禁煙ファシズムにもの申す

禁煙ファシズムにもの申す

喫煙者も声を挙げよう

“愛煙幸兵衛“氏の「喫煙タクシー」が掲載された。神奈川県在住の筆者はタクシーの全面禁煙開始日に、自宅から新横浜駅までタクシーを利用した。運転手は済まなさそうに「今日から、全面禁煙になっちまいました。」、「私は構いませんから、どうぞ喫ってください。」という。


「パイプは香りが良いし、臭みも残らないですからね。」と話すその運転手氏によると、彼の会社のタクシー運転手の9割近くは喫煙者だという。「一番困っているのは、運転手ですよ。」ともいう。


先週、米国・カナダからの帰り、成田から自宅まで乗ったタクシーの運転手氏も「私はタバコは喫いませんが、構いません。喫って下さい。長い時間、飛行機の中で我慢なさってたのですから。」といってくれる。


タバコの煙の数千倍の有害排気ガスを出して走るタクシーに乗る時は禁煙しろという、馬鹿げた話である。以前、静岡の“車の中で喫う場合は窓を閉めろ”という愚かな条例について書いたことがあるが、マフラーにも蓋を被せて走行しろとしないところに馬脚が見えてくる。


運転手氏に「何で、君らが反対しないの?」と訊ねる。「業界団体が運賃の値上げを図っているので、禁煙措置をとらないと認可が下りにくいようですよ。待遇改善がかかっていますからね。」という。


確かに紙巻きタバコを車中で喫われると、エアコンのフィルターに付着して嫌な臭いがすることがある。二次喫煙の害から運転者を護るともいうが、「二次喫煙の害」の非科学性については既に書かれているのでここでは取り上げないが、運転手の大多数が喫煙者であるなら余計なお世話であろう。紙巻きタバコの臭いが嫌いな少数の乗客のためなら、他にも方法があろうというもの。


毎日、パイプを喫いながら車でオフィスへ通う筆者の車にはそんなことはない。時々非喫煙者の外国人を乗せることがあるが、車中でパイプを喫っているのに臭いがしないね、と不思議がられる。タクシーの喫煙乗客はパイプに限るとでもすべきではなかろうか。


「健康増進法」なるものの矛先がタバコに向けられる理由は何か?生ぬるい排気ガス規制を考えると、喫煙者は産業保護・経済優先の国家政策の犠牲にされているとしか思えない。しかし、よく考えると喫煙者は膨大な税金を納め国家・地方自治体に多大な貢献をしているのである。我々が納めるタバコ税の使途は全く公表されていないが、一部は路上禁煙などの費用に充てられているものの、非喫煙者もその恩恵に与っているのである。感謝こそされても非難される謂われはないのである。


公共の場所での禁煙が問題になっているが、先日訪れた、カナダのバンクーバーでは商店を含めた不特定多数が出入りする公共の場所・建造物では喫煙禁止となっている。バンクーバーで最も評判の高いパイプ店に現地のパイプ・クラブの会員8人ほどが集まってくれた。もちろん、パイプ屋やタバコ屋も喫煙不可である。ところが、クラブ員の一人でもあるここの店主は、表のドアを閉め、カーテンを降ろして、「折角日本から来てくれたのだ。皆で盛大に喫おう!」と歓迎してくれた。


Vancouverのパイプ屋の写真
Vancouverのパイプ屋の写真

その後訪れた米国では、感謝祭の夕食会に招待されたのだが、同席した警察学校の教師は、「私は葉巻しかやらないが、パイプの香りは良いね。」といいながら、「米国では州によって異なるが、基本的にはタバコ店は換気装置を付けているので路上禁煙の街でも、タバコ店での喫煙は問題ない。」と話してくれた。150年の歴史を誇るシガゴのイワン・リーズの店では、店内にソファーを備えたチョットした小部屋の喫煙コーナーがあり、客は求めたばかりのシガーやパイプをゆったりと楽しんでいる。


以前、東京の癌研病院についてチョット書いたことがあるが、その後病院内(あるいは敷地内)での禁煙について、病状改善の見地からも禁煙させられる患者のストレス解消を図る必要があるとして、喫煙場所提供の是非が論議されていると聞いている。


都内のある外資系ホテルでは、以前は上級室の宿泊客用ラウンジではパイプも葉巻も可であった。ところが、突然これを不可とした。強硬に抗議を申し入れたところパイプも可の喫煙コーナーを設けたので再び利用することにした。ところが、再び断りもなく全面禁煙にしたので、以後宴会も含め利用は全面停止にした。


こと喫煙に関して、「長い物に巻かれろ」が官僚やマスメディアの基本姿勢であるなら、反喫・禁煙派のヒステリックかつ非科学的な声に耳を塞ぐだけではなく、喫煙者も声を少々大きくする必要はなかろうか。わが国ではパイプは紳士の小道具とみなされることが多い。しかし、時には、おとなしい紳士の仮面を脱ぎ捨てよう。


サンクロード・パイプマスター・コンフレリー(仏)会員
鈴木 達也
2007/12/06