パイプの愉しみ方
私の愛用パイプを紹介します。
これら5本のパイプは、各々ブライヤーよし、手持ち感よし、味わいよし、パイプ自体のスタイルよし、の点でたいへんに気に入っております。
1)アンネ・ユリエ作 初期のシンプルなパイプは、ボールの前面が斜形にカットされており、程よく「煙が遠心方向へと逃げてゆく」ので、煙たさの無いことが稀有なパイプです。
2)スヴェン・ヌードセンのストレート・タイプは、私が最も気に入っている一本であり、手持ち感の良さ、煙道が素晴らしく滑らかで、とてもタバコが美味しく吸えます。それに、何気ない形に「一種の品格」があり、ミッケなどよりも、デザインの点で抜群だと思います。
3)ポール・ハンセン、1960年代の小品(サイズ:10センチ) その軽さは、まるで空気感のようであり、小振りの割にはボールの安定性が素晴らしい。二グラム弱のタバコで一服、という時には得難い一品でもあります。
4)かつての佐々木商店時代を含めて、ラルス・イヴァルソンの菓集では世界クラスだと自負しております。しかし年齢とともに、頭(ボール)の太さが気になり始め、喫煙の点ではいささかの難点に気づき、大部分は処分しましたが、この「一本」は実に軽妙なほど軽く、爽やかな手持ちの感触に優れております。
5)ブライヤーの質、煙道の造り、手持ちのバランス、ボールの厚みの程よさなどの点で、シックステン・イヴアルソンは最高のパイプ作家だと思います。そのシックステンのなかでも、これは(とりわけ)美味しくタバコの吸えるパイプであり、なによりもブライヤーの色艶が美しいものです。
もちろん、これらの感想は私個人の独断でもあり、普遍性があるわけではありませんが、パイプ愛好とは「じつに偏屈なパイプへの拘り」があってこその趣味ではないかと思うのであります。