パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

理想のパイプ

丹波 作造

タンパー作家風情が何を生意気な、と感じられる向きもあろうと思うが、これはタンパーにとって望ましいボウルの内部形状の話なので容赦願いたい。

一定量のタバコ葉から容易に最大限の満足を得ることが、パイプおよびタンパーの使用の目的であるとすれば、単に押すだけで未燃焼のタバコ葉が煙道開口部の周辺に集中していく形状が望ましい。

そのためには、上部はタンパーより若干大きめの円筒形で、下端部は煙道開口部に収束していく漏斗状が考えられる。

また、煙草のおいしさは燃焼ガスではなく、その熱気により抽出される未燃焼部の芳香成分気体にあるという事実に基けば、開口部はボウル側壁ではなく底部中央に位置するのが、未燃焼部を均等に熱気が通過し有利である。

タンパーの填圧面に傾斜をつけ側壁の開口部に葉を集めるという方策も考えられるが、ある程度のタンピング技術を要する。一方、ボウルを前傾させる(カント)と、開口部が底部中心に寄りやすく、筆者がダブリンやカッティ等のシェイプを多用する所以である。

ただこれらのシェイプは、ボウル形状が円筒形ではなく先細りの砲弾型であることが多く、普通の太さのタンパーでは、途中で填圧不能に陥ることがあり、種々の径のタンパーを揃えて使い分ける必要がある。

このタンパーに適したインナーシェイプのパイプが欲しいのだがとパイプ店を訪れるスモーカーが増えれば、タンパー作家としてこれに勝る喜びは無い。