パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

「50にして煙を知る」第40回「第40回記念選手権大会参戦記 2013年10月6日」

千葉科学大薬学部教授  小枝義人

日本パイプ連盟が主催する全日本パイプスモーキング選手権大会第40回記念大会が6日、東京・浅草のホテルで開催され、参加した。

おぎゃあと生まれた子が不惑になるわけだから、挨拶に立った梶浦恭生・連盟会長も「まさか40年もつづくとは」と感慨深く挨拶するのも、むべなるかなである。

 全国からの参加者に加え、外国からもウクライナ、スウェーデン、ロシア、中国、香港、マレーシアと多彩な顔ぶれが揃い、総勢220名。ここまでくれば伝統という言葉が似合ってくる。

東京五輪招致決定以来、なんとなく昂揚した気分だが、東京はやはり花の都である。同じホテルで催された大会は、もう5年前になると知り、年月が経つのは、年を重ねれば、早く感じるものだ。

そんなセンチメンタルな気持ちは脇に置き、会場の10人掛けの丸いスモーキングテーブルに座ると、顔見知りのJPSCのメンバーがずらり。
 今年の40周年大会記念パイプは、製作した柘製作所の柘茂恭氏によれば、「クラシックシェイプで、吸い口が長く、吸いやすい。これで煙が早く消えたら、吸い方が悪いんです」との説明。

でもちょっと小ぶりで、個人的には「ロングスモーキングには、どうかなあ」と思いつつ、いよいよ煙草を詰め、競技開始。

競争心湧く

今回から会場スクリーンにタイムが表示され、煙が消えると、「○○さん消えました」と名前まで映る。タイムとともにどんどん減っていく参加者数もわかるから、何人残っているかも会場にいればわかる。

「3桁の参加者がせめて2桁になるまでは残っていたい」と、意外にも競争心を掻き立てるのだ。
わがテーブルは20分、30分経っても誰も火が消えない。こうなると最初に席を立つのは、珍しく「恥だ」と思い始めた。幸い、安定した火加減になっている。

同じテーブルのJPSC・M氏が「どうしたの。今日はぜんぜん口きかないじゃないの」と茶々入れるから、「俺、真剣なんだよ!」と宣戦布告。40分過ぎて、最初の退場者が出たので、これで体面が保てたと勝手に肩の力抜ける。

また一人、また一人とテーブルを立ち始めた。

「いいねえ、いい感じだ」と吸い続けたが、62分余りでアウト。全部吸いきったから、まあ仕方がない。

あとで総合順位を見たら連盟会員参加者178人中、65位。真ん中より上か、Mさん、結局わがテーブルでは最後まで残り、87分台、たいしたもんである。JPSC内でもトップ。

こういう人が横にいたから、そこそこ健闘できたのだろう。うまい人に引っ張られ、スクリーンにタイムも勝ち残っている参加者数も映し出される。

やはり競争はどんな世界でも必要である。怠け者のわが身でも多少の向上心が出たのには驚いた。

最高タイムはウクライナからの参加者で142分35秒。欧州では2時間以上3時間近い記録はざらだというから、それこそパイプ喫煙の歴史の長さを実感する。

さて、競技終了後、中華料理に舌鼓を打ちながら、表彰に移ったが、40周年記念大会で、なんと第1回から40回までフル出場というレコードを持つ、元JT・村上征一さんが「皆煙賞」で表彰される。「発煙の持続性を称えます」と。

そうですねえ、とてもまねできません。さらに最高齢出場は御歳99歳というから、まあみなさん御元気そのもの、高齢社会の模範みたいな風景である。

大会パンフには「来たる2018年には世界大会日本招致も計画中です。喫煙文化の隆盛に向けて進み続けましょう」とある

ほう、実現すれば18年・世界パイプ大会 19年・ラグビーワールドカップ、20年・東京五輪とビッグイベントが続く。元気に生き抜かなければならない。