キセル・シガ−の愉しみ方

キセル・シガ−の愉しみ方

ハンドメイドシガーのデモンストレーションを観た

東京・有楽町の交通会館で10月18日と19日の両日開催された「2011 スモーキングコレクション」を訪ねた。この催し、略して通称「スモコレ」は、たばこやパイプ、キセルなどの製造会社が小売店の経営者、すなわち街のたばこ屋さんを相手に新製品などを披露して商談につなげるのが開催の狙いで、私のような一般のたばこ愛好者は対象外。

というよりは、素人さんがのこのこと来られて、商談の邪魔をされては困るのだ。とは言え、私も愛煙家の端くれ、新製品など最新のたばこ業界の動向は知りたい。そこで、「まぁ固いことを言わずに、そこを何とか」とツテを頼って入場券を手に入れ、今年も見学させて貰った。

会場につくと、世にはびこる禁煙運動もなんのその、場内は大入り満員で熱気に包まれていた。例年、日本たばこ産業(JT)が一番大きなブースで派手に宣伝しているが、今年のスモコレで一番目立ったのはJTアイメックスの熱心な営業活動ぶり。2時間ごとにたばこにまつわる様々な講演会を場内で催し、多くのたばこ屋さんが詰め掛けて、熱心に講師の話を聴いていた。社長が自ら陣頭指揮でキセル、パイプたばこなど新製品をPRしていたが、鈴なりの人だかりがしていたのがプレミアムシガーローリングのデモンストレーション。

JTアイメックスは、昨年からドミニカ産のハンドメイドシガーの販売に力こぶを入れているそうで、わざわざドミニカ共和国の葉巻製造会社La Aurora(ラ・オーロラ)社から同社を代表するシガーローラー Luis Lopez氏を招いて、シガーローリングの実演を披露してみせた。

シガーの造り方は知識としては知っていたが、ハンドメイドの実演を観るのはこれが初めて。シガーマスターの称号を持つLuis Lopez氏が、実に見事な手さばきでラッパー、バインダー、フィラーの葉をそれぞれ巧みに組み合わせて素早く高級シガーに造り上げていく。1本のシガーが出来上がるのがものの数分だろうか。一連の手の動きが流れるようで、無駄がない。これが正真正銘のハンドメイドシガーである。鮮やかな匠の技にじっと見とれた。

私はパイプ党だが、デモンストレーションで嗅いだシガーの葉が醸し出す素晴らしい芳香に刺激されたのか、無性にシガーが吸いたくなった。帰途、たばこ店に寄って、実演と同じ銘柄で手頃なバンドル・ショート・ロブストを買い求めた。

帰宅してから待ちきれずに早速、喫ってみた。軽みがあるが芳醇。高級シガーの味覚である。2センチほどの燃えさしも、ポイと捨てるのはいささか勿体無い。パイプに詰めて喫ってみたらなかなかいけた。文字通りの「完全燃焼」でシガーを吸いきった。至福のひと時だった。