大会参加記
2007年 ワールドカップ 岡山パイプクラブ参戦記 |
第12回パイプスモーキング・ワールドカップは2007年10月14日(日)、ロシアパイプクラブ連盟とサンクトペテルブルク・パイプクラブの共催で、サンクトペテルブルク市内のパークイン・プリバルチスカヤ・ホテルで開催された。日本から、岡山パイプクラブチームが18年ぶりに参加した。大会の模様を簡単に報告する。 ワールド・カップには世界23ヶ国(CIPC=国際パイプクラブ委員会=未加盟のウクライナ、リトアニア、エストニアを含む)から、67チームが参加し、クラブチーム対抗戦と個人戦が行われた。参加総人数は297名。ご婦人のパイプ愛好家の競技参加者が意外に多く、参加総人数の二割強を占めるなど、全体に華やかさが目立った大会だった。 ※このほかに、メキシコからも参加があったが、チーム結成人数の3名に満たないため、個人戦のみの参加となった。 ※英国から参加したクラブチームがロシア入国査証を取得していなかったため、入国審査で即時に強制帰国させられるというハプニングがあったという。査証を取得していた1名は入国できたが、取得していなかった3名が入国拒否、空港滞在時間20分で強制帰国とか。欧州共同体(EU)加盟国は査証無しで自由に入出国できるので、うっかりしたか、ロシアという国を甘く見たようだ。 ロシア国内では、パイプ喫煙の愛好家は極めて少数とのことで、西欧・東欧諸国、北 米、豪州などとは違って、4日間の滞在中に街角でパイプを咥えているロシア人を見ることは無かった。サンクトペテルブルク市内プーシキン大通りのキオスクを覗いても、紙巻き煙草だけしか置いて無かった。日本へのお土産にパイプ煙草を買おうと、探したが、雑貨屋、土産屋でも売っていない。ロシアに旅行を計画しているパイプ党は、煙草を切らさないためには、持ち込むしかないようだ。 ロシア人といえば、世界でも有数の紙巻き煙草好きで有名だ。空港内や建物内では、禁煙のマークが時々、掲示してあるが、分煙もいいかげんで、実際はあまり守られておらず、ロシア人は周囲を気にせずに堂々と紙巻き煙草を吸っていた。ご婦人の愛煙家も多い。但し、地下鉄や航空機などの公共交通機関や教会では、禁煙は厳格に守られているようだった。日本の自治体で流行っている「路上喫煙禁止」表示などは、まったく無かった。愛煙家のひいき目かもしれないが、瑣事にばかりこだわる、どこぞやの潔癖症の神経症のような国民性とは違って、大国の国民性の無頓着さとおおらかさを感じた。 ワールド・カップ前日から会場とのプリバルチスカヤ・ホテルの2階宴会室で、パイプとパイプ煙草のワールド・ショーが開催され、パイプ作家とパイプメーカーの約30社がご自慢のパイプを展示即売していて、大盛況だった。デンマークの有名なパイプ作家の作品6本は、瞬間蒸発で売り切れたと聞いた。大会使用煙草を提供した米国コーネル&ディール社は、宣伝も兼ねて試供品を配りまくって、大人気だった。ちなみに、大会使用煙草は、バージニア葉主体のいかにもアメリカらしいパイプ煙草で、欧州のラタキアなどのこってり系の葉が好きなパイプ党がどう受け止めたかは分からないが普通の日本人パイプ党の私は、昔から馴染みのあるハーフ&ハーフにコクを加えて味をドライにした感じで、病み付きになる美味さだなと感じた。 大会前日の13日の夜は7時から、前夜祭を兼ねた晩餐会。主催者の長々とした挨拶に続いて、軽音楽演奏、ロシア民族舞踊ショー、さらには参加者によるダンスパーティーが深夜まで続いて楽しめた。晩餐会では、各国の参加者との間で、親睦を深める意味でクラブバッジ交換、プレゼント交換が盛んだが、鈴木連盟会長が岡山パイプクラブチームのために、日本パイプクラブ連盟のバッジを多数用意し、各国参加者からバッジと交換要請に応えることが出来た。岡山パイプクラブ独自のクラブバッジはあるが、現在、払底して在庫がないそうなので、鈴木会長の計らいに岡山チーム一同が深く感謝。 岡山チームはバッジは無かったが、代わりに岡山の陶芸家に依頼したぐい呑みを多数持参して各国主要クラブのメンバーにプレゼントし、大いに喜ばれた。 世界中のパイプ仲間が集まるこうした大会の場で、バッジ交換やプレゼント贈呈で親睦を深めるのは、実に大切だということを改めて実感した。 ワールドカップ大会本番はホテル大宴会場で14日午後2時から開場。鈴木会長は大会審判席に。例によって挨拶やセレモニーが続いたが、途中で、ロシア、ウクライナあたりのチームの競技参加メンバーが、一斉にタンパーで強く、机を叩いて、何らかの意図を表明した。場内に凄まじい騒音が鳴り響いた。ロシア語の挨拶の途中だったので、真意は不明だ。別に不穏な雰囲気は漂わなかったので、「挨拶の趣旨に賛同」を意味する轟音だったようだ。結局、競技開始は3時過ぎ。 このタンパーを机の上に置いた紙に、縦に打ち付けて音を鳴らすのは、ロシア圏独特のやり方のようだが、CIPC規則に禁止規定はない。誰も、こんなこ事態を考えなかったからだろう。ただし、日本国内で、こうした悪癖が広まらないことを切に祈りたい。こうした大騒音を立てると、競技大会用に会場を提供するホテルが皆無になることだけは確実だ。 大会会場は、チームのまとまりを強調した様々な統一衣裳、カラフルな格好の参加者でお祭り気分。粛々と時間通りにスケジュールを進行する日本のやり方も良いが、「お祭り気分」を演出するには、競技開始前の主催者挨拶時間などの合間に自由に写真を撮ったり、参加者同士で旧交を温め合う、ゆとりも必要だなと感じた。とは言え、挨拶(露、英、仏の3カ国語でそれぞれ)が延々と長いのは、やはり緊張感を失ってしまうのも確かだ。 タンパーをカンカン、コンコンと机に敷いた紙に打ち付け、もの凄いとしか言いようのない騒音の中で競技が始まった。10分ほどして、最初にロシアチームの選手が火が消えると、またまたタンパー打撲音の大合奏。タンパーで紙を叩くのは、タンパーに付けた灰を落とすためのようだが、ロシア、ウクライナ以外の国のチームの選手は、紙に叩き付けて音を出したりせず、タンパーに付着した灰を紙に丁寧に擦り付けて落としている。やかましい打撲音は発生させないのが、西欧諸国のパイプ喫煙を愛する紳士淑女のエチケットであり、マナーなのだろう。 競技結果は以下の通り。記録用のパソコンに手入力だったため、表彰式が終わり、夜になっても大会の競技結果全容が分からないという不手際はあったが、これもロシアらしいお国柄だろう。岡山パイプクラブチームは、日頃培った実力をそこそこ発揮した選手も、発揮しなかった選手もいて、67チーム中の31位と中位どころの戦績。次回2009年のワールド・カップに再度挑戦できるかどうかはわからないが、2010年の世界選手権大会には必ず強豪選手を揃えて挑戦し、上位入賞を目指そうと誓い合ったと言う。 大会成績の概要団体一位 イタリー / チーム Fenice (フェニーチェ)団体二位 イタリー / チーム Corsellini (コルセリーニ) 団体三位 デンマーク / チーム Nykobing Falster (カナ表記不明) ※日本団体 (チーム名 Okayama) 31位 (合計2時間53分16秒) 個人一位 ステファノ・カベロット(伊フェニーチェ)2時間54分24秒 個人二位 ルディ・キルボ(デンマーク Nykobing Falster)2時間32分28秒 個人三位 マウロ・コスモ(伊フェニーチェ)2時間27分57秒 レディース一位 スッシ・アンナ・ジェンセン(デンマーク・フレデリッケシェブン)1時間37分40秒 2008年以降の国際大会(2011年まで決定、2012年以降は候補) 2008年 ヨーロッパ選手権大会、ドイツ 2009年 ワールド・カップ ハンガリー(開催地未定) 2010年 世界選手権大会 ポルトガル 2011年 ワールド・カップ ラトヴィアのリガ 2012年 ヨーロッパ選手権 スペインのセビーリャ(候補) |
日本パイプクラブ連盟事務局 |