パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

映画「終戦のエンペラー」とパイプ

7月27日に松竹系で全国一斉公開される「終戦のエンペラー」(原題Emperor)の試写会に、パイプのご縁で招待された。原作は岡本嗣郎氏の「陛下をお救いなさいまし 河井道とボナー・フェラーズ」である。

岡本嗣郎氏の労作ノンフィクションを、ハリウッド映画らしくラヴストーリー仕立てに脚色してあるが、十分楽しめる良質の歴史ドラマに仕上がっている。この夏、映画でも観に行こうかとお考えの方にお勧めできる、大人が観て決して損はない作品だ。

ダグラス・マッカーサー元帥が厚木飛行場に降り立った時に、傲然と咥えていたのがコーンパイプ。有名なシーンである。

進駐軍の最高司令官が荒廃した敗戦国日本に乗り込む。天皇(大元帥)陛下の降伏命令が下ったとはいえ、大日本帝国陸海軍の将兵の中には、屈辱感から、ついこないだまで憎むべき敵だったマッカーサーの命を狙う過激分子がいることは容易に想像できる。狙撃されるかもしれない。

そうした中で、マッカーサーが「アメリカ男の心意気を見せてやろうぜ」と部下に掛け声をかけて、丸腰でサングラスにコーンパイプを咥えて飛行機のタラップから降り立つ。

マッカーサーが、わざわざ咥えてみせたコーンパイプは、一体何を意味するのだろうか。様々な解釈や読み解きが可能だろう。しかし一言でいえば、マッカーサー自身が言ったように「アメリカ男の心意気」の象徴なのだろう。

トミー・リー・ジョーンズが、狡猾な政治的軍人マッカーサー元帥になりきっていた。はまり役だ。主役のボナー・ フェラーズ准将役をマシュー・フォックスが好演していた。東條英機大将役が火野正平とは???と思ったが、日本側の配役もまずまず。

映画が終わって、色んな感想が去来した。時代考証はしっかりしているが、娯楽作品への翻案のせいで、不自然な場面もいくつかあった。軍事常識の乏しさに起因すると思われる字幕の誤訳もあった。しかし、それらは些末な事柄である。

ハリウッド映画が、歴史の事実を、日米双方の立場からここまで客観視して描けるようになったことに、日米関係の成熟を感じた。

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