パイプの愉しみ方
『50にして煙を知る』第13回
本年を締めくくる新作、名づけて「超法規」タンパー
銀座を根城とする日本パイプスモーカーズクラブ(JPSC)、本年最後の行事は11月末に行われた恒例の納会である。
せわしい師走には会を開かないのが、JPSCスタイルだ。
会場に集った人は会員にゲストを含め、なんと約60名。毎年30人弱に比べると、その盛会さには驚いた。「なるほど。会を維持するには不断の努力が要るもんだ」と感嘆したが、ビンゴの景品は縮みがちな昨今の経済状況を励まそうとばかりに、全員に当たるだけでなく、中身も豪華に奮発しているのが江戸っ子気質だ。
副賞もまたすごい。私はラッキーにもおいしい果物セットが当たったが、目玉はトルコの水パイプ。吸わずとも飾っておくだけでも立派な装飾品だ。
会そのものも楽しみだったが、もうひとつの私の楽しみは、会合のたびに森谷さんから飛び出す新作タンパーである。当然、この日も私の期待に違わず、傑作が届きました。
「いやあ、もう1本、別の方にあげちゃったからなあ」と難色を示す。
別に私にくれないわけではなく、その日の彼の手持ちタンパーが残りの新作1本だけだったので、パイプを吸うのに困るというだけのこと。では、会合の帰りに忘れずに、私が彼に声を掛けていただいて帰ればいいことになった。そうなると、もう納会よりも「帰りに森谷さんに催促することを忘れてはいけない」と頭がいっぱいになる。
今回の新作は竹製で、なんと真ん中に穴が貫通している。タバコに火をつけて、チョンチョンやりながら、ふっと息を吹き込んで、火を強くすることができる代物だ。
もちろん、ロングスモーキング・コンテストでやったらたちまち失格だが、穴あきタンパーなんぞ、どこ探しても見たことがない。シャレとしては最高だ。
「で、なんと形容詞をつけましょうかね?」
森谷さん「うーん、そうですなあ。超法規タンパーでいかがでしょうか」。
超法規―。今年最後を締めくくる言葉らしいですね。世の中ずっと、超法規的なことばかり続いた気がするから。
どうせなら、別の会員にあげたものと2本並べ記念撮影といきましょう。穴が開いているので、モールに差し込んで立たせてみる。誰のものかわからなかったが、近くのテーブルにあったパイプを並べて芸術的な構図で写真に収めたので、ご覧ください。なにやら竹の大砲のようにも見えなくもない。
今年最後の新作を紹介したついでに、森谷さんからいただいた「メイド・イン 2008」のタンパーを一堂に揃えて記念写真も撮ってみた。改めて眺めると、やはり壮観である。
来年もまた、月1本のペースでは新作・森谷タンパーが私のコレクションに加わることだろう。
ハッピークリスマス、ハッピーニューイヤー。
ところで、岡山のタンパー作家からは、その後、新作の便りがない。