パイプの扱い方
パイプ煙草の美味しい吸い方
何度火を着けても、すぐに消えてしまう。口の中がヒリヒリして痛い。喫っているうちにジュージュー、ブチュブチュと、いやな音がする。なかなか思い通りにパイプを喫えないと、嘆かれているあなたへ。思いのままのパイプスモーキングは、そこに至る長い道程を楽しみながら経験することで、あなた独自の喫煙方法が完成されます。ゆったりと、クールスモーキングを楽しむためのマニュアルとしてお読み下さい。
〈パイプの各部の名称〉
〈タバコの詰め方〉
たばこを何回かに分けて、ムラなく詰めます。ボウルいっぱいに、タバコを詰めたら、ボウル容量の80%位を目安に、指、又はタンパーで平らにプレスしてください。空気の流入具合をチェックしましょう。マウスピース(吸口)を吸って、タバコのプレス具合を確認します。
吸った感じはシガレットを同じ位の空気の通りがベストです。堅く詰めすぎると、火が消えやすく、柔らかすぎると燃えすぎて、オーバーヒートの原因となります。
〈着火準備のための着火〉
パイプスモーキングは、2回の着火が必要です。1回目の着火は準備のための着火と言えます。マッチ又はオイルライターでの着火が最適です。オイルライターはオイル臭とタバコのフレーバーが合わないことがあり、あまり、お勧めできません。オイルの香りが気にならない、又は好きという人はどうぞ。
炎の見えないターボガスライターは、ボウルトップを焦がしてしまうことが多く、使わない方が無難でしょう。炎を火皿に持って行き、小刻みに、ぷかぷかと吸い込みながら、タバコの表面全体に着火してください。全体が赤くなるように着火したら、今度はゆったりと2?3服吸うと、タバコが膨張して盛り上がってきます。パイプを手にとって、タンパーで始めに詰めて位置まで、タバコを平らにプレスし、同時にタンパーを回して黒く炭化したタバコが表面全体に広がるようにします。
これで着火の準備が完了です。
あらためて表面にまんべんなく火が着くように、ゆっくりと吸いながら着火したところで、パイプスモーキングの始まりです。
〈ゆったりと、くゆらせる〉
自然な呼吸をするように、ゆったりと優しくドロー(喫う)、ブロー(吹く)を繰り返します。口から煙を吹き出すのではなく、マウスピースから吸った煙をマウスピースへ吹き戻します。パイプタバコには助燃剤が入っていないため、空気の流れが止まると、火種は消えてしまいます。喫っていない時でも「吹く」事は忘れずに行ってください。
ボウルから立ち昇る『紫煙』と遊びながら火種を保ちます。煙の量はシガレットの1/3位が良く、少な目の煙を、ゆったりとくゆらせる感じがポイントです。喫うときは煙が熱くならないよう、やさしく、スーッと喫ってください。シガレットの喫煙の基本が肺喫煙なのに対し、パイプスモーキングは、シガーと同じく、口腔喫煙が基本です。口の中に煙をふくみ、口内の粘膜からニコチンを吸収しマウスピースへ呼気を戻して充足感を味わいます。シガレットが吸えない人でもパイプを喫うことはできるわけです。個人の自由になりますが、肺まで喫いこむには、ニコチン、タール共にかなり強いタバコといえます。
ちなみに喫煙方法の違いから、パイプタバコやシガーには、ニコチン・タールの量は表示されていません。火が安定してきたら、5分に1回位のペースで、タンパーで、タバコを押さえ、煙の流入量を一定に保ってください。タンパーは吸い込みながら使うことがポイントです。喫煙中に火が消えそうになったとき。強く吸い込みすぎると、のどや舌が低温やけどをおこしてヒリヒリしたり、タバコの方燃えが起きやすく、オーバーヒートからボウル内部を焦がす事故につながります。「火が消えたら、また着ければいい」という、おおらかな気持ちで、のぞみたいものです。消えたタバコの表面の白い灰をピックで軽く落としてタンパーで表面を平らにしたら、何回でも火を着けなおして、タバコを喫い切るようにしましょう。反対に火が着いているときも、パイプをくわえっぱなしにしないでタンパーを使うときにボウルの熱をチェックしましょう。手の平でくるんだボウルが、熱いと感じたら、オーバーヒートです。スモーキングを止めてパイプを休ませるか、タンパーで火種を小さくするように、プレスしながら、ブローを多用して放熱をしましょう。
〈セルフ・メンテナンス〉
- ボウルの中にタバコを最後まで喫い切る習慣をつけることが大切です。カーボンが均一に付着してくると、タバコの喫味がまろやかになります。
- 喫煙中に、ジュージューと水分の溜まった音がしたときは、マウスピースを下にして、紙の上でトントンと叩き、紙に吸い取らせるか、モールクリーナーを差し込んで水分を取るようにします。パイプが温かいうちは絶対にマウスピースを外さないこと。無理に外すとシャンクやタボを破損する恐れがあります。
- 喫い終わったパイプに、すぐにタバコを詰めてチェーンスモークするのは、お勧めできません。灰をスプーンかピックで、掻きだしてパイプレストにのせて休ませ、中の水分を乾かしてください。続けて喫いたいときは、3〜4本のパイプを交代に使うのがベストです。
- 使い終わったパイプは、熱が冷めてからマウスピースを外して、モールクリーナーでタールを掃除しましょう。日にちのたった汚れは液体パイプクリーナーにモールを浸して煙道をきれいにするといいでしょう。
〈カーボンの管理〉
スモーキングを重ねるうちに、ボウル内のカーボンが厚くなってきます。カーボンはボウルの焦げを防止するだけでなく、喫煙中に出る水分を吸着するため、厚くつけばつくほど、タバコは美味しくなるわけです。しかし、厚すぎるカーボンは、膨張、収縮率の違いから、保水し、乾燥が充分でないままスモーキングすると、ボウルにひび割れを生じさせることがあります。専用のリーマーやナイフ等で成形する必要があるわけです。
カーボンの厚みは、1.5mm〜2.0mm位が適当で、ボウル内壁に均等に厚みを残して削るようにします。長く使っているパイプのカーボン形状をチェックしてみましょう。ボウル上部と中部に厚く、下部や底部にカーボンがあまりついていない状態になっていませんか?断面を描くとちょうど徳利のような形状のカーボン付着は、放熱と水分放散が悪く、途中からタバコが湿ってきて、苦くなるため、スモーキングを止めてしまうことが多く、パイプのためにも良くありません。せっかくつけたカーボンですが削り取って改めて均一なカーボンをつけ直しましょう。
〈パイプの管理〉
しばらく使わないパイプは、ポリッシングクロス(シリコンクロス)で汚れをていねいに拭き取り、充分に乾燥させてから、パイプスタンドに立てるか、ポウチやグローブに入れて保管しましょう。パイプスタンドに立てたまま長く放置するとマウスピースが外光や室内灯の影響で変色してしまうことがあります。何ヶ月も使わないパイプは必ずグローブや布袋、紙箱等に入れて保管してください。