パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

アインシュタイン博士のパイプ

米国ニューヨーク在住のパイプ愛好家のY氏から、珍しい写真が日本パイプクラブ連盟に送られてきたのでご紹介します。Y氏はパイプ喫煙はなさらないそうですが、御尊父が熱烈なパイプ喫煙愛好家で、幼少時からパイプの芳しい煙に包まれて育ってこられたので、パイプにはとても親近感をお持ちの方です。

このパイプは物理学の相対性理論であまりにも有名なアルベルト・アインシュ タイン博士が愛用したパイプです。米国フィラデルフィアに西暦2010年に開 設された国立ユダヤ系米国人歴史博物館(National Museum of American Jewish History)に展示されているものだそうです。同博物館はスミソニアン博 物館系列で、米国史の中で活躍したユダヤ系の方々の歴史を紹介しています。

アインシュタイン博士の愛用パイプといえば、ワシントンD.C.にある国立米国 歴史博物館(National Museum of American History)の現代物理学のコーナー に展示されているものが有名で、1940年代から1950年代にかけて製造された古い形状のビリヤード型のブライヤーパイプです。

Y氏が送ってくださったパイプの写真をよく見ると、ボウルの形状、マウスピース(吸い口)部分の独特の長さなどが国立米国歴史博物館のものと酷似しています。同じスミソニアン協会系列の歴史博物館ということで、貸し出ししているのかもしれません。

アインシュタイン博士は、パイプを片時も離さないスーパーヘビー級の愛煙家として知られ、若い時分からいつもパイプの煙を燻らしながら物理学の様々な問題を考えていたそうです。現代物理学の金字塔となっている難解な相対性理論も、パイプ煙草の朦朦たる紫煙の中で考えに考え抜いて発見に至ったものです。

アインシュタイン博士のパイプ喫煙についての語録を調べてみたら、こういう ものがありました。
「I believe that pipe smoking contributes to a somewhat calm and objective judgement in all human affairs.」(私はパイプ喫煙が、あらゆる人間にまつわる 事柄について、幾ばくの穏やかで客観的な判断に寄与すると信じています) 頭脳を極限まで酷使する理論物理学研究の抽象思考の過程で、精神的な安定感をもたらすためにパイプ喫煙という人間臭い営みが不可欠だということをおっしゃっているのでしょう。

アインシュタイン博士は1955年(昭和30年)に米国プリンストン高等研究所の終身教授として76歳で亡くなられましたが、叶うことならば泉下の博士に昨今の米国起源の嫌煙運動をどうお感じになるか、一度伺ってみたい感じが致します。

日本パイプクラブ連盟事務局