パイプの愉しみ方
ある不審メール
丹波 作造
最近の詐欺メールは手が込んでいるという。所有者不詳の基金の管理者に推挙するから口座番号を知らせてほしい、真水で動くエンジンを開発したから出資しないか等、初めから疑わしいものはまだ可愛いものである。
某日、引用のような団体からメールが到着、実験担当者を募集しているとのこと。若い看護士も同時に募集しているので、実験中に、血圧、血中酸素濃度等を丁寧に計測するサービスもあるらしい。協賛には、煙草業界と嫌煙団体が呉越同舟で名を連ね、今なら若干の寄付をすれば調査業務に携わることができるという。略称がタールという辺りが出来すぎの感があるが、非パブリックスペースで喫煙に専念すれば公益に資するとは甚だ魅力的である。しかも嫌煙団体に目を付けられにくい「調査喫煙」という形態を取っているところが心憎いではないか。迷惑メールに分類され日数が経ってしまったため返事を出しても不達、検索してもそんな団体は引っかからない。
まあ応募に出向くとその留守中にパイプ箪笥を荒らされ、シャーロキアンの風上にも置けないと物笑いの種にならなくて幸運だったと考えて諦めることにした。
****** 以下、当該設立趣意書を引用する ******