禁煙ファシズムにもの申す

禁煙ファシズムにもの申す

雲造院杢杢愛煙信士のつぶやき7
雲造院杢杢愛煙信士

某年某日

「嫌煙運動家に名医はいない」

こう書くと怒る人もいるだろう。

しかし、これは我が家に遊びに来る禁煙運動家のご立派な歯医者サンが、自らの経験を踏まえて私におっしゃった言葉である。

先日、「嫌煙屋の医者=ヤブ医者=嫌な奴」と、はっきり本当のことを書いた。

日本パイプクラブ連盟には「まさにその通りだ」と賛同する意見が相次いだそうだ。中には異常に興奮して噛み付いてくるヤブ医者とおぼしき阿呆もいたそうです。人間、本当のことをズバリと言われると、怒りますからね。

さて、その記事をお読みになった歯医者サンが、我が家の紫煙濛々たる遊び部屋にいらして記事の感想をひとくさり。

「確かに禁煙運動をしている医者には、門前市をなすような名医はいない。そんな忙しい方が禁煙運動などしている暇は無いですからね。かと言って全くのヤブだと患者さんが寄り付きませんから、収入が無く、禁煙運動など出来ませんよ。まあ、医者も客商売ですからね。かく言う私も、500m四方に8軒も歯科医がいる地区で、儲かるインプラントなどの治療をしなくても、何とかやっていますからね」とのこと。笑っておっしゃった。

ご自分の歯医者としての技量をちゃんとわきまえておられるのが偉い。私はこの歯医者サンを人間として段々尊敬するようになってきたのだ。

以前、私の古武道の後輩が、たばこを全く吸わないのに肺癌になった件でショックを受けられたのか、この歯医者サンは一ヶ月ばかり我が家に遊びに来られなかった。

毎日の様に来ておられただけに、やはり少し寂しかった。

年が明けて、また来られるようになったが、以前と比べモノの言い方が微妙に変わった。
以前は上から目線丸出しの「たばこを止めましょう」だったのが、最近は「止めた方が良いと思いますけど……」とトーンが相当落ちた。

他人の趣味嗜好に口を差し挟む余計なお世話そのものだし、そもそも嫌煙屋サンお得意のたばこに関するイカサマ疫学(間違った前提条件、統計のトリック、不都合な事実の隠蔽などのあざとい詐術)を盲信した結果の誤ったお節介であることには変わりは無い。

ただ、我が家の遊び部屋に一日中たむろするスモーカー連も、この純真な歯医者サンをからかったり、反発することは少なくなった。言い方が控えめになられたからだろう。

何よりも嬉しいのは、以前は、嫌煙運動に狂奔する日本禁○学会とやらが発表した怪しげな話を100%信じておられたが、最近では「これ、何だかおかしいのではないかな?」と疑問を口に出されるようになられたことだ。

嫌煙プロパガンダを鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考えられるようになったのだ!

徐々にではあるものの、洗脳状態が解けて、大人の良識を取り戻されつつある。

嬉しい!


某年某日

このカルテが目に入らぬか!

「今晩は〜」と肺癌末期の古武道の後輩が、我が家に遊びに来た。以前、この欄で紹介した元警察官だ。

「おう、よう来たナ、しばらく来ないから、とっくに死んだと思っていたぞ」と冗談が言えたほど、見るからに元気そうだ。

一見しただけでは「本当に末期癌なの? ウソでしょ」と誰しも思う。それほど元気溌剌だ。

酒も呑まず、たばこも吸わず、古武道に精進していた頃は痩せて精悍な体型だったが、顔色も良くなりすこしふっくらしてきた。

彼はやはり肺癌で亡くなったご尊父の最期を看取った経験からか、医者の勧める延命治療をきっぱりと断り、残り短い人生を楽しみ、充実させるのを優先したいと決断した。

それで、今までお世話になった方々へ、お礼の言葉とお別れを告げに全国各地を訪れたそうだ。お礼の旅はほぼ済んだので、最近は行きたかった所に気の向くままに足を伸ばしているという。

旅の先々で美味しいものを食べ、地酒を飲み、パイプを吸うという、まことに自由気ままな生活だ。

お金のことなど気にせず、景色や風物を楽しみ、好きなときに好きなものを食べ、好きなだけ寝て、好きなだけたばこを吸い、好きなだけ酒を飲むという生活は、ストレスが無い。

だからだろうが精神状態が良くなって免疫力もアップしたようで、肺癌の進行が遅くなり、医者が不思議がっているそうだ。

「後、どれくらい生きられるかは判らないが、医者が宣告した余命はとっくに過ぎているので、たとえ明日死んでも悔いは無いですよ。人間、必ず一度は死にますからね」と他人事の様に笑った。

子供の頃から手ほどきした彼が、そこまでの境地に到達している事に感服した。悟りの境地に近い。

彼は、いつ体調が急変しても対応してもらえる様にと、カルテのコピーと連絡先等を持ち歩いている。

旅先でパイプをゆったりと吸っていると、「たばこは止めた方が良いですよ」などと要らぬお節介をする莫迦な嫌煙運動屋サンによく出会うそうだ。

その時はおもむろにカルテを取りだして見せ、「自分ははたばこを一切吸わなかったが、肺癌になった。ステージ4の末期だから好きにさせて貰いたい」と言うと、全員黙るそうだ。

「カルテがまるで水戸黄門様の印籠のよう。考えが硬直した嫌煙屋も黙って引き下がるから、煩わしくなくて、気分が良いです」と言っていた。

2012.02.04