに中国語で話し掛け、意外にも通じて盛り上がっていた。
<早川s. 良知s、松浦sたち若手もやたらとコミュニケーション、鳴海s、久米s、加藤s、中根sらのベテラン組も何だかうれしそうだった。小林sも静岡PCの中堅として。久米sは得意の英語で。>
<アンネさん、やおら立ち上げる>
展示してある自作のパイプにゆっくりと進んだアンネさん、「私が買いたい」と冗談とも付かない発言。ここに新たな伝説が生まれた。ホとヒの中間音、ホ/ヒ、ホ/ヒ、ホ/ヒと笑うのは前述のデンマーク語の特性か?何かマジックでも始まるかの雰囲気を醸し動き出したアンネさん。オウンパイプを袋から取り出し、スタンドを組み立ててディスプレイ。2本の「喫えないパイプ」。
柘さんによると、タバコ問題に対するメッセージとの事。喫煙・反喫を芸術の域に止揚した。でもそこにはPeaceの文字。何か考えさせられました。<サイン入り色紙のサプライズ>
アンネさん、マンデュエラさんのサイン入り色紙がメンバーのネーム入りで用意されていた。そこに3ショットでのポラロイド写真を。めいめいに貰いました。
<静岡PCとメンバーからお土産を>
〇駿河竹千筋細工の虫かご。細かな竹細工にご満悦のアンネさん。「でも何を入れるの?」「Insect(昆虫)」と答えると、怪訝な顔になった。欧州人には昆虫採集・飼育の習慣が無いことがあります。そこで次に、竹で出来た鈴虫を。ホ/ヒ、ホ/ヒ、ホ/ヒ……。
〇吐月峰(キセル灰吹き)当地の吐月峰紫屋寺のREALの。キセルが無いと使えないとの指摘がメンバーからあり、鈴木s、牧田sが持っていたのが接収されてしまった。彼等も喜んで。
〇圧巻はくまモン
話しかけると妙な動きをしながら声をリピートするくまモン人形。(事前にイタリア人でテストして外国語にも対応することを確認してあった。当たり前か。)袋を開けたとたんに、ユーモラスな姿に、ホ/ヒ、ホ/ヒ、ホ/ヒ。「マングタック」とアンネさんが言うとくまモンも「マングタック」と。(我が日本の皇后陛下がくまモンに話し掛けられている新聞の写真を見せて国民的キャラクターであると解説した。)ホ/ヒ、ホ/ヒ、ホ/ヒ、(くまモンの声です)
<御開きは三本締めで>
しめのプロと言われる柘恭三郎氏の音頭による三本締めでお開き。の筈が、榊原sが滝クリ風の「お・も・て・な・し」もやろうと提案。やたらとテンションの上がった皆で、オ・モ・テ・ナ・シをやってしまった。
後日、気が付いたら集合写真を撮っていなかった。全景の分かる写真すら誰も撮っていない。あまりに夢中の楽しい一時でした。
二人の女流パイプ作家のプロフィール
Anne Julie ([1940~]
かつてはオーソドックスなデイニッシュ・デザインのものを作っていたが、最近は、脚とチューリップのモチーフが多い。パイプ製作のほか絵画活動も盛んに行っている。絵画もパイプもカラフル。彼女は旅行が好きで、日本をしばしば訪問している。世界で最も著名な女性パイプ作家。
Manduela Riger-Kusk (1967~)
コーンパイプを咥えていたが自分に合うパイプを作りたいとPoul Ilstedに師事してパイプを作り始める。彼女のパイプは小さいのが多い。パイプは宝石みたいなものと言う。最近はStanwellのyearパイプなども手がけている。テレビや舞台の製作も手掛けるマルチアーティスト。