パイプの愉しみ方

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有思所(3) スコットランド喫煙事情

現在、愚生は、仕事の都合で、U.Kのスコットランドに滞在している。アメリカほどではないにしても、スコットランドも、愛煙家に好ましい場所とはいえない。

前回の寄稿でも述べた如く、嗜好品に対する制限は、過去の歴史において、ことごとく失敗している。U.Kでは、禁煙王ジェ−ムズT世が、煙草を吸った者を捕らえて、舌を切ったという。U.S.Aでは、アル・カポネ時代の禁酒法が有名であるが、国民は密造酒造りに走った。

話をU.Kの喫煙状況の報告に戻そう。U.Kは、愚生には理解し難い国である。日本での理解は、イコ−ル、イギリスで、イングランド、ウェ−ルズ、北アイルランド及びスコットランドの連合王国である。

しかし、各地域は、未だに独立国と信じている。その証左として、フットボ−ルのワ−ルドカップには、イングランド代表やスコットランド代表が出場する。イギリス代表チ−ムなどあり得ない。ラグビ−の6カ国対抗も、イギリスの4地域とフランスとイタリアを加えて、6カ国対抗と言い張っている。

要するに、イギリスの4地域は、未だに仲が悪いのである。それがあろう事か、禁煙活動に関しては、何故か協力し合った。先ず、北アイルランドが先行し、イングランドが続いた。ウェ−ルズが何番目だったかは、放念した。2005年6月30日、「スコットランド禁煙健康・社会福祉法案」(別名、「招かれざる客法案」)が、97対17(棄権1)の大差で可決されてしまった。一定の条件を満たす酒を提供する施設(パブの事)を例外としょうとした修正案も一蹴されてしまった。今や、公共の場での室内喫煙は、不可能である。

愚生にとっての問題は、戸外にイス席や灰皿の置いてあるパブが極めて少ないということである。雨の日に、お年寄りが、外でずぶ濡れになりながら、立ったまま煙草を吸っているのを見るのは、誠に忍びない。

愚生の疑問は残る。一方で、戸外での歩き煙草は黙認されているようだ。ちょうど、子供の顔の高さで、火種が遊んでいる。何と恐ろしい事ではないか。日本では、歩き煙草の火が子供の目に入ったという事故を聞いた事がある。何という国なのだろうか。

愚生は、海辺や川辺のベンチで、パイプを燻らすことにしている。そのようなご同輩がいるのは、とっても喜ばしい事である。

昔気質の愛煙家