パイプの愉しみ方
岡山PC 伊豆半島バーベキュー合宿旅行
岡山パイプクラブ東京本部は11月3、4の両日、静岡県伊豆半島のキャンプ場でバーベキュー合宿を行った。
今回の合宿は、伊豆半島下田市在住の世界的な煙草蒐集家の芹澤弘光氏をお招きし、煙草収集についての面白い逸話を伺いながら紫煙とバーベキュー料理を皆で心ゆくまで楽しむのが目的。香山会長がはるばる岡山から駆けつけ、東京本部会員全員とJPSC有志で親睦の絆を深めた。
3日は朝から快晴で暖かい小春日和。東京駅と新宿駅からJRの特急踊り子号に分乗して正午前に伊豆急下田駅に全員到着。出迎えた芹澤氏と久闊を叙した。駅前のスーパーで食材などを大量に購入し、香山会長手配の大型ワゴン車と芹澤氏の車で午後1時前にキャンプ場に到着。
薪で火起こしし会員持参の備長炭に火が移り、アンガス牛ステーキ肉と野菜類が程よく焼けたところで、冷えたビールで盛大に乾杯。パイプ煙草や葉巻を盛大に吹かして歓談しながら焼けた霜降り牛肉やソーセージ、魚、キノコなどを頬張り、やや遅めの午餐を皆でゆっくり楽しんだ。
清流の谷間にあるキャンプ場は秋の陽が落ちるのが早い。陽が西の尾根に傾いた頃に、炭火を消して一旦撤収。コテージに移り、芹澤氏を囲んで再び、紫煙を楽しんだ。
今回のパイプ煙草の逸品は、芹澤氏が最近蒐集した稀覯品のBalkan Sobranieの未使用125グラム缶。日本では嘗て白色の50グラム缶は販売していたが、125グラム缶は見たことがない。欧米だけ販売の限定品だったようだ。まさに珍品である。何と芹澤氏はトルコ葉の白色缶と、これも初めて拝見したバージニア葉の黄色缶のBalkan Sobranie Virginian No.10の2銘柄を蒐集しておられた。
芹澤氏が開缶して喫ってみるよう促されるので両方の缶を恐る恐る開けてみたが、長年秘蔵してあったようで葉がかなり乾燥していた。早速、極上のトルコ葉と最高級バージニア葉の味を楽しみたかったが、惜しむらくは霧吹きがない。乾燥したままでは本来のBalkan Sobranieの素晴らしい香りと味を満喫できない。そこで、今回は試喫を断念し、次回に楽しみをとっておくことにした。残念!
すると芹澤氏はおもむろにBalkan Sobranieのシガレット2箱を披露した。白色パッケージのoval巻きと金色パッケージだ。いずれも日本では輸入販売していなかった超高級シガレットだ。加えてシガレットのSOBRANIE BLACK RUSSINも!
SOBRANIE BLACK RUSSINを開けてみたが、吸い口部分が金巻で葉の部分は黒紙巻き。専売公社時代に20本入りと25本入りが日本にも輸入販売されていたが、超高級シガレットで一般大衆には馴染みが薄かった煙草である。
トルコ葉(オリエント葉)の煙草を中心に集めておられた芹澤氏が次にケースから取り出したシガレットは、懐かしきRAMESES II。日本では昭和40〜50年代に大都市の百貨店の煙草売り場でのみ販売していた高級シガレットである。一度、喫ってみたいと思っていたが、貧乏学生の身分では手が出なかったことを覚えている。専売公社の国産煙草の数倍の値段だった。
芹澤氏が「これはなかなか珍しいよ」と披露してくれたのが、第二次世界大戦の戦時下のドイツの配給シガレット煙草と煙草配給券。配給券1枚で配給する大衆向け廉価品と配給券3枚が必要な高級品の2種類だ。いずれもパッケージには鉤十字(ハーケンクロイツ)が刻印してある。
この他、とっくの昔に製造中止になった珍しいバージニア葉のシガレット煙草などを次々に披露して下さったが、残念ながら紹介しきれない。
芹澤氏から勧められるままに、皆でこれら珍品の貴重な煙草を味わわせて頂いた。
源泉掛け流しの温泉に入り、濛々たる紫煙に包まれてビールで歓談するうちにお腹が空いてきたので、備長炭で焼き上げた牛肉ステーキとピザを温めて夜食にして就寝。
翌朝は、再び野外で備長炭で火を起こしサンドイッチと焼きそばで、皆で盛大にパイプと葉巻の喫煙を楽しみながらの朝食。車の運転をしない人は朝からビール。食材を買い過ぎたので果たして食べ切れるかと思ったが、見事に完食した。
この後、下田の上原美術館で、皆で仏像彫刻と近代絵画をじっくり鑑賞し、午後、東京への帰途に着いた。パイプ仲間の紫煙三昧の楽しい一泊二日の合宿旅行だった。
最後に、大変な労力をかけて蒐めた貴重で高価なシガレット煙草を惜しげも無く岡山パイプクラブの面々に喫わせて下さった芹澤氏のご厚意に、改めて深甚なる感謝の意を表して筆を擱く。