パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

 パイプクラブを作ってみよう

日本パイプクラブ連盟副会長 岡山パイプクラブ会長 香山 雅美

 

 

先日、日本パイプクラブ連盟のホームページを担当している常任理事のS博士と話していたら、地方のパイプ愛煙家の方々から連盟に加わりたいとの問い合わせがよくあるが、連盟はクラブ単位で加盟するのが原則なので、住んでおられる地域でパイプクラブを設立してから加盟して下さいと返事をしている。ただ実際に新たにクラブを立ち上げる方は稀だとこぼしておられた。要するに「香山副会長、何か良い知恵はありませんか」という相談なわけだ。

 

困った‥‥。
私にも妙案は思いつかない。とはいえ連盟参加希望の地方のパイプ喫煙愛煙家を放置しておくのは忍びない、なんとか我々のパイプ仲間に迎え入れたいというS博士の気持ちはよく分かる。

 

そこで一人でパイプ喫煙を嗜んでおられる地方の方に、参考になるかどうか分からないが、私が会長を務めている岡山パイプクラブ(岡山PC)の事例を紹介してみたい。パイプクラブを立ち上げるための何かのヒントがあるかもしれないと思うからだ。

 

現在、岡山PCは、東京本部と岡山支部がある。東京本部と岡山支部を合わせて岡山PCを構成し、日本パイプクラブ連盟に加盟している。

 

あれ? 岡山が本部で、東京が支部じゃないの?と思った方も多いだろうが、これには歴史的経緯があるのだ。

 

岡山PCは昭和53年(西暦1978年)、岡山県岡山市で会員28名で旗揚げした。初代会長は故人となられた内科医のS医学博士。S医学博士の友人知人のパイプ愛好家らを誘って結成したクラブで、会員は大学・病院関係の勤務医や開業医が多かった。S会長は私を幹事に指名しクラブの庶務と会員間の連絡係を担当するよう命じられた。

 

日本パイプクラブ連盟に岡山PCが加盟できたのは昭和56年。53番目のクラブとして加盟させて頂いた。当時、連盟加盟クラブは55クラブあった。以来、全日本選手権大会には第6回大会から連続参加している。その当時のクラブの目標は、団体戦で3位以内、個人戦で10位以内となって表彰式の壇上に上がることだった。

 

毎年、全国各地で開催される全日本大会に真面目に参加し、次第に日本パイプクラブ連盟の執行部の皆様とお近づきになっているうちに、岡山でも全国大会を開催しないかとの要請があり、これまで2回岡山の地で開催している。

 

参加回数を重ねる内に徐々に強くなり、これまで団体優勝5回、個人優勝3名(5回)、レディース部門優勝1名と赫赫たる成果を収めることが出来た。特に自慢できるのが、第32回山形大会での個人・団体・レディースの完全制覇だ。これはJPSC、徳島PC、岡山PC、すみだ川PCの4クラブだけ達成している。団体優勝12回のジョンシルバー、7回の六本木と言った東京の名門クラブも完全優勝は達成出来ていないので、岡山PCは自他ともに認める強豪クラブだと自負している。

 

そんな岡山PCだが、パイプ喫煙ブームが去ったのと、クラブ員の高齢化・ご逝去で徐々に会員数は減り、この20年間ほどはずっと10数名で推移していた。クラブ員を増やす努力はしていたが、長続きしない方ばかりだった。

 

丁度その頃、東京へ転勤していた岡山PCの会員OBとその友人が、欧州で開催のワールドカップ大会に参戦したいので、岡山PCへ加入したいとの連絡があった。勿論,OK。これにより3名以上で参加資格があるクラブ対抗戦形式のワールドカップに、私も含めて3名で参戦することが出来るようになった。これが岡山PC東京支部誕生の発端だ。全国のパイプクラブで世界選手権大会に参加した方は少なくないが、クラブ対抗戦のワールドカップに参加したのはJPSCと岡山PCだけだ。

 

2020年からのコロナ禍で2年間、月例会も諸行事も開催出来ないでいる間に、高齢化していたクラブ員が一気に減ってしまった。このままでは名門岡山PCは消滅してしまう。私は内心焦っていた。そこで東京出張時にたまたま知り合った呑み友達の若い愛煙家たちに、岡山P C東京支部入会を勧誘した。

 

その酒呑み友達はもっぱらシガレット(紙巻煙草)派。私がパイプ喫煙の楽しみを伝授したら、すぐにパイプ党になってくれた。要するにパイプ喫煙という煙草の奥深い味わい方を、それまでご存知なかったのだ。私が東京出張時に一緒にパイプを喫えば、それが例会だとこじつけた。

 

私の無茶な勧誘が奏功して岡山PC東京支部クラブ員になってくれたのがまず2名。東京支部はこれで4名に増えた。クラブ員になってくれたこの2名のパイプ大会初参戦が名古屋での全日本大会だ。ロングスモーキングの練習を大会1週間前に2回しただけのぶっつけ本番みたいな初陣だった。内1名は名古屋大会の3日後に日本を出発して、2022年のイスタンブールでのワールドカップにも参加してくれた。

 

イスタンブールWCには岡山PC東京支部から私も含めて4名が参戦し、日本のクラブで初めて入賞、団体6位に輝いた。東京支部からは昨年2023年のルーマニア・ブカレストでの世界選手権大会の日本代表メンバーにも選ばれた。

 

仲間が仲間を増やす形で、その後、東京支部の会員は増えて現在8名。岡山本部を会員数と活動状況で上回るようになった。そこで今年、令和6年から会長の私の権限で、岡山PCは東京支部を本部に昇格。岡山本部は支部と呼ぶことにしたと言う次第だ。

 

今では、私が岡山から上京する度に東京本部のクラブ員の別邸で盛大な例会を開催し、旅行会やバーベキュー合宿などを頻繁に催して楽しく交歓している。

 

全国各地のパイプ喫煙愛好家の皆さん。一人でパイプをゆったり嗜むのは楽しいが、時折、同好の士とパイプ談義や四方山話に興じるのもさらに楽しいことです。昔から「旅は道連れ」と言いますが、気の合う趣味の仲間がいると嬉しいものです。親しい友人や知人にパイプ喫煙の美味しさと素晴らしさを教えてあげて、パイプ仲間を増やし、パイプクラブを作ってみませんか。人生が豊かになることだけは間違いありません。

 

日本パイプクラブ連盟は、新しいパイプクラブの誕生を応援します。