パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

津軽海峡でパイプを吹かす

JPSC僻地巡りの会

旅行好きのパイプ仲間と一杯飲みながら雑談しているうちに、猛暑の東京を脱出して、涼しい青森の下北半島を旅行しようということになり、7月の週末を利用してパイプ仲間3人で行って参りました。

名付けて「日本僻地巡り」。

仕事を早めに片付けて金曜日の夕に三沢空港着。八戸まで戻って駅前の居酒屋で、地元のパイプ仲間も加わって懇親会。八戸の温泉で一泊して土曜日は生憎の雨模様の中、車で下北半島を縦断すべく、マグロで有名な大間目指して一直線。

斧の形をした下北半島は、広大で行けども行けども森林と畑ばかり。陸奥湾沿いには風力発電の巨大な風車が林立していました。途中休憩も入れて4時間のドライブでようやく日本本土最北端に到着。天気は薄曇でしたが、さすがに涼しく津軽海峡の向こうには北海道の姿が薄ぼんやりと見えました。

大間はマグロの一本釣りで有名ですが、案内してくれた大間の知人によると、近隣で総工費8000億円とかいう原子力発電所の建設が進んでいるそうで、町には原発建設マネーがふんだんに落ちて、活気に溢れていました。物寂しい漁村をイメージしていたのですが、大はずれといったところ。人口が少なく、これといった産業もない下北半島に原子力施設を誘致したのは、先見の明でしょう。

青森特産のヒバ油やヒバ加工品の製造工場などを見学して、夜は当然、町営の温泉宿泊施設で大間のマグロの刺身に舌鼓を打ちながらの温泉泊宴会。大間の一本釣りマグロは最高級品とあって水揚げすると東京・築地に直送されることが多く、地元にはあまり残らないとのことでしたが、知人がわざわざ差し入れてくれた大トロ、中トロは、油がしつこくなく、まさに絶品。地元の方は大トロの切り身でワサビを巻いて食べるそうで、試してみましたが、乙な味でした。

窓を開けると、涼しさが一杯。やはり、猛暑の東京を脱出して、はるばる来て良かったと、皆で感慨無量。

知人の上司のご厚意で、翌朝は津軽海峡を大型ボートで遊覧しようということになり、早起きして港へ。幸いなことに海は風もなく、ベタ凪。大間港の外辺りをぐるりと回るのかと思いきや、「対岸の函館に行こう」ということになり、時速約60キロの猛スピードで津軽海峡を疾走しました。

なんでも大間から東京へ行くのに、三沢空港や八戸駅まで出るのに時間が掛かるので、定期フェリーで函館まで行って、函館空港から行くのが、最も時間が掛からないそうです。

真夏の津軽海峡は、実に爽やか。海峡の中にいくつも鮮明な潮目があり、日本海から太平洋に太い海流が流れていることが実感できました。

海峡の真ん中でボートを停めてもらって、マドロスパイプを皆でゆるりと一服。冬場の津軽海峡は時化ると高さ十メートルもの高波がうねるそうですが、この日は、そよとも風がなく海面は鏡のように滑らか。本当にあの津軽海峡の真ん中で漂っているのかと思うほどの静けさ。幻想的な至福の瞬間でした。

今回、大間から函館までは、高速ボートで30分足らず。函館港に上陸しないで、再び猛スピードで大間に。1時間余りの海峡往復でしたが、この間、ずっと甲板に座って太陽と潮風に当たり続けたので、全員が潮焼けしてしまいました。

帰途はヒバ林の中の露天風呂でパイプを満喫して霊場恐山を巡礼。恐山の湖も無風で鏡のように滑らかでしたが、海と違って不気味な感じがしました。

夕方、八戸経由で帰京。戻ると再び、猛暑。下北半島の雄大な自然と大間の人々の温かい人柄に接することができた充実のパイプ喫煙旅行でした。