大会記

大会参加記

2009年パイプスモーキング・ワールドカップ選手権大会 遠征記その1

今年(2009年)10月11日(日)にハンガリー共和国の第二の都市デブレツェンで開催されたパイプスモーキング・ワールドカップ選手権大会に、日本パイプクラブ連盟(PCJ)から東京・銀座に本拠地を置く日本パイプスモーカーズクラブ(JPSC)と、岡山パイプクラブ東京支部の2チームがはるばる参戦した。

2チームともに日頃の練習不足のせいもあって成績は今ひとつ振るわなかったが、前夜祭も含めて大いにパイプ仲間同士の国際親善の実を深めたので、日本のパイプ喫煙愛好家に大会の模様を前夜祭等の行事も含めてご報告する。

2年に1回開催されているクラブ対抗戦のワールドカップに、日本から2チームが同時に参戦するのは、創立36年を数える日本パイプクラブ連盟始まって以来の快挙である。JPSCは20年ほど前に一度参戦しており、久々の参戦。岡山パイプクラブは2年前のロシアのサンクト・ペテルブルクでのワールドカップ以来の連続参戦となった。

ワールドカップはその歴史的経緯からパイプ喫煙の本場の欧州諸国のパイプクラブの持ち回り開催になっている。遠隔地の欧州での大会に日本からはるばる参加するのは、仕事の日程調整や旅行費用の問題が重くのしかかり、やはり容易ではないというのが実情だ。

今回はJPSCは当初4名でチーム編成していたが、中心選手の1名がご家族が急病になり、直前になって出場を取りやめた。岡山パイプクラブチームも当初4名での参加を目論んでいたが、2名が事情により出場取りやめ。2名ではチーム編成できないので、今回はチーム出場断念かと危惧されたが、新規のクラブ入会者が参加してくれることになり、何とか3名を確保して、両チームとも3名ずつの最小のチーム編成で大会に臨んだ。

ところが、JPSCの1名が鉄道事故のせいで行きの成田空港発のスイス航空便に乗り遅れてしまって、JPSCチームは出発早々、大変なピンチを迎えた。結局、1日遅れで同選手はブダペストでチームに合流できたので、事なきを得たが、前途多難を予想される遠征旅行となった。

両チームはチューリヒ経由で10月7日夜にブダペスト入りし、都心部のホテルに宿泊。8日と9日はドナウ川をまたぐ鎖橋、王宮広場、温泉、英雄広場、西洋美術館、リスト記念館などブダペスト観光を大いに楽しみながら時差調整した。ハンガリーの個人旅行で困るのは、様々な案内や標識の表記がマジャール語ばかりで、英語表記がほとんどない点だ。マジャール語は文字表記こそアルファベットを使っているが、中央アジアを起源とする独特の言語であり、日本人にはまったく馴染みがない。また英語を解するハンガリー人は少なく意思疎通がなかなか難しい。それでも何とか地図を頼りに観光地巡りにいそしんだ。 


ハンガリー観光が素晴らしいのは物価の安い点だ。折からのリーマンショックがハンガリーを直撃して通貨フォリントは大暴落で1円=2フォリント。並の料理店なら千円も出せば、料理と酒でお腹一杯になる。ちなみに白ワインをグラスで注文して1杯60円ほどだった。もちろん遠征団一行は物価安に便乗して、ハンガリー料理に舌鼓を打ち、高級トカイワインを大いに堪能したことは言うまでもない。

余談になるが、ワインへの造詣の深さで言えば日本で指折りの存在であるJPSCのY博士は日本に輸入されるトカイワインが主に貴腐ワインという事情もあって出発前はトカイワインにはあまり高い評価を与えていなかったが、現地で飲むトカイワインの味は格別だったようで、すっかり惚れ込んでしまわれた。ホテル前の酒屋で購入して味わった白ワインの素晴らしさに感激して、帰国後、早速数ダース個人輸入なさったと聞く。

さてさて、遠征団一行は10日(土)朝、昭和30年代の国鉄上野駅を彷彿とさせるブダペストの西駅を立ち、特急列車に2時間30分揺られて昼前に大会会場のデブレツェンに乗り込んだ。ハンガリー鉄道は広軌で、のどかな中欧の田園地帯を文字通り真っ直ぐ一直線に走る。車両は共産政権時代に製造した旧式気動車だが、揺れもほとんどなく快適な列車の旅を楽しめる。

特急列車は満員だったが、遠征団一行はボックス席を確保して持ち込んだ酒と酒肴で朝から一杯聞し召して皆上機嫌。ハンガリー人乗客からみれば「おかしなアジア人グループが朝から酒盛りでいい気なもんだ」という感じだったろう。ちなみに切符代は安価で、ハンガリーとデブレツェン間の乗車券と特急指定席で往復割引で計5000円ほど。旅行社に頼めば日本国内でも乗車券と特急指定席券を事前に手配できると聞いたが、手数料が切符代の5倍ほども請求されると聞いて取りやめ、到着した翌日の朝一番で西駅まで歩いて往復切符を購入しておいた次第。

デブレツェンはルーマニア国境に近いハンガリー第二の都市。過去に首都になったこともあるという由緒ある都市だが、人口はたかだか20万人程度。会場となったグランドホテルは市の真ん中にある格式の高いホテルで、ホテル前の広大な広場が市民の憩いの場となっている。


霧雨の中、鄙びたデブレツェン駅から大型タクシーでホテルに乗り込んだ遠征団一行は、チェックインを済ませて早速、ホテル2階の大会会場前で選手登録しようとしたが、国際パイプクラブ委員会(CIPC)の理事会出席のため先着していた鈴木達也PCJ名誉会長が全員の登録を済ませて下さっており、準備は万端整っていた。小腹も空いたこともあって広場の前の軽食堂でサンドイッチとビールで腹ごしらえしてから適宜、デブレツェン中心部を散策した。

<続く>
日本パイプクラブ連盟事務局