パイプの愉しみ方
2014年世界パイプ・スモーキングコンテスト参加旅行9日間体験レポート(後編)
出ました、ケルンの大聖堂。
到着した日はケルン観光を楽しみました。
そして、私、植草羊がもっとも楽しみにしていた観光スポットがこちら。
ケルンの「スモーキング・エンジェル」
よく見ると、天使がパイプをくわえています。世界広しといえどパイプ喫煙をしている天使は彼だけ。
長年ケルンで暮らしているガイドさんも「見逃していたわ」とのことでした。
銅像のふもとには、「たばこがなんたらかんたら」という碑が刻まれておりました。内容はよく分からないまま。
エンジェルにさよならを告げ、大急ぎで向かったのは、ヨーロッパ有数の販売店、ピーター・ハインリヒ。
ここも、見事な品揃え。日本にもこういうお店が欲しいです。
世界大会効果もあって?店内は大賑わい。世界中のパイプファンが詰めかけていました。
価格別に並んでいるパイプ達
メンバーズオンリーのシガーサロンには、シガーボックスがこんなに
さて、大急ぎでホテルに戻り、世界大会ガラ・ディナーへの準備です。
全日本大会ではパーティは競技後に行われますが、世界大会では前日の「ディナー」なのです。皆さん、張り切ってお洒落をして参加します。とはいっても、堅苦しい空気ではありません。ナショナルカラーを身につけたり、民族衣装を着たり、思い思いのファッションで来られます。もちろん、競技に参加しなくてもディナーには参加できます。(要事前予約)
会場は、ドイツ貴族のお屋敷だったであろう、Wolkenburgというイベント会場です。歴史的な建築物で、日本で言うならお寺や神社をそのままイベントスペースにしたイメージ。
ガラ・ディナーの様子
ここは各国別々のテーブルが用意されました。私達(ツアー参加者)はジャパン・テーブルで皆一緒でした。なので、日本語で会話できましたが、海外のお客様とご一緒の方はもちろん英語での会話。インターナショナルな香りが充満しておりました。明日は大会当日だと言うのに、ついつい長居をしてしまって、12時近くになってしまいました。
さて、大会ですが、ルールは全日本大会と一緒です。時々フライイングで水を飲む方もいらっしゃいましたが、そんな時はテーブルの審判が注意。テーブルには各国の方がいらして、ここでは「ジャパン・テーブル」ではありません。注意事項も大会挨拶もドイツ語、英語、フランス語でした。ですから、スタートまでの時間がながーい。
「たばこを詰めるのを始めてください」などの案内も3カ国語で合図されるわけですから、多少の時間差があります。聞き逃してはなるまいと、神経集中。とはいえ、特に結果に影響するような実力ではありませんが(植草の場合)
1テーブル10名が着席しておりましたが、私以外は、気合い十分。たばこを粉のように細かくして詰めるのが世界基準なのでしょうか。5分のうち、4分50秒を使い切るようにたばこを詰めていました。そして、海外の方は、とにかく煙を出さない。これには驚きです。私は何度「煙出てないよね!消えてるよね!」と審判に告発しそうになったことか。でも、吹くとちゃんと煙が出るんです。それだけ火種を小さく小さくして吸わないと、とても世界レベルには到達できないんでしょう。
世界のコンテストを目の当たりにした瞬間でした。
(世界大会当日の模様は、連盟HPか公式HP、もしくは、下記の映像によりお楽しみください)
https://www.youtube.com/watch?v=0QAb1lEkmdk&feature=youtu.be
そんな中で日本チームは史上初の快挙をなしとげました。団体戦3位!!
素晴らしい成績です。連盟に選ばれた「日本代表選手」の方々、お疲れ様でした。そしておめでとうございます!
併催されたパイプショウも盛大で、見学させていただいたコールハス社の方々にも2日ぶりくらいで再会できました。たばこをその場でブレンドしてくれるなど、日本にはない楽しみ方がありました。
個人的には一度会ってみたかった、キング・オブ・ブライヤーのミモに会えたことが一番の収穫でした。
私(植草)が使用した競技パイプ。
このタンパーのキレイなこと。
結果がよくあらわれております。
個人的には散々な結果(いや、実力通り?)でしたが、世界の雰囲気を肌で感じることができ、大変有意義な大会参加でした。
世界大会を終えて、ほっとしたのもつかの間、次の訪問先はルールモンドのギュベルス社(ビッグベン)です。
巨大な社屋に工場、出荷場、オフィスがあります。まずは、キレイなオフィスでビッグベンの歴史や物作りの哲学を聞きます。
「オランダの会社なのになぜビッグベンなのか」
と、誰もが抱く疑問に
「昔は、少しでも英国の匂いがする社名のほうが高級感が出ると誰もが思っていたんだ」という柘社長からの説明。
ビッグ・ベンの社用車。車は最新式ですが、ロゴは昔のまま。
さて、私達の旅もいよいよ大詰め。最後の目的地ロンドン。
ここではやっぱりダンヒルでしょう!ということですが、その前にちょっとだけ大英博物館に立寄り。
柘社長の案内で日本館へ
煙管の名品の数々。
しかし、ロンドンは喫煙に厳しかった!とにかく屋内は全て禁煙。お邪魔したダンヒルのボードンハウスも禁煙。テラスでは一服できますが、ステキなバーがあるのにも関わらず禁煙。
どこもかしこも禁煙。パイプのお膝元のイギリスで、この仕打ちはあまりにもむごいじゃございませんか。
それでも、ダンヒルCEOであるカルモン氏は、私達全員にウェルカムシャンパンをごちそうしてくれて、贅沢なひとときを過ごしました。
テラスは喫煙可だそうです。
そして、私の一番の記念がこれ。
芳名帳?というのでしょうか、記念に自分の名前を書き込むノート。
このノートより特筆すべきは、このデスクです。
第一次世界大戦で全壊したダンヒル本社でしたが、そんな瓦礫の中でアルフレッド・ダンヒルはこのテーブルをぽつんと置いて、パイプ修理と販売を続けました。その時の写真はマリー・ダンヒルの著書『Our Family Business』に掲載されています。個人的にダンヒルの歴史的写真の中で一番好きな写真。
カルモン氏が「これが、そのデスクそのものだよ」と紹介してくれた時は感動しました。
「ほら、形も「ホワイト・スポット」だろう?Yo、どうして一緒に写真を撮らないの?」とカルモン氏自らシャッターを押してくれたのがこれ。
上の額に飾ってあるのが、瓦礫の中でパイプを売っているアルフレッドの写真です。
その後、ロンドン市内の有名販売店巡りをして、夜はイングリッシュ・パブにて夕食。そこには、カルモン氏とご令嬢のシバンさんも同席してもらえました。
大忙しではあったものの、パイプを通じて知り合った友人、知人との再会、そして新たな出会い、パイプが世界を繋げていることを改めて実感した旅でした。