パイプ座談会

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パイプ座談会 六本木ローデシアンパイプクラブの巻 3

Q子:  それでは、皆さんのパイプについての思い入れをそれぞれ聴かせて下さい。

高橋:  うちのクラブは六本木ローデシアンパイプクラブという名前なんです。パイプの形から命名したんですがね、この形が好きだし、クラブパイプもローデシアンベントです。

今井:  PCJ加盟のクラブでパイプの名前を付けているクラブは無いものね。シャーロックはパイプの名前ではないしね。シャーロック・ホームズのパイプはキャラバッシ。

Q子:  ちょっと写真を撮ります。

田中:  パイプも魚の向きと一緒で、写真を撮る向きがあるんだよ。ほら、ボウルを左手に持ってくる。これが正しいパイプを持つポーズだよ。

Q子:  さてこれからパイプを始めようかと考えている方や初心者向けにアドバイスを頂けますか。

高橋:  初心者に勧めるパイプはどのようなものが良いかというと、ビリヤードか、ベントだね。

今井:  ボウルが小さいやつが良いよね

久保:    大きいのは一杯入るから、大変だよね、初心者には、吸いきれずに結局捨てちゃう。

高橋:  基本の2種類から、お客様の好みで選んでもらう。吸い方には関係ない。好みだよね。

久保:  咥えっぱなしの人は顎の負担があるから、ベントが良いっていうけれど、初心者はそんなに長時間吸わないしね。

今井:  小さくて、軽いやつが良い。大きいと重いから、それだけで嫌になっちゃう。

高橋:  あと、体型にもよるね。身体の大きい人が小さいの吸うと、合わないね。私みたいに痩せた男が大きいのを咥えても合わないね。

Q子:  パイプを吸っておられる方々を拝見すると、大体の方が、自分に合ったパイプを吸われていますよね。不思議に。

久保:  結果的にはね。でも僕は小さいのが好きだな。体型には関係なく、小さいのが好きだな。というのは、一寸吸いたい時に、大きいパイプに下の方に少しだけ、タバコを入れるっていうのは美味しくない。小さいパイプにそこそこの量を詰めて吸う方が美味しい気がする。

千田:  不思議なことに、私はパイプを置き忘れたり、無くしたりということが無いですね。

今井:  僕は電車の中とかに忘れたことある。

千田:  それはパイプに対する愛着が足りないな。私は絶対忘れない。

Q子:  初心者にふさわしいパイプの値段とかありますか。

高橋:  パイプの値段ね。ピンからキリまでだけどね。初心者に勧めるのだったら、5、6千円くらいかな。でも今は、パイプの値段が一寸上がっているから、1万円近くかな。

今井:  最近木目が良いのが少なくなったよね。昔は安くても「あ、良いなあ」というのがあったけれど、最近は高くお金を出さないと、良い木目が無くなった。

高橋:  僕が吸い始めた40年前位、新宿の加賀屋とかうろついていて、僕らは数万円とか、全く買える値段では無いと思っていたけれど、仙波君が当時、イバルソンとか買って6万円くらい、今ならとんでもない値段だけど。よくまあ、そんなとんでもない値段をさせるなあと驚いたよ。当時スタンウェルの6000円位のパイプを買った時だって、清水の舞台から飛び降りる感覚だったからね。

千田:  パイプの値段の上下で、味は大して変わりませんよね。

高橋:  うん、変わらない。

千田:  初心者の方が吸うんであれば、安いに超したことはないんだけれど、愛着のもてるものでないと、長続きしない。飽きがきちゃうんですよね。私も何十本もパイプを持っているけれど、いつも吸うのはその中で十数本くらいかな。なんか、こう、自分とマッチするパイプがあるんだよね。それを探すのが重要ですよね。

今井:  でも一本目は安くて良いですよね。絶対焦がしちゃうから。

Q子:  的確なアドバイスありがとうございます。では、最後に皆さんのパイプに対するこだわりを教えてください。

今井:  あまりこだわって無いんだよね。

久保:  お子ちゃまだからね。(すぐにつっこみを入れる)

今井:  2年前から本格的にパイプを始めて、その頃買ったパイプがこれ、ピーターソンなんだけれど、ピーターソンリップは嫌いなの、それは上に穴が開いていて、上顎が熱いでしょ。だから、嫌いのなの。でも最近、普通のマウスピースのが出たんですよね。

Q子:  ピーターソンリップって、優れたものなんですか?

久保:  確かに、普通のマウスピースだと、舌を焼く人がいるのね。

今井:  舌を焼くか、上顎を焼くかという違いなのね。僕は上顎を焼くと直りが遅いので、下の方が慣れているからこっちの方が良いのです。

Q子:  さすが、ヘビースモーカーですね。

久保:  だから、昔持っていたダブルモアは煙がV字型にでるので、後から知ったのだけれども、人間は煙が出ると、舌を無意識にそちらに当ててしまうので、舌を避けて煙がでるシステムだって書いてあった。欧米の人もそうなんだって。舌を焼くってのはみんな通り抜ける関門なんだよね。

Q子:  それは、強く長く吸うからですかね?

久保:  特に初心者の頃は火が消えるんじゃないか、と言う強迫観念があるので、シガレット感覚ですぱすぱ吸っちゃうから、煙でもろに舌を焼いちゃう。

Q子:  パイプのお手入れ方法もお聞きしたいのですが。モールが入らない場合はどうされていますか?

久保:  店長! ピーターソンはどうやって掃除するのですか?

