パイプ座談会

パイプ座談会

パイプの葉 座談会  その4

外川:  この座談会の最初に、パイプ煙草はこれで出来上がっているんだという話をしたでしょう。20年くらい前には日本専売公社あたりも自分のところのパイプ煙草を売りたいがために、自分の煙草を3割、マクバーレンを例えば1割、他のものを何割とか入れて、自分のマイブレンドが出来ますよ、とか言っていた。 俺は奨めないけども、そういうことをやるもの、パイプの世界においては自由なんです。 ともかく究極的に自分が美味しくて気に入ったものなら何でもいいわけです。

森谷:  そうそう。他人にとやかく言われる必要はないよね。

外川:  自分がいいと思えば、それでいいんです。パイプの世界は。今の世の中そうだけどね。

松尾:  だから、あんまり蘊蓄を語るものではないんだよね。

外川:  そう。蘊蓄を語るものじゃないんだよね。勝手に自分でやればいい。自分でいいと思えばそれでいい。あくまで主は自分なんだよ。

松尾:  余計な話だけど、このJPSCのクラブに入った時に、蘊蓄の話があまり出ないのが嬉しかったです。

Q子:  そうですね。

松尾:  出るんかな?と思っていた。

森谷:  蘊蓄を一番出すのは、あなた、松尾さんですよ。

Q子:  アハハハハ

松尾:  笑うところじゃ無いですよ。

森谷:  笑うところです。

森谷:  他人の蘊蓄なんて聞きたくないね。

Q子:  でも、一杯飲んだら、皆さん、熱く蘊蓄を語るじゃないの。

松尾:  よく覚えているね。

森谷:  昨夜、テレビを見ていたら、ショパンが弾いたプレイエルの話をやっていましたな……(と松尾氏と延々とピアノの蘊蓄の掛け合いになるが、パイプ煙草と関係ないので惜しくも割愛)

梶浦:  話を戻すけど、初心者の場合は、別にどれと決める必要は無いわけだし、あれやこれややってみて、経済的なやつをやればいい。いつも言うんだけど。シガレットは一箱300円するでしょ。まごまごしていると1日2箱吸ってしまう………

外川:  (梶浦氏の話を遮り)それでね、梶浦さんと同じことをいうことになるだろうけど、そもそもパイプ煙草、これは労働者の煙草なんですよ。歴史的に。

梶浦:  アハハ

外川:  貴族になると葉巻になってしまうんですよね。パイプであっても貴族になるとメアシャム(海泡石)で吸うんです。メアシャムで吸うんです。 だけど、なぜパイプかと言うと結局、自分で量をコントロール出来るわけ。 で、昔は煙草は高かったわけ。 パイプだけのバーというのが実際に英国にあるけど、そういうところに行くと、高くて買えないからパイプのボウルに煙草一杯分でいくらで貸し出すわけ。ウィスキーと同じで、ワンスモークいくらでやっているところがあったわけ。 だから労働者はワンスモーク買って、これをゆっくり吸って時間を潰して帰ってたわけ。 だから、今でもそうだけど、吸い方によってはシガレットよりも遙かに安いということになる。

松尾:  パイプを知らない人によく聞かれるのは、そういうことなんですよね。パイプは高いという印象がある。ところが僕らが3グラムでロングスモーキング大会で勝負して大体1時間は皆、超えてしまう。3グラムと言えば、シガレット1本が1グラムだから、フィルター部分を除けば、大体シガレット4本分を1時間以上かけて休み無しにゆっくり吸うわけ。そうすると50グラムの袋では20時間は吸えるわけ。そういうことをみんな知らない。道具さえ買えば、こんなに安いのはないね。

外川:  道具と言っても、ピンからキリまである。

梶浦:  シガレットはよく吸う人は2箱吸うけど、普通は1箱だよね。そうすると大体、1週間で2千円使う。パイプは1箱が800円だけど、普通に吸っていて1週間で1箱だよね。だからそれだけ経済的なわけ。

外川:  普通はパイプ煙草1箱で10日は持つと考えていい。

梶浦:  全然リーズナブルだな。

松尾:  喫煙時間で考えると、パイプはシガレットと比べて、全然経済的だと考えていいね。

森谷:  ただ、パイプは職場で吸いにくいケースが多いのが問題だよね。

梶浦:  それが問題だな。

松尾:  僕の場合は職場に喫煙室があるので、そこにショートスモーク用のパイプをいつも置いて、休み時間にパッパと火を着けて、一口二口吸っては授業に出て、また休み時間にプカプカっと一服という感じ。

梶浦:  最近は職場では喫煙室になってしまったから。昔は職場でシガレットを吸っていたよね。そういうことで言えば、昔はパイプを職場で吸うのは難しい感じが

あったけど、今のように喫煙室になるとパイプでもシガレットでも同じになったかな?

森谷:  今は、ビル全体が禁煙みたいな馬鹿なことになってしまって、ビルの入口で吸っているよね。ああいうところで、どうパイプを吸うんだろうね。

外川:  あれ、惨めだな。

梶浦:  松尾さんはまったく紙巻きは吸わないの?

松尾:  吸わないですけどね。ただ、居酒屋なんかに行ったときに、パイプを吸えるかどうかわからないから、紙巻きを一箱買うこともありますけど。ただ、馴染んだ店は、僕がパイプだと分かっているから、問題ないですね。時々は葉巻も吸いますね。

森谷:  ウィスキー飲みに行ったら、葉巻もいいね。

梶浦:  脱線するけど、葉巻はね、一回火を着けて、消してまた吸うと美味くないな。一回消えたらさ、どうやっても美味くない。

森谷:  燃えてないところまで1センチくらい切って、また吸えば……

梶浦:  駄目。それでもどうやっても美味くないな。吸い口に苦いのが残っているから。

松尾:  息を吹き込んで出しても、どうやっても駄目ね。

森谷:  プレミアムシガーだったら、燃えたところから少し切って吸えば、それなりに美味しいのでは? 一度消して苦くなった根本の吸い口が美味しいという人もいるよ。

Q子:  へえー。(と驚く)

森谷:  いや、根本が美味しいですよ。いい葉巻は。もう燃えて、なくなっちゃうんだ、という気持ちがあるからね。 梶浦、

梶浦、Q子:  アハハハハ

松尾:  このJPSCに入って教えて貰ったんだけど、シガーを吸って消して、3センチくらい残ったのを、またパイプに詰めて吸えば実に美味しいんだね。これまで捨てていたわけじゃないですか、なんと勿体ないことをしていたかと思うね。最後まで美味しく吸えるんですよ。やってみて、本当にびっくりした。

森谷:  そのためにはね。内径が18ミリのパイプを何本か揃えていないとね。

梶浦:  大森君だよ。

松尾:  (大森さんから)教えるんじゃなかったと、言われてさ。

森谷:  それで、大森さんが葉巻の吸い殻を拾い集めて……

梶浦:  葉巻のモク拾いだね。


●パイプの話が紙巻きから、葉巻へと次々に脱線していますが、それでもまたパイプに戻っています。続きは、高級な葉っぱの話題になります。乞うご期待。