禁煙ファシズムにもの申す

禁煙ファシズムにもの申す

暴走する厚生労働省
愛煙幸兵衛

昨今の新聞報道によれば、厚生労働省が多数の人が利用する施設に対して原則全面禁煙とするよう求める「通知」を出したそうです。厚生労働省はこの「通知」とやらを、自治体などを通じて施設の管理者に周知を図るのだそうです。

いつの時代から我が日本国は、行政府の一役所の役人風情が出した「通知」とやらが、国会で制定した法律に代わって、国民生活を好き勝手に左右できるようになったのでしょうか?

新聞はご丁寧にも「通知違反にも罰則はない」と書いています。当たり前の話です。おそらくこうした記事を書いた記者は罪刑法定主義という法律のイロハのイも知らない面々なのでしょう。お粗末な記者諸君です。

厚生労働省の偉いお役人サマと報道各社の記者諸君に、老爺心から教えてさしあげますが、行政機関が好き勝手に「通知」とやらを出しても、国民を縛る何の法律上の効力もありません。

日本国は、小役人が威張り散らす中国や北朝鮮みたいな共産独裁全体主義国家ではないのです。

つまりこの奇怪な「通知」とやらは、犬の遠吠えみたいなものです。国民は従う必要もなければ、尊重する義務もありません。本当は立ち上がって反撃すべきですが、皆忙しいのでそんな暇はありませんから、無視していればよろしいのです。

詰らぬ小役人風情が分を弁えずに思い上がるなと言いたいですな。

現役官僚の自称三番弟子君の話では、昨今の新聞記者は、昔の骨のある記者と違って、役人に飼い馴らされたかのような哀れな連中が多いそうです。毎日新聞の社説を読むと、厚生労働省の「通知」とやらを無闇にありがたがり、施設内での全面禁煙を促進すべしとの乱暴な論陣を張っておりました。毎日新聞は考えの浅いお方が論説記者になっておられるようで、最近、視野の狭さと思考の粗雑さばかりが目立つ社説が多いと感じます。昔の毎日新聞は私の知る限りでも硬骨漢の尊敬に値する記者が多かったと思いますが、社運の衰退とともに立派な記者が淘汰されてしまったのでしょうか。まことに残念なことです。

読売新聞は大部数のせいか、読者の多くを占める愛煙家を敵に回してはまずいと言う自制が働いたようで、やや抑制された論調で、「行政機関が上から国民に押し付けるような禁煙運動は好ましくない」と釘を刺しておりました。察するに、読売の論説記者には葉巻愛好家で鳴らすナベツネ氏の睨みが利いているようで、昨今は煙草の問題にも抑制された記事が増えているようです。

朝日や日経は報道はしても社説では触れていなかったと思います。小役人が勝手に出した通知」とやらにいちいち反応する必要はないという見識なのでしょうか。

最近のマスコミ論調を見ておりますと、過激な禁煙・嫌煙原理主義者が主導する嫌煙運動の中に潜んでいる危険性が遅まきながらようやくわかってきたようです。以前は、禁煙運動を応援するような記事ばかりが目立ちましたが、最近では禁煙運動の功罪を冷静に報道する記事が増えています。行き過ぎた嫌煙・禁煙運動が社会に齎す実害が徐々に判って来たからでしょう。

原理主義者の特徴は社会全体の調和や歴史などを無視して一つの物事のみに焦点を合わせ、過激な主張をすることにあります。過激な禁煙・嫌煙原理主義者は喫煙者や煙草会社を異様なまでに敵視し、煙草がこの世から無くなれば、人間は癌にかからなくなるというような妄想を世間に撒き散らしています。一言で言えば視野が狭く、バランス感覚が無い連中です。

鯨を守れとか叫んで捕鯨調査船を妨害する環境テロリストのシー・シェパードと称する連中や、動物の命が人間の命より大切だと主張して動物を使った実験をする科学者にテロ活動を行う過激な動物愛護運動者となんとなく一脈通じるものを感じませんか?

禁煙運動自体を否定するつもりは毛頭ありません。一つの考え方でしょうから、良識の範囲内で節度を弁えて運動するならば、勝手におやりになれば宜しい。しかし、官僚やマスコミがそうした運動に加担し、お先棒を担ぐと、世の中がおかしくなります。ご存知の通り、既に松沢某とかいう松下政経塾上がりのおっちょこちょいの旗振りで禁煙条例を制定した神奈川県は次第に自由の無い刑務所のような自治体になり始めているじゃありませんか。

話を厚生労働省の「通知」に戻します。恐らく、この「通知」の根拠となっているのは、なにやら物欲しそうな御用学者ばかりを集めた審議会の答申のようなもののようです。インターネットで検索できるので馬鹿馬鹿しいと思いながらも通読しましたが、最初から結論ありきで、たばこ有害説に疑問を挟む事を問答無用とばかりに切り捨てる役人の駄文でした。

役人が自分の好む方向に政策を進めたいときには、御用学者を集めて審議したという形式を整えて答申を出します。見え見えの出来レースですが、いまだにこうした目くらましの手法が通じると思っているようです。

今回の厚生労働省の「通知」の背景にある審議会の答申も同様の仕組みで、煙草嫌いの御用学者ばかりを集めて権威付けした醜悪なしろものでしょう。

役人が思い上がると、大義名分を造ってとんでもないことを平気でやります。戦前の一部の思い上がった陸軍省や海軍省の軍部官僚連中と構図はまるで同じです。

過激な嫌煙・禁煙原理主義者と結託した役人の暴走を、もうそろそろこの辺で止めさせないと、彼らは「健康」を大義名分に掲げて、とんでもないことをやりはじめるでしょう。

「たばこ」の次はまず「酒」を槍玉に挙げるでしょう。その次は「メタボ追放の強制運動」でしょうかね。まるで刑務所と同じ雁字搦めの息苦しい社会を作りたいようです。

私は日本人の平均寿命を遥かに超えて長生きし過ぎており、この世に大した未練はありませんが、大切な子孫が「狂った健康全体主義」の頚木の下で呻吟するのだけは見たくありません。

2010/04/12