パイプの愉しみ方
第5回 東京パイプショー開催報告
去る12月4日、東京パイプショー2016(主催・東京パイプショー実行委員会、後援・日本パイプクラブ連盟/PCJ)が、JR新橋駅前のニュー新橋ビル地下2階の会場で開催されました。東京パイプショーは冬のひと時をパイプを燻らせながら、パイプスモーカーが親睦・交流を深める冬の恒例行事で、今年で5回目となります。またハンドメイドパイプづくりの楽しさを知ってもらい、未来のパイプ作家を発掘しようと毎年アマチュア作家のコンペティションを実施しています。
午前10時の開場前には待ちかねたパイプ愛好家らが会場前でオープンを待っており、開場されるとどっとの入場です。パイプコンペティションの一般投票券を受け取り、早速お目当ての作家ブースを覗いたり、展示物を見たりしています。顔見知り同志が挨拶を交わし、会場いっぱいに瞬く間に紫煙の煙があふれました。当日は約250名の参加者が集まり、パイプを通じて友好を深めました。会場では国内の有名パイプ作家らが最新の作品を並べ、パイプメーカー・喫煙関連団体などのブースでは、パイプ煙草や喫煙具などの展示・販売を行っていました。
今年のショーの目玉の一つは、開催3日前に財務省の認可が下りた100gで14万円するパイプ煙草「W.O. Larsen 2015 Limited Release Hand Pressed Pipe Tobacco 3.5oz」。世界限定で200箱、シリアルナンバー入りヒュミドールに入っています。国内販売は十数個のみです。入手可能と聞いて急きょ、東京パイプショーにて吸おう、という企画を立てて、一人あたり3gでの有料試喫会を実施しました。
この煙草はすべての製作工程でラールセンのブレンダーによるハンドメイドもので、ヴァージニアにブラックキャベンディッシュ、バーレーなどに加えてゲールというハーブがブレンドされている。ゲールというのはヨーロッパ特有のハーブで煙草ではない。料理や、昔は煙草にもよくブレンドされていたそうです。無着香ですがハーブのせいかスーっとする味わい。マイルドでクリアな香り。吸ったことのない香りだ。最後まで濁らない味わいで美味しい。残ったラールセンのヒュミドールですが、試喫者のうちから抽選で1名に進呈しました。
来場者が注目するのは、ハンドメイドパイプパイプ・コンペティションの出品パイプ。今年は67本のパイプが出品されました。これは過去最大です。今回の出品パイプもデザイン性に優れ、かなり完成度が高いものでした。毎年コンペを積み重ねてゆくうちに出品者の技量が着実に前進しているとの感を深めました。今年のショーでは、パイプコンペ入賞者で新人パイプ作家となった故桑進一原氏(昨年暮れ、不慮の事故で死去)を偲ぶ展示もあり、関東パイプオフ会が発起人となり「桑原進一賞」というクラシックシェイプに与えられる賞も加わりました。
出品パイプはパイプ作家のほか、実行委員会、連盟・団体関係者、メーカーなどの出展者が審査に当たりました。審査員は5本を選び、選考理由、10点法での採点などで順位を決めます。今回は第1位に小坂怜さん、第2位に山田絋太郎さん。山田さんは2年連続の入賞です。第3位は齋藤正敏さんが入賞しました。又来場者が1票ずつ投票する来場者賞には萩原正人さんの作品が選ばれ、入賞者それぞれに賞状・記念品が贈呈されました。そして桑原賞は1位の小坂さんが受賞。プレゼンターを桑原氏の弟さんが務められました。
審査や入賞パイプの紹介、大会風景などについては公式ブログ
http://blog.livedoor.jp/tokyo_pipe_show/(12月25日発行の「コンペ受賞者の紹介」)に詳しく記されているのでぜひご覧ください。また、恒例のオークションでは今回も競り人役の喉が枯れそうなほど多数の出品があり盛況のうちに終わりました。
パイプ作家を中心にメーカー、煙管作家、ライターコレクター団体、関東パイオフ会、PCJなどの各ブースで濃い会話が交わされ、昼前にはかなりの来場者がみえて、早くも導線が詰まり気味となり、そろそろこの会場の限界を感じることにもなりました。街にはクリスマスの飾りつけや音楽があふれ、また師走のあわただしさを感じさせる年の暮れですが、会場は終始、煙と笑いで、多くの集まった方々の交流でパイプの煙の輪が拡がり深まる楽しい一日でした。
また来年も皆さんに楽しんでもらえる東京パイプショーを準備しています。これまで参加できなかった作家さんのブースも予定していますので、来年も皆さんとお会いできることを楽しみにしています。