パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

紫煙の行方5

岡山パイプクラブ会長 医学博士 砂山有生

次にやや堅苦しい文章ですが、タバコの受動喫煙とやらに関する大切なポイントがうまく書いてあるので、要旨を引用します。

〔引用開始〕

5月30日は恒例の「世界禁煙デー」である。例年、この日を視野に入れた痛烈なたばこ批判が各種メディアを賑わす。タバコを目の敵にする機関、団体の巧妙な情報操作には舌を巻かざるを得ないが、この情報源は米国がほとんど。米国追従、情報の受け売りは、先進国・日本の摩詞不思議の一つといえよう。

さて、昨今その情報の質も変化しつつある。

従来は「能動喫煙」(本人が吸うことによる健康への影響)一辺倒だったが、近頃は「受動喫煙」(他人のたばこの煙を吸うことによる健康への影響)に軸足が移っている。察するに、反喫煙運動の世論の関心を高めるには「受動喫煙の有害性」を強烈にアピールする方が効果的だ、との判断によるものだろう。

ところが一般メディアには絶対紹介されないと思われる「受動喫煙と肺癌は無関係」という研究報告が明らかにされた。それも反喫煙運動の旗振り役とも言えるWHO(世界保健機関)の付属研究機関の研究である。しかもこれまでに行なわれた研究の中でも最大規模の研究報告とあって、その信憑性はかなり高い。

たばこの研究で、「無害」という結論になったら、医学の世界では最初から拒絶反応にあう。学会で発表しても無視されるのが落ち。たばこ有害の新説なら、研究の前提、条件、手段、方法などが明らかにされていなくても、発表されれば脚光を浴び、この新説が独り歩きしてしまう。悲しいかなこれが現実である。うがった見方をすれば、予め結論として決まっている有害結果を導くための恣意的な手法を用いることもあるかもしれない。

研究の前提、条件、手段、方法などの研究過程が「ブラック・ボックス」と評されるほど、いわば"始めから有害ありき”のたばこの疫学的研究データが幅を利かす中で、ひょんなことからWHOの付属研究機関・IARC(国際癌研究機関=所在地はフラソスのリヨン)のETS(環境中たばこ煙)曝露と肺癌についての疫学研究結果「ETS曝露(受動喫煙)と肺癌は無関係」が明らかにされた。

IARCは当初この研究結果を医学専門誌に論文として投稿するとみられていたが、研究結果がWHO・IARCにとって甚だ意に沿わなかったところから「BIE-NNIAL REPORT」の研究結果の概要のみを報告したものと推測される。

このWHOの姑息な手段を素っ破抜いたのが英国のサンデーテレグラフ誌であった。その先の大騒動の経緯については割愛するが、要するに“反たばこの世界の総本山”であり、反喫煙運動を常に煽動するWHO付属研究機関で「受動喫煙と肺癌は無関係」との予期せぬ研究結果が出たことに、WHOの関係者は驚きの色を隠せない様子だとも伝えられている。

この報告は副流煙有害の「平山学説」とは全く異なる研究結果であることは一目瞭然である。そのほか「コレスタ」(パリに本部を置く、たばこに関する科学的研究センター)よりの報告があるが割愛する。

米国環境保護庁の「ETSはA級の発癌物質である」との報告は、科学的な立場からはあまりにも問題がある。この政策は科学的な結論からは導けず、政府の主張は科学の名を借りた政策にすぎない。

〔以上、引用終わり〕

タバコのいわゆる副流煙に果たして害があるかどうかについては、科学の世界では、有害説に対してこれほど異論、反論があります。このことは、おそらく始めて知った方もいらっしゃると思います。この文章は手元にあるタバコ関係の業界紙の10年ほど前の記事から抜粋したものです。大手新開ではおそらく数行の短いニュースだったでしょう。

※編集部註
上記のWHOのIARCのこの研究結果については、インターネットで「WHO IARC ETS」で検索すると、数多くの論文がヒットします。ご関心のある向きはオリジナルの論文をお読みください。また、嫌煙団体の医師等がこの研究結果に慌てふためいて、牽強付会の滑稽な「反論」を試みていますので、こちらもぜひじっくりご笑読下さい。

 

かつて120歳まで長生きして、長寿記録日本一であった泉 重千代さん(沖縄県)を覚えていらっしゃいますか。

泉さんの唯一の楽しみは、美しい沖縄の海を朝から縁側に座ってゆっくりとシガレットを吸いながら一日中眺めていることだったと聞いております。

こんな素晴らしい光景を目に浮かべてみて下さい。

ところがこの幸せな時間が奪われることになりました。115歳で日本一の長寿者になったことです。これは彼にとっては不幸の始まりだったのではないでしょうか。テレビ、新聞は取材にくるし、若い医者ども(年配の教授といえども、泉さんにすれば孫みたいなものでしょう)が長寿の原因は何だったろうか、と科学的な検査、診察を始めました。

そして「シガレット喫煙は肺に悪いし,循環器系にも悪いので、今後更に長生きをするためには禁煙を」と要らぬ助言をされました。

若い医者どもの要らぬ助言に従って、可愛そうに泉さんは禁煙してしまいます。

その後、数年して彼は亡くなります。

人生の最後において自分の一番大好きなことを他人から圧力を掛けられて奪われた時、どう感じますか?

ストレスのみが残ったのではないでしょうか。

別に日本一長寿者になるのが願いでもなかった泉さんにとって、「禁煙しろ」などの医者のお為ごかしの助言はありがた迷惑の限りだったでしょう。

泉さんがしたかったことは、のんびりと縁側に座って、ゆったりとして好きな煙草をくゆらしながら、ぼーっとして海を眺めて一日を過ごすことではなかったのでしょうか。

そして静かにそっと寿命を終えること。

これが泉さんの願いだったのではないのでしょうか?

これこそがQOLではありませんか。