パイプ座談会
パイプの葉 座談会 その3
梶浦: パイプ煙草の葉は買ってきた時には、若干湿気ているわけだよね。で、やはり、乾燥したらまずくなる。
森谷: そうそう、乾燥したらまずい。(大きく頷く)
Q子: 気をつけないといけない点ですよね。
外川: 湿気を保つ方法というのが物の本には色々と書いてある。新聞紙を庭に広げて、そこに煙草の葉の乾いたのを全部拡げて、霧吹きで霧を吹いて、少し時間が立ってから缶に入れて封印するとか書いてあるけど、実際問題、乾く前に吸い切るのが一番だな。
森谷: でもね。私は百円ショップの霧吹きで2回、シュシュとやって……
Q子: それは水ですか?
森谷: うん、普通の水ね。ミネラルウォーターでもいいんだろうけど。
梶浦: そういう特技は初心者にはあまり紹介しないでさ。
森谷: いや、じゃぶじゃぶと水を入れると変になるからさ。霧吹きで2,3回程度の加湿でいいよということ。
外川: 濡らしちゃうと、駄目だよね。
梶浦: 要するに、乾いちゃうと燃焼速度が速くなって、どうしても辛く感じるんだよ。
森谷: 大体、良い香りがしなくなるからね。乾いちゃうと。
梶浦: 若干、湿気てて、良い香りがするのを吸うのがポイントだな。
森谷: (日本専売公社の著名な煙草ブレンダーだった)村上さんの理論によると、火が燃えてて、その脇にくすぶった煙草の葉があって、そこから水蒸気と気化した煙草の香りが出て、それがいい香りなんだ、ということだそうです。
梶浦: なるほど。(感心する)
森谷: だから水分があって、適度に低い温度で燃えていないといけない。
梶浦: 誰が水分を加えたらいいっというのを見つけたんだろうね。生活の知恵でそうなったんだろうけど。
外川: 一つ話として、俺なんか昔は、よく出張をやったんだけど、パイプ煙草をよく忘れちゃうわけだ。それで、しょうがない、紙巻き煙草を買ってきて、ほぐしてパイプに詰めてとりあえず吸うわけだ。それが葉っぱが、乾いているから辛くて辛くてどうしようもないわけ。
森谷: しかも紙巻き煙草(の巻紙)には助燃剤が入っているしね。
梶浦: そう。助燃剤が入っていることは大っぴらには言われていない。
森谷: そうなんですか?
Q子: 助燃剤とは?
梶浦: 燃焼を助けるやつ。燃焼促進剤。だからシガレットは火を着けると消えないんだ。
森谷: 火事になるまで燃え尽きる。これはオフレコね。
梶浦: 公には言われていないんだよ。
外川: だから、パイプ煙草で火事になったって話は、聞いたこと無いよね。
梶浦: まあ、助燃剤の件はタブー(※)なんだよ。
- ※専門家によると、紙巻きタバコの巻紙に含ませている助燃剤の話は、タバコ製造会社にとって別に隠す必要があるタブーではないが、専門的で敢えて触れる必要もないので、世界のどのタバコ製造会社も書いていないそうです。(Q子のミニ蘊蓄情報)
森谷: タブーなんですか? まずいかな? でも、硝石あたりを加えるだけでしょう?
梶浦: だけど、どこにも書いていない。
松尾: パイプ煙草の方の本には、シガレットへの発火剤(燃焼促進剤のことか?)添加のことは書いてありますよ。
梶浦: パイプ煙草の方にはね。
松尾: シガレットと違って、助燃剤が入っていないから、パイプの火はすぐ消えるとかね。
梶浦: シガレットの本には決して書いていない。
森谷: 話が脱線するけど、ショートピースだけがなぜ美味しいか知っていますか?(とQ子に訊ねる)
Q子: ………
森谷: あれだけ、巻いている紙が違うから。麻が90%入っている。他のシガレットは麻は50%位しか入っていない。これはパイプの話と違って余談だけどね。
梶浦: 紙が違えば、味はちがうだろうな。
森谷: 普通に薬で漂白して加工した紙とはね。麻はそんなに加工していないからね。
● Q子が、後で専門家に詳しく伺ったところでは、「シガレットの巻紙に助燃剤が添加されているのは、タバコの葉っぱと巻紙の燃える速度を同時にするために必要なものであり、燃焼を促進したり、火が消えないための工夫ではありません」との解説でした。
● 忌憚のない話が得意な四人組とあって、話はパイプの葉から、シガレットの巻紙へ大幅に脱線し、煙草製造会社の逆鱗に触れかねない話とあいなりました。続きは、パイプの葉っぱを巡っての蘊蓄の是非についてとなります。次回をご期待下さい。