高橋:  極細のモール。細い方を突っ込んで……

千田:  (話を遮って唐突に)いや、モールってのは中途半端に長いんだよね。だから携帯用に持って歩く時に曲がるのね。別にケチってわけじゃないんだけど、半分に切ると絶対に曲がらない。

田中:  半分に切らなくても、ほら、こうやってケースに入れておけば、曲がらないじゃない。

千田:  :いやいや、曲がるんです。

久保:  僕も同じだ。僕はね、モールは使うと先っちょがドロドロになるじゃない、そこをニッパーで2ミリくらい切って使う、そして、また、切って使う。そうして最後に使いものにならなくなると、最後にガーッと使って掃除する。 一同:あはは。

久保:  そうでなければ、乾いた汚れの時はまだ使えるから取っておいて、洗面所に持って行って、マウスピースを集めて掃除するのに使う。水の中でモールを使って洗う。

田中:  マウスピースが変色しない?

久保:  する。

高橋:  お湯で洗うと駄目なんだよ。

久保:  そうなんですよ。マウスピース、同じく吸っているのね、上側は真っ白になる。下側は黒。何でだろうって。

田中:  太陽だよ。日焼けするんだよ。ずっとスタンドに置いているんだろう?

千田:  水滴がつくとそこだけ変色しちゃうね。

久保:  気になって仕方がない

高橋:  そりゃあ、まとめて掃除するからだよ。

千田:  普通は2回吸ったら、1回は掃除しないとね。

今井:  凄い!

千田:  :だから私はよく、モールを切らすんですよ。そうしたら、レストランにあるペーパーナプキンを紙縒りにして、掃除するんですよ。ティッシュだと千切れるけれど、これなら大丈夫、たまに失敗することもあるけれど。

今井:  パイプの大会で貰うモールが必需品です。たくさん貰ってもすぐに無くなっちゃうんだよね。

千田:  ペーパーナプキンの紙縒りだと、運悪く失敗することもある。針金で押し出そうとすると詰まっちゃうから、そういう時は水に一晩つけた後で、乾かすと小さくなって、すっと取れるよ。

高橋:  初心者にそんなこと言っちゃだめだよ。

Q子:  ではでは、パイプの外回りはどのようなお手入れをしていますか。

今井:  鼻の脂かな?(笑い)

久保:  殆ど手入れしない人もいるけれど、こまめにワックスで磨く人もいるね。

田中:  メガネ拭きと同じでね、こういう布を売っているんですよ。シリコンのパイプ磨き。

久保:  僕は手入れしない。そのまま洗っちゃう。水性塗料だから、全部落として、完全に真っ白にしちゃう。そこから、バージンパイプ感覚で楽しめる。本来の木目の美しさとかはなくなっちゃうけれど。

高橋:  そもそもパイプってのは、パイプタバコを吸う道具なんだから、ピカピカにするこたぁ無いんだよ。中は掃除しなくちゃいけないけれどね。

Q子:  では、最後に、ご自慢のパイプをそれぞれ披露して下さい。どうぞ。

田中:  ほらほら、関東プロフェッショナル・コンテスト(プロコン)のチャンピオンパイプです。へへへ。このデザインの最後のやつ。

高橋:  私も一緒のデザイン。

千田:  私は全日本大会のチャンピオンパイプ。

久保:  千田さんのものとは格が違うけれど僕のは地区大会のチャンピオンパイプです。 (このあと、互いに細かいパイプチェックや、専門的なパイプ批評が続きましたが割愛。あれれ、パイプ交換会も始まりました)

今井:  凄いよね、5人いて、4人がチャンピオンパイプを持ってきたんだ。

Q子:  思い出のパイプってありますか?

田中:  思い出に残るパイプと言えば。たいしたパイプじゃないけれど、誕生日に店長の店で女房に買って貰ったスタンウェルです。こんな思い出に残るパイプってないよね。コレが一番いい。(田中さん、愛妻家です)あと、女房の母親がヨーロッパ旅行に行った時に買ってきてくれた、ダンヒルのパイプ。日本じゃ売っていないよ。

今井:  私は六本木2代目の鈴木会長にもらった遺作、ハンドメイドパイプ。亡くなった倉田さん経由で手に入ったの。

田中:  俺も鈴木さんから貰ったな。

今井:  私は倉田さんから貰ったから、二人の遺品なるんだよね。鈴木さんが亡くなった日にどこかで飲んでいて、倉田さんがあげるよって、頂いたの。

久保:  実に良い木目だよね。(一同感心して頷く)

千田:  自慢のパイプじゃないけれど、自分が全日本大会で優勝したときの競技パイプは一度しか吸っていないけれど、記念になるよね。

Q子:  大切なパイプということで伺いますと、好みということもあるんですけれど、思い出のパイプというか。そういうものなんですよね

高橋:  思い出っていうと、そうなんですよね、大会で優勝したとか。

田中:  紙巻きのタバコで記念に取って置くって人は、あまりいないよね。恩賜のタバコとかくらいかな、あまり記憶に残らないよね。パイプだと、何処で誰といくらで買ったとか、貰ったとか、記念に貰ったものは、今では、よく喧嘩するけれど、こんなこともあったけなぁって。そういう面ではパイプって良いよね。

全員:  そうそう。 

Q子:  と、珍しく全員が意見が一致したところで、この座談会をお開きに致します。出席して下さった六本木ローデシアンパイプクラブの高橋さん、田中さん、千田さん、久保さん、今井さん、お忙しい中ありがとうございました。

(終わり)