大会記

大会参加記

第45回全日本パイプスモーキング選手権大会後記

第45回全日本パイプスモーキング選手権大会が9月29日(日)に仙台市の江陽グランドホテルで開催された。昨年は第14回世界大会を東京・淺草で開催のため、全日本選手権大会は開催しなかったことから、2年ぶりの大会となった。

仙台で全国大会が開催されるのは2度目である。1回目は1983年だったので、実に四半世紀ぶりの大会である。会場の江陽グランドホテルは写真館から創業し、結婚式場からシティホテルに発展した。創業者の思い入れがある素晴らしい会場である。1階玄関を入ると西洋甲冑が出迎え、フロント横にはメアシャムパイプのコレクションが展示されている。2階には今やワシントン条約で展示も難しくなってきた象牙の見事な彫刻が多数並んでいる。会場の大宴会場の鳳凰の間の壁面を飾る金色の装飾、高い天井の煌めくシャンデリアなど訪問者を和ませるホテルである。

コンテストの出場者は135名(会員123名、フリー12名。フリーには中国からの参加者3名も含まれている。団体戦に参加したクラブは19クラブだった。更に、役員、パイプショウ出展者、計時審判員、世話係の方々など200名強のパイプ愛好家が集まり盛大な大会となった。



コンテストの使用たばこは、世界大会のためにこのところ数回使った飛鳥ではなく、「マクバーレンのオリジナルチョイス」が選ばれた。アイメックスの新井社長がたばこ紹介の際、「燃えやすