大会記

大会参加記

第39回全日本パイプスモーキング選手権大会 大会記

日本パイプクラブ連盟(PCJ、梶浦恭生会長)は、平成24年10月28日、鹿児島市内の鹿児島東急インで、第39回全日本パイプスモーキング選手権大会を開催した。その結果、個人戦は矢野初恵さん(パシフィックPSC)が116分33秒の記録で優勝した。PCJ主催・公認大会での婦人の個人戦優勝は初めてで、海外の大会でもほとんど例が無いという。矢野さんは全国選手権大会レディース戦の歴代優勝記録も更新した。団体戦はジョンシルバーPCが287分35秒で接戦を制し、団体戦3連覇。

今回の大会は前回の第38回北海道函館大会と同様に地元鹿児島に現在、パイプクラブがないため、市のイベント誘致に協力する形でPCJが直轄で開催した。今大会の参加者は全国の22クラブなどから163名。うち競技参加者は143名だったが、当日欠席などもあり、競技参加者は最終的に135名(PCJ会員104名、フリー参加者31名)となった。


前日の秋の快晴が嘘のように大会当日は朝から雨模様。桜島から噴き上げる煙が靄いで、見えない。午前10時から受付開始という予告にもかかわらず、前日から鹿児島に乗り込んだ全国の熱心なパイプスモーカーが9時頃から続々と大会会場となった鹿児島東急インに乗り込んできた。混乱を避けるため、PCJ事務局が9時過ぎに繰り上げて受付を開始し、10時頃にはホテル2階の競技会場前のパイプショウを開催するロビーは立錐の余地もないほどの盛況となった。

全国各地のパイプ仲間が年に一度、集まってロングスモーキングの技を競い合い、友情を深めるのが目的の大会とあって、「やあ、お久しぶり」、「お元気ですか」などと久闊を叙す和気藹々の挨拶が交わされ、ロビーは和やかな雰囲気に包まれた。鹿児島で初めて全国大会が開催されるというので、この機会に本格的にパイプに挑戦してみようという方々もパイプ入門教室に詰め掛けて満員御礼だった。

午前11時前に会場のドアを開け放っていよいよ大会開始。計時審判の鹿児島大学農学部の大学院生と学生さんが各テーブルで待機する中、各選手が次々に着席して雰囲気が盛り上がった。梶浦恭生PCJ会長の開会宣言に続いて、中園博揮鹿児島市経済局長が歓迎のご挨拶と鹿児島市の紹介。続いて大会使用たばこ「飛鳥」と使用マッチを提供してくださったJTアイメックスの蒲地光社長が「飛鳥」の製品説明と来賓としての祝辞を述べた。

蒲地社長は鹿児島のご出身だそうで「宿泊したホテルの傍に西郷南洲の像があり、自決後135年を経て像に素晴らしい生花が手向けられているのを見て、胸が熱くなった」「世の中は便利になる一方だが、便利でないものも大切にしなければならない。パイプスモーキングは便利ではなく無駄多きものだが、無駄の多さを楽しむことを考えねばならない。時間の許す、無駄を楽しんで欲しい」と述べて、盛大な拍手を浴びた。

大会使用パイプのデザイン・販売元の春山商事の春山徹郎社長も来賓として挨拶し、製造を委託したブッショカンBCパイプの産地であるフランス・サンクロードの現状を報告、「100年前はパイプ製造会社が80社あり、6000人が働いていたが、今や2社しかない。しかし、昨年、今年とパイプの需要が伸びている」などと述べた。

体調を壊して今大会をやむなく欠場した内田昇PCJ副会長の祝辞披露に続いて、大会名誉審判長をお願いした末広誠JT鹿児島支店長が「鹿児島はたばこにゆかりがあり、古くは明治時代に煙草王と呼ばれて天狗煙草で一世を風靡した岩谷松平は鹿児島の薩摩川内市の出身。民謡鹿児島おはら節で、花は霧島 煙草は国分 燃えて上がるは オハラハー 桜島とあるが、国分は江戸時代から煙草の産地として名高い」などと紹介。「年間1000回以上の噴火を繰り返している桜島にあやかって、盛大にパイプを吹かして紫煙を噴き上げて欲しい」と祝辞を述べて、使用たばこ「飛鳥」のテープカットを行った。

今大会で使用した「飛鳥」は10月21日のPCJ常任理事会で、常任理事が3グラムずつを素早く精密に量って袋づめし、温度湿度一定のたばこ専用の大型ヒュミドールで保管していただけに、湿度は丁度良い状態に保たれていた。
さて、一連のセレモニーが予定より長引き、正午近くなってようやく競技開始となった。平木久也大会審判長がカウントダウンに合せて木槌で鐘を叩いて着火開始だが、「5,4,3,2,1,0、着火」のカウントダウンの筈が、司会者が「1」で「着火」と号令、平木審判長もすかさず鐘を叩いたため、場内から「あれれ…」と怪訝な声が一瞬起きて、失笑も漏れたが、構わずマッチを擦る音が続いて空調を止めた会場は濃厚な紫煙に包まれ、静まり返った。「飛鳥」のラタキアとブラック・キャベンディッシュの芳醇なコクのある香りが立ち込めて素晴らしい。

「飛鳥」は火付きは良いが着火がやや難しい銘柄だが、今回は着火できずにリタイアした方が5名、数分で消えてしまった方が8名もいた。わざわざ鹿児島まで来てさぞや心中無念ではと拝察する。60分を超えたところで、50名が残り、今回は激戦となるかなと思わせたが、大台の100分になったところで残ったのは5名。開催準備で多忙だった大会実行委員長の高橋秀男PCJ常任理事会議長(六本木ローデシアンPC)が103分10秒で4位に食い込んだのはご立派。110分を超したところで、矢野さんと全国大会優勝2回の経験のある強豪の香山雅美氏(岡山PC)の争いとなったが、香山氏が先に手を挙げて「消えた」の合図。大会史上初めての個人戦での婦人チャンピオン誕生で、会場は大きくどよめいた。矢野さんは香山氏の1分後に挙手。消えた段階でボウルの中にはたばこ葉がまだかなり残っていて「もったいない。大記録が狙えたのに」との声も上がった。審判長のパイプ検査にも合格、初の婦人チャンピオンが確定した。

大会終了後は同じ会場で午後2時半から懇親会と表彰式。鈴木達也PCJ名誉会長の乾杯の発声に全員が唱和して賑やかな宴が始まった。成績良好者はご機嫌だが、惜しくも実力を発揮できなかった方は、素直に落胆する方や負け惜しみの方もいらして、いつもながらの悲喜こもごもの思いが漂う宴席。

アトラクションの郷土芸能は、鹿児島出身のPCJ千田彰理事長の縁故の方が登場。まずは薩摩兵児謡と勇壮な和太鼓、続いて鹿児島おはら節などの民謡と踊りが披露されて盛大な拍手。場内が大いに盛り上がったところで、表彰式に移った。

まず団体戦から表彰。1位のジョンシルバーPC、2位のすみだ川PC、3位の千葉PSCに梶浦会長が表彰状と楯、賞品を手渡した。続いて個人戦表彰。矢野初恵さんに梶浦会長より表彰状、記録認定証、チャンピオンパイプが贈呈され、全員が心をこめて祝福した。2位の香山雅美氏、3位の大竹建夫氏(ジョンシルバーPC)と並んでの記念撮影でも盛大な拍手が続いた。

宴たけなわになったところで、いよいよ閉会の挨拶。高橋秀男大会実行委員長が「来年の第40回記念大会は10月6日に東京・浅草で開催します。ぜひご参加を」と呼びかけて閉幕となった。

鹿児島での第39回大会を後援して下さいました日本たばこ産業株式会社様、鹿児島市様、(財)鹿児島観光コンベンション協会様、まことにありがとうございました。大会を協賛して下さいました多くの企業、団体の皆様、この場をお借りして深く感謝申し上げます。

日本パイプクラブ連盟事務局