大会記

大会参加記

「Peter the Great Cup 2009」レポート

ロシアのサンクトペテルブルグで行われたスモーキングコンテストの話。

12月3日成田空港第一ターミナルの搭乗口手前のスモーキングルームで、この先10時間分のニコチンを摂取すべく、私が毎日愛喫している「スタッド・オートマールスム」をジグザグ白で巻上げ燻らせていると、待ち合わせたかの様にパイプ作家の徳富さんが入ってきた。徳富さんとお会いするのは2008年5月のシカゴパイプショー以来だ。数日前にパイプ連盟の鈴木名誉会長より連絡をいただき、徳富さんも行かれることは知っていた。日本からは我々二名のみが参加らしい。

成田発モスクワ行きアエロフロート・ロシア航空584便で飛び立った我々は、約10時間のフライトでモスクワに到着した。税関を通過し国内便に乗り継ぎ、1時間30分でサンクトペテルブルグに無事到着。空港には今回の主催者パイプショップ.RUスタッフのレフが出迎えてくれた。

外に出ると東京よりも明らかに寒いのだが、予想程ではなく氷点下3度位で積雪はない。湿度があるので体感温度は気持ち高めだ。レフの車で30分程走り22時にホテルに到着し、チェックインを済ませた我々は、スカイラウンジで無事の到着を労い、杯を交わした。

12月4日7時起床、外は真っ暗だ。ホテル内で朝食を済ませ、近所を散策しに外に出たがいつまでたっても陽が登らない。10時を過ぎてやっと明るくなり、日本よりも緯度が高いことをあらためて実感した。13時にホテルロビーにて主催者パイプショップ.RU代表のアレクセイ氏と挨拶を交わし、また、アメリカから来たパイプ作家、リー・フォン・エルク氏とも合流。彼とは10月の来日で会ったばかりでの再会だ。倉敷での全日本選手権大会で彼にお目にかかった方も多いのではないだろうか。

ロビーにはパイプスモーカーが大勢いて、昼にもかかわらずウォッカやビールを飲み、おおいに盛り上がっていた。ロビー全体にパイプたばこのバニラフレーバーあり、ラタキアありの煙で凄いことになっていた。

さて、我々は大会を明日に控え、展示するパイプの値段の確認などの準備に取りかかった。
16時には終わり、徳富さん、リーと私の3人で早めの夕食をとることにし、ロシア料理を堪能すべく地元の店に入った。嬉しいことに全てのテーブルに灰皿があり、遠慮なく喫煙できることは、海外出張では稀である。余談だがこの時期、15時には暗くなりはじめ、気温もぐっと下がるのでウォッカがすすむ。

12月5日パイプ大会初日

会場は宿泊と同じAzimuth Hotelの最上階で、スカイラウンジを挟み左が販売ブース、右が競技ブースだ。今回の出展は我々以外にデンマーク、イタリー、ロシアのパイプ作家がブースを構え販売にあたった。当社のブースはメインに「イケバナ」次に新製品で好評の「ツゲ・トッパー」「イースターザ・ローレット」「メタルタンカード」その他煙管と煙管用の小物関連を並べた。

10時にスタートし、各ブースが賑わい始めた。来場者の印象は、まず30歳代から40歳代の壮年層が多いこと。そしてパイプに対する情報、知識がある。これはインターネット普及に起因するものであろう。その証拠にロシアで未発売の「ツゲ・トッパー」や「イースター・ザ・ローレット」の使用法をかなりのスモーカーが理解をしていたからだ。また、ありがたいことに「イケバナ」のブランドも浸透しており、関心を示していた。

もう一つ驚くことがあり、煙管に対する関心が非常に高く、「侍」に憧れの念も持ち、多くの質問を受けたのが印象的だった。

ロシア人は背が高くがっしりしているが、銜えているパイプは比較的小振りなものが多く、シェイプも保守的なものが好まれているようだ。
この日は終日販売ブースに居てロシアのスモーカーと色々話をすることができた。18時に終わり、19時から参加者全員で大きなバスに乗りレストランへ移動し、宴会が始まった。
覚悟はして来たがロシア人は酒豪が多い。この後、私の残る記憶は翌日の朝であった。

12月6日大会2日目

10時から開催なのだが窓の外は真っ暗で、二日酔いと相まって体内時計が機能していない。 コンテスト参加者は心持ち緊張しているようで、笑い声が昨日よりも少ない気がする。14時になりいよいよコンテストが開始だ。ルールは皆さんがよくご存知のCIPCの国際ルールに則ったのもだ。競技パイプは当社製のスムース仕上げのビリヤード。たばこは「ブラックジャック」というドイツのコールハス社が製造するモスクワの小売店オリジナル銘柄である。

参加者56名、内女性8名がクラブ単位でテーブルに着き開始を知らせる鐘が鳴った。着火時は静まり皆真剣そのものだっかが、5分経過以降は笑い声有り、おしゃべり有りの和やかな雰囲気で進められた。今大会チャンピオンの記録は1時間49分52秒。レディス・チャンピオンは 1時間25分で、無事コンテストは終了した。

レディス・チャンピオンパイプは柘製作所の「イケバナ」で、バンブーのチャーチワーデンを特別に製作したものだった。翌日、販売したパイプの清算をし、今回の出張は無事終わった。



帰国して。

ロシアでパイプを楽しむ人など本当にいるのかと思っていたが、間違いであった。パイプやたばこに対する知識も、我々日本のレベルと同じかそれよりも上かもしれない。サンクトペテルブルグという場所が極めてEU圏に近いことも一因なのであろう。パイプ人口の比率は日本よりまだ低いが、これからまだ増えそうな勢いで今後が楽しみである。パイプたばこは当社が扱う銘柄のほとんどを彼らは入手することが可能のようだ。ただ、アメリカ製のパイプたばこは今回見ることができなかった。

街に出て紙巻きのシガレットをリサーチしたが、平均的な価格は輸入銘柄が日本円で1箱100円以下、ロシア製は40円弱で非常に安い。シガレットもアメリカを代表する銘柄はどこにも置いていなかった。

昨日主催者のアレクセイからメールがあり、今回のコンテストが大成功だったことと、来年も同じ時期に開催が決定したとのことだった。

興味のあるパイプ・スモーカーは当社にご一報を!


記録
優勝者:
マキシム・マカリン セントピータースブルパイプクラブ 1時間49分52秒

レディースチャンピオン:
ミセス・マカコバ・スヴェットラナ モスクワ・タバココレギウム 1時間25分

トーナメントは2回目
最初は2003年にセントピータースブルグ300年祭のときに開かれた。

2002年より、年1-2回のペースでコンテストを開いている。
2010年には第3回を開催予定
関連情報(ロシア)
http://fotki.yandex.ru/users/mobi2net/album/90875/
http://www.pipeclub.info/forumipb/index.php?s=49cde4d428ae65e987b1625f151d61ac&act=ST&f=22&t=6488
柘製作所 三井弘司