大会参加記
第14回世界パイプスモーキング選手権大会 後記 |
第14回世界パイプスモーキング選手権大会が10月28日、東京・浅草ビューホテルで開催された。日本での世界大会開催は1976年第3回世界大会、1990年第7回世界大会に続いての3回目の開催であった。今回の世界大会を前日27日のガラディナー(前夜祭)、28日の本戦と振り返ってみたい。
10月27日(土) 午前10時よりCIPC(世界パイプクラブ委員会)の総会が開催され、長年CIPCの副会長を務めた鈴木達也氏が退任し、新たに柘恭三郎氏が後任の副会長に選任された。 4階の受付ではガラディナー、大会の登録がスタートした。また、パイプショーもスタート。当日、同じフロアーでは結婚式も行われており、珍しそうに新郎新婦を見る外国人参加者の姿も見られた。 ガラディナーは午後6時よりスタートした。司会・進行は前年度全国大会に引き続き日本パイプクラブ連盟常任理事・今井龍也氏が務めた。 始めにCIPCコーネリアス・クランス会長より挨拶。今回で退任する鈴木氏にCIPCへの長年の貢献を讃えてクレー・パイプが授与された。また、今回主催の日本パイプクラブ連盟(PCJ)梶浦恭生会長にもクレー・パイプが授与された。 続いて開催国日本を代表して、PCJ梶浦会長の歓迎の挨拶、日本たばこ産業鰹務執行役員前田四郎治氏のスピーチを頂いた。 今回の通訳は急遽スロバキアのミハイル氏にお願いした。ミハイル氏は現在海外在住だが父親がスロバキア・チームで来日するのに合わせて来日していた。そのことも背景にあり、見事な通訳であった。 挨拶が終えたところで、三名は半纏を羽織って鏡開き、前田常務の音頭で日本、開催地東京ならではの地酒、石川酒造「多満自慢」の升酒での乾杯で前夜祭はスタートした。
同時に浅草を代表して、世志凡太と浅草ハッピー連の歌と踊りの披露があった。 会食がスタート、寿司、蕎麦の屋台には外国人も並び舌鼓をうっていた。また、会場には多くのバーテンダーが集合し、銀座BAR武蔵・甲田店長によりサントリー提供の「ROKU」や日本が世界に誇る「サントリーオールド」「サントリー角」を使ったオリジナルカクテルが用意された。世界の洋酒を取り扱う武蔵屋テイスティングコーナーではラム酒なども豊富に用意されこれらも武蔵屋小林氏、新橋BAR・TO越智氏のヘルプを借りてふるまわれた。
これら酒類のサービスは欧州の祭事には基本的なことで世界大会に相応しく、なかでもスペイン本国から正式にベネンシアドールの資格を持つ中瀬航也氏の手によりシェリー等がふるまわれるなど国際大会に相応しいものだった。 食事も進んだところで、本大会使用タバコ「飛鳥」の説明を日本たばこアイメックス株式会社新井 慎一郎代表取締役社長より英語で行われた。会場の半数は海外の参加者でまさに国際大会、説明も日本人参加者は飛鳥のことは知っているので英語での説明であった。大会使用パイプの説明は柘製作所柘恭三郎恭三郎代表取締役社長から行われた。続いて、香港パイプスモーキングクラブPao Ping Wing会長よりのスピーチ、Pao会長より今回退任する鈴木前副会長に長年の活動に「亜洲煙斗文化教父」と書かれた掛け軸が贈呈された。 会場の浅草ビューホテルは、かつて国際劇場というエンタテインメントの殿堂があったところ。浅草が生んだトップダンサー雅麗華による華麗なる舞踊が舞台を彩った。 見事な舞踏の後は、バーレスクショーのTAMAYOによるジャズの調べ。見事なボーカルとバックバンドの演奏で会場では多くの外国人参加者が自然に踊り始めた。
会場では、25の国と地域の人々が和やかにパイプを燻らせながら交流を深めた。 いつまでも続けていたい前夜祭だが、明日は大会、三本締めでお開きとなった。
10月28日(日) 早朝より、GRT、JPSCのメンバーが集合テーブルセッティングをスタートさせる。出場選手名の入った用紙を所定の位置にセット。灰皿、マッチ、水を配り。パイプを各テーブルごとにまとめて置く。 受付もスタンバイ、パイプショーもスタートする。計時審判講習もスタートする。今回は出場者が300名ほどになるのでテーブル数も多く、計時審判員が多数必要、中でも英語対応の計測員も手配していた。当初心配していた外国人選手の登録は全て終了した。 12時30分、出場者はそれぞれのテーブルに着席した。当日不参加者等のチェックも終了、大会にゴーサインが出た。競技参加者は296名である。 審判席にはコーネリアスCIPC会長、梶浦PCJ会長、柘CIPC副会長,鈴木前CIPC副会長、ルーマニアパイプクラブ連盟のMihai Andrei Petrisor会長の五名が並んだ。司会・進行は前夜のガラディナーと同じく今井氏が務めた。 梶浦PCJ会長の挨拶で会がスタートした。 ところで、この日はチェコスロバキアの建国100周年の記念日。現在はチェコとスロバキアと二か国に分かれているが、チェコスロバキアの国歌を歌いたいという要望が急遽あった。今大会にはチェコとスロバキアと二か国が出場しているが、仲が悪いわけではない。
大会は進む。 使用パイプが各競技者に配布される。使用タバコの「飛鳥」が各テーブルに配布される。競技開始を前に、見学者が退去する。 国の栄誉を担った団体戦に参加するのは16か国、それぞれのチームは審判席に近い前のテーブルに着席して開始を待っている。 コーネリアス会長のゴングで競技が開始した。 通常の全日本大会と異なり、30分を過ぎても230名が残っている、なかなか落ちない。1時間を過ぎても100名ほどがまだ競技中である。
パイプショーには多くの人が集まった。部屋によっては外国人比率が高く、まるでヨーロッパに旅行に行っているようだという声も耳にした。 見学者も入り、競技は後半戦へ80分越えは40数名、90分越えは20数名となった。そして100分を越えると残りは10数名。世界大会は全日本と異なり表彰は上位入賞者のみ、そのため入賞できないと判ると、途中で帰る競技者もいた。 110分を越えたのは6名と絞られてきた。ロシア、ハンガリー、日本の3名が落ちて残りは3名、ベストスリーである。125分でスペインのAntoni Pascual氏が終了、残ったのはオーストリアのWerner Dobnig氏と日本の内藤慧氏の二名となった。そして、130分でDobnig氏が終了した。残るは内藤氏ただ一人、彼のテーブルが各国のカメラマンに囲まれる。 147分で内藤氏が終え、パイプチェックも無事終了。第14回世界パイプスモーキング選手権大会の若きチャンピョン誕生となった。 続いて表彰式に移った。国別団体戦は日本チーム(藤原長一、片岡義雄、中田守之、香山雅美、小川英児)が優勝。レディスチャンピョンは植草羊(ジョンシルバー・パイプクラブ)。そして個人優勝には内藤慧(西東京煙管愛好者倶楽部)と日本の完全優勝となった。 今大会特筆すべきはオーストリアのDobnig夫妻の活躍であった。ご主人は個人第2位、奥様はレディス3位、夫妻の活躍でオーストリアは団体戦3位の好成績を修めた。 Konstantin Shekita氏が登壇して、来年(2019年)ウクライナで開催される国際大会の説明があった。 最後は恒例の三本締めで、世界大会は終了した。 世界大会が無事終了した。 世界大会の日本開催が決定されてから多くの連盟会員の協力、努力の結果無事に終わることができた。 そして、この大会に賛同してくれた企業の方々の協力がなければ実施は不可能であった。 これから、パイプスモーカーにとっては試練の時を迎えることになるが、世界にはパイプを愛するスモーカー達がこんなにたくさんいるのだ、そのことは実感できたのではないだろうか。 青羽芳裕
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