パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

パイプ開発者のモノローグ  第五話 「原点」

そもそもどうしてこの様な文章を載せて頂いているのでしょう。

この様な駄文で良いのだろうか? 実は不安です……。

日本パイプクラブ連盟のホームページは実に格調高いのです。

パイプ愛好家の識者、学者、文筆家、専門家の方々らが本名やペンネームで様々な論文、紀行文、風刺文、諧謔文、悲憤慷慨文を寄稿しておられます。この様に知性と教養溢れるホームページはあまり見た事がありませんでした。

はたまた、センスの良いデザインには惚れ惚れ致します。(よいしょではござません)。

チムニーパイプ(製品正式名称 安全健康喫煙パイプ)に目をとめていただき、新製品紹介としてご掲載頂ける事となり、2日ほどで考えたのが「口上」です。

この文章は、昔読んで今も読んでいる(要は頭になかなか納まらない)サムエル・モリソンの「アメリカの歴史」が下敷きとなっています。

文庫本の体裁ですが、全6冊。先史時代からベトナム戦争あたりまでを詳細に記述した「日本書紀」のアメリカ版です。(牽強付会!!)

その中の一節が、コロンブスの一行による煙草との遭遇話と、開拓初期のアメリカ特産物としての煙草栽培の話です。

金(ゴールド)はまだまだ見つからず開拓初期、アメリカの社会と産業の発展の原資が煙草だった事に興味を惹かれました。

そして人類初の煙草の発見シーンに想像が膨らみました。

煙草の発見以前にも、人の精神作用に影響を及ぼす様々な食物や薬草(有効成分が濃いと毒になる)は、きっとあったのでしょう。しかし、それらはまかり間違えると死に直結する「危ないもの」だったでしょうから、一部の呪術師(シャーマン)により製法が世襲か、秘伝として口伝され、一般的なものにはならなかったに違いない。例外は酒即ちアルコールだけでしょう?

何の具体的な証拠もないので、ご専門の方からは叱られそうです。はい。

このモノローグは、煙草をポジティブに、そして、良い面の再普及を意図して書き綴っております。

そして、兄が制作する拙作パイプを売らんが為です。(風吹けばパイプ屋が儲かるのです)

それにつけても、パイプ喫煙は我が日本では、一部の好事家のものに留まっているのは何故でしょうか。

煙草を吸うという行為の原点がパイプ喫煙だと言うのに……。

最大の理由は恐らく「面倒臭さ」でしょう。

中年以上の喫煙家にお聞きすると「以前は一度パイプをやってみたが……」とかよくおっしゃるのですが、煩わしいので止めてしまったようですね。

なかなか火が保たなくて……、吸い込んだらむせてむせて……、パイプの値段が高いし……。

それと、パイプ煙草の葉が高いでしょ。と言うのもあった。これだけは誤解ですね。

一個あたりは3倍しますが、5日は保つのです。

でも扱っている煙草店が地方には、滅多にないのです。残念

このホームページ掲載のパイプ愛好家の座談会でも、皆様がおっしゃっているとおり、通常は安くつきます。そして紙巻き煙草とは比較にならないほど美味しい。

紙巻きを一週間で2個分節約すれば600円。一年で約30000円。

良いパイプが2個。そして拙作パイプも2個、買えるのです。(このさりげなさ)

もう一つの壁は、「専門性の高さ」でしょう。

なにかソムリエの世界になってしまっているのです。もちろんその専門性や嗜好性の高さがパイプ喫煙の魅力であることを否定するものではありません。

大学で仕事をするようになり、煙草リザベーションが設けられているために、愛煙家の教授も学生も皆そこに集い、いつしか顔見知りとなって話の花が咲きます。

「パイプ、いいですね」「いい香りですね」……手応えはあるのです。

パイプ開発者 紺矢哲雄