パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

Alfred Dunhill社のパイプに関する統括責任者、Kalmon S. Hener氏を囲む懇談会

日本で圧倒的にフアンの多いDunhillパイプがあの「ホワイトスポット」をトレードマークにして世界展開を始めた。このほどパイプの統括責任者(General Manager, Smoker’s Accessory Division. Alfred Dunhill Ltd.)であるKalmon S. Hener氏が来日し、昨秋からDunhillパイプの総代理店になった柘製作所の肝入りで、パイプ愛好家(パイプ大全の著者・報道関係者を主体とする)との懇談の機会が持たれた。
最初にHener氏の自己紹介から始まり、ドイツで生まれ、ポーランドなどで育ち、現在は、英国に住んでいる。時計などブランド物のビジネスに長くたずさわり、その間Dunhill社の仕事にたずさわっていたこともあったが、このほどDunhill社のタバコアクセアサリー部門のマーケッティングと製造部門の総責任者となり活動を開始された。

尚、懇談会には宝石デザイナーの夫人、この春2年間の勉強を終え、文化服装学園での2年間の勉強を終え、卒業されたお嬢様も出席された。

 第1部は約1時間にわたるHener氏によるレクチャー。前半はDunhillパイプ製品の展開に使用することになった“The White Spot”の商標とマーケティング活動について、後半は、4月から発売する“Egypt”パイプとエッフェル塔建設200年にちなんで、世界でたったの一本だけ発売される3,5百万ドル(3億5千万円)の超豪華パイプのお披露目だった。

Dunhillがパイプを作り始めたのは1910年といわれるが、1912年のパイプに初めて“White Spot”が付けられ、1920年代前半には“The White Spot”を商標登録し、ロゴが使用された。当日Hener氏が見せてくれた1920年代のDunhillの古いカタログにも“The White Spot”のロゴが使用されていた。

昨年からこの“The White Spot”のロゴでマーケッティングすることになった。“The White Spot”はDunhillのパイプのクオリティを証明する証であり、この“The White Spot”の商標を軸にして積極的に活動すれば、新しい顧客の開拓も進むと、今後のビジネスを展開に自信を示された。尚、パイプの軸の本体には引き続き”Dunhill“(新デザイン)の刻印が刻まれている。

記念パイプに話題はかわり、この4月から発売されるエジプトのアブ・シンベル神殿に因んで命名されたパイプが披露された。1813年にアブ・シンベル神殿が発掘されてから200年の記念パイプである。シェルブライアーの黒の仕上げで、ボウルは神殿の柱を思い起こすようなシェープ、添えられているタンパーは銀製で、これも神殿の柱の形である。それに分厚いエジプトの詳しいガイドブックが、スペインの職人の手でアブ・シンベル神殿のラムゼス2世像の絵がエンボスされているA4サイズ大の皮製のケースに入ったセットである。

もう一つは世界に一本しか発売されないパイプセットの話題。ビデオ画像と雑誌による紹介であったが、世界に1本しかないパイプの価格は3.5百万ドル(約3億5千万円)。超豪華パイプはエッフェル塔建設200年に因んで製作されたもの。厳選された200個のプラトーから更に選び抜いたストレートグレインの逸品。勿論全部手作りとのこと。ボウルは塔の下部のような四角いシェープ。ミニエッフェル塔の外装がほどこされ、ダイアモンドは492個、他サファイア等もふんだんに飾られている。塔の上部が折れるようになっており、其処へタンパーが収納される。ケースは木の象嵌がほどこされた高さ1メートルほどのキャビネットである。このキャビネットも新しい手法は一切使わず、古い職人仕事で仕上げたとのことだ。中にはエッフェル氏の塔の設計書などが収納されている。3,5億ドルの目の飛び出るような価格であるが発表以来既に引きあいがあるとのこと。世界は広いですね。この年末には引き取り先が決まる様子である。

このようなレクチャーをHener氏が持参されたこれまた珍しいフランス製のウイスキーを頂きながらうかがった。レクチャーの後は第2部として柘製作所の近くのイタリアン・レストランで歓談した。

“The White Spot”の商標の下、いろいろな話題づくりをしながら新しいDunhillを模索されているHener氏の意気込みを感じた貴重な時間でした。


梶浦 恭生(PCJ会長、パイプ大全第6章執筆者)