パイプの愉しみ方
流星丹波
丹波 濫藏
その昔愛読していた時代劇漫画で、主人公の危機にしばしば覆面の浪人が”せんべいしゅくしゅく〜”と吟じながら登場した。湿気った煎餅の歯触りが、切羽詰った事態をほっこりした気持ちにする名セリフと長らく思っていた。後年、謙信が夜半密かに渡河して信玄の本陣に迫り、斬りつけて鉄扇に躱された故事を詠じたものと知って腑に落ちた。
題不識庵撃機山図 | 頼山陽 |
鞭声粛粛夜過河 暁見千兵擁大牙 遺恨十年磨一剣 流星光底逸長蛇 |
愚弟が無闇に木の棒を有難がっているが、棒切れを散らかされる家族の身にも成ってみろ。十年間一本を磨いても長蛇を逸するのである。鍛えるべきは呼吸の技であって、道具ではないであろう。と、苦言を向けたところ”流星タンパー”なる発光するタンパーを持ち出してきた。
流星タンパー