パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

髭のジョルジュ〜小さな町のパイプ・スモーキング・クラブ事始め

僕はその店を「安らぎの隠れ家」にして独りでパイプを楽しんでいた。

「良い薫りですね。何の葉ですか?」とある時一人の紳士がパイプ片手に近寄って来た時からこの街のパイプ世界の扉が開かれた。

あれから3年になる。

50年以上も独りで嗜んでいたパイプ・スモーキングの喜びを今では20人の友人達と共有できるようになった。

月1回の例会が今では待ち遠しい。

年を重ねて余り場所柄を気にしなくても良くなったので、巻き煙草を止めて専らパイプ一筋で楽しんでいる。僕には「OLD DRUM」という昔からの拘りの葉があってVIRGINIAとブレンドして舌を刺さない、ヴァニラ風味の薫りを作っている。

強さと味はベースにするVIRGINIAと「OLD DRUM」の割合を調節してその時々の自分の好みに合わせている。

その薫りが皆の気に入ってこの集まりが始まったのだからまさにこの会は「薫風に蜜の味を求める働き蜂の群れである」。

最近ESTERICAのSTONE HEAVNとPENZANCEにのめり込んで、LATAKIA、ORIENTALの良さに馴染んできた。美味しい葉を求めて奥の細道は続く。

パイプと言う道具が又たまらない。僕には出来るだけ長くて太いのが吸い易くて美味しいように思える。

形はその人の好みだが、僕は「Horn」や「Olipant」が好きで、いつの間にか同じ形ばかり増えてしまった。

パイプ写真

お宝はG,HOLBEKのPOLONIUSだが、楽しみはなんと言っても好きなパイプと出会った時の心のときめきである。

長い間に何時何処でどうして買ったのか、誰から頂いたのかなどそのパイプを磨きながら出会いをパイプと語り合うのが至福の一時である。

1本1本に忘れられない心の繋がりが息づいている。

僕は安らぎの薫りと味を求める働き蜂の「髭のジョルジュ」で始まったこの集いを何時までも大切にしたい。

集いが次第に膨らんで皆がそれぞれに自分の葉への「拘り」とパイプへの「見識」を持って仕事の余暇をパイプ・スモーキングに託して楽しむ姿に明日への活力と健康への喜びを感じる。

パイプ・スモーキングは「心の安らぎ」であり、「長生きへの入り口」だと思っている。

奥様方の理解と寛容に感謝して筆を擱く。

小さな町の鴻峰山人