パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

我偏愛竹軸

バンブー佐竹

竹は草木本イネ目イネ科タケ亜科のうち茎が木質化する種の総称である。先日喫煙関連の通夜に馳参じ、故人遺愛の根竹ステッキに遺徳を偲び、ダンヒルの花輪に見とれて帰路に着いた。根竹のステッキは、維新後ヨーロッパの博覧会に日本の特産品として出品され、チャップリンが愛用したことで知られる。英国では作成した竹根職人の名前から”Kimura"といえば、竹のステッキを指した時代もあったらしい。一方、ステムに竹を用いたパイプは軽量、強靭、外面の美麗に加えて、その内部組織の多孔性により喫味がマイルドになる気がする。

しかし、竹がパイプの一部に留まっているのはバンブーファンとしては物足りない。そこで目に止まったのが、パイプ改造チューナーとして一部に知られるシャンク永井氏の作品(変造品?)である。

本来、パイプのチューンナップは外見ではなく、内部形状の流体力学特性あるいは管内表面の高性能化であるが、喫煙具としては馬力向上等の単純な数値化が困難である。喫煙者の呼吸が如何にタバコの燃焼や喫味に反映されるかという喫煙性能は、まだ定式化以前の段階といわざるを得ない。感覚に頼るチューンナップの困難さはいかばかりかと頭が下がるところだ。

竹といえば、某タンパー作家も竹材を頻用することで知られる。最近、タンパーだけでなくボウルスプーンとモール入れの機能を併せ持つと豪語する試作品を入手した。

さらに、マッチの軸木を入れて機能を増やしてはと提案したところ、竹の可燃性に鑑み発火事故の危険を解消しないと作成できないとのことである。自動消火器機能を付加することまで検討しているらしい。原子爆弾の必須要件は、不発でもいいから絶対に暴発しないことだと諭されては、大仰なと思いつつ引き下がる他は無かった。