パイプの愉しみ方
紫煙の行方3
5月の第四日曜日は「世界禁煙デー」ということだそうで毎年、禁煙運動をしている方々が行事をしています。
そこで、数年前にこの日に合わせ、隣のビルで我々は「ロングスモーキング大会」を開催し、成功裏に終わりました。何のトラブルもありませんでしたが、禁煙大会を行ったビルのトイレの中はシガレットの吸殻が多く見られ、その吸殻が排水溝に詰まり、大事になったということでした。
原因は禁煙大会を取材に来たマスコミの方々が吸ったシガレットの吸殻です。口先では禁煙を訴え、裏ではシガレットを吸うという欺瞞に満ちたものでした。マナーの問題以前のことと思いますが。
マスコミを信用してはいけません。自分の都合でどうにでもなるからです。
時には疑ってみるのもいいでしょう。
シガレットとパイプ煙草との違いは何なのでしょう?
おわかりと思いますが、紙が巻いてあるのがシガレットで、煙草の葉だけのものがパイプ煙草であり、葉巻であり、刻み煙草なのです。
巻いている紙があるか、無いかなのです。
もともと煙草の葉はアルカリ性なのです。ところが.シガレットになると煙草を巻いている紙が燃えて酸性になるのです。
酸性の煙は肺に容易に入ることができます。その上、勢いよく吸い込みますのでかなりの高温で気管支に入りこみます。
一日に20本以上のシガレットを吸い込みますと、呼吸器の粘膜は相当傷つけられると思います。長年続くと細胞の悪性変化やら肺気腫の原因になるのではないでしょうか?
パイプ用の煙草は煙草の葉っぱだけで製造されていますので、口の中に吸い込みましてもアルカリ牲のため、喉を通ることは容易ではないのです。パイプで吸った煙草の煙は肺には入れないのが基本です。煙に含まれるニコチンは口の粘膜からゆっくり吸収します。
ですから、パイプを楽しむということは、ロの中で吸い込んだ煙をくゆらし味わい、その上香りを楽しむものなのです。
パイプの上手な吸い方は、クール(冷たい煙)で、ドライでなければ、美味しくないと言われております。
パイプ愛好家は、(ユックリズムで)長い時間をかけてタバコを吸い、これを追求しているのです。
現在では何かと早くスピードを争うのが一番で、それについて行けなければ精神不安になったりヒステリックになったりするのです。
ですから、ゆったりとした気分でリラックス出来るのです。
例えば、かの有名なダンヒルのパイプ煙草の1日の吸い方を見てみると,朝起きた時に日覚めよく「アーリーモーニング」、昼間には各人の好みにより「ダンヒルスタンダード」や「マイミックスチャー965」、あるいは、価格が高い「ロイヤルヨット」「ダンヒルライトフレーク」等で、食前は「アペリティプ」。食後はロッキングチェアーに揺られながら、テレビを見たり、酒を楽しみながら自分好みのパイプ煙草をくゆらし、疲れを癒す。そして、寝る前には「ナイトキャップ」と区別してパイブ煙草を楽しむのです。
余談になりますが、四半世紀ほど前、ロンドンのダンヒル社本店で、一日がかりで私の「マイミックスチャー36140」をブレンド致しました。注文のFAXを送れば、この煙草を送ってくれます。このように優雅な趣味、道楽はシガレットでは、味わうことはできません。
このような楽しみは一つの文化であると思っております。