パイプの愉しみ方

パイプの愉しみ方

2017年全日本パイプスモーキング選手権大会 参加のお願い

Gun Room of Tokyo 大石 良明

現代では誰もが忙しく、効率を上げることに追われており、物づくりも消費についても、速く、かつ安く、更にはコストパフォーマンス良く、が求められています.例えばファーストフードは「どこでも、安く、すぐに同じものを」という利点もありますが、反対に食文化の均質化と感謝の欠落を招いているように見えます.

またインターネット、SNSの普及は情報共有の今までにない拡大をもたらしましたが、モニターの画面で「そこに行った気になる」、いいね!を押して「共感した気になる」、といったバーチャルな感覚によって、本当の人の喜び、痛み、雰囲気を感じることが希薄になっているように思えます.

すぐに切れる人、迷惑を顧みない行動を平気で取る人、陰湿ないじめをする人など心がすさんだ人が増えた気がするのは私だけではないと思いますが、バーチャルでファーストな体験の積み重ねと個性を重んじない社会によって、本来の人間の感覚が狂わされたのではないかと思えてなりません.

変わってタバコの世界では昨年来、電子タバコが一般に普及しました.これを否定するつもりは毛頭ありませんが、スマホ片手に電子タバコをせかせかと吸っている人の姿を見ると、上記のファーストフード更にはインスタント食品が浮かんでしまいます.

一方古くから「タバコ文化」の一翼を担ってきたパイプ喫煙は、もっと様々な人々の手間と時間、技を駆使して創り上げた品々とタバコによるとても「スロー」なものです.各ユーザーと選ばれた各パイプが一体となり、かつその人ならではの個性をもつ姿に、周囲から「かっこいい」と思われるにはこれも永い年月が必要です.しかしこのように時間をかけて周囲から深い共感を得た品、人の姿と行動、これこそが「文化」と言えます.

気の合う仲間と集まって、贅沢でなくとも心のこもった食事をいただき、その後お茶やコーヒー、お酒などとゆっくりパイプ喫煙を楽しみ、生きていることに感謝する、これが人間本来のリズムではないでしょうか.
「パイプ喫煙は文化である」の思想のもと、今パイプを手にした私たちは、先人たちが築いてきた世界にその誇りを持って、少しでも長く、広く、その素晴らしさを伝えて行かなければならないと思うのです.
なればこそ、是非とも今秋、9月24日開催の全国大会にご参加頂きたくお願い申し上げます。

場所は東京で行われる全国大会として皆様にも愛着さえ感じていただける浅草ビューホテルです。参加費用はおひとり様16.000円となります。もちろんロングスモーキング使用のパイプも配布されます。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

大会詳細ページはこちら
http://www.pipeclub-jpn.org/news/news_detail_170614.html

第44回日本パイプスモーキング選手権大会チャンピオンパイプ

ツゲ・イケバナ「軽井沢から眺める浅間山

長野県の避暑地軽井沢から眺める浅間山が、この作品のテーマ。福田は今年八十一歳、この歳でこれほどの迫力あるパイプがまだ作れる。ボウル全体は穏やかな浅間山の山容を彷彿させる。ボウルトップは浅間山の象徴である二重火山を表現。ボウル下方に流れる杢目は溶岩の流れを呈している。ボウルフット部の境目にエッジが立っている。このエッジを境にストレイトグレインとバーズアイの表情が見事に変化している。吸い口はミッケ考案の二段ダボ。

第44回日本パイプスモーキング選手権大会競技用パイプ

フカシロ製(写真中央のブライヤーパイプ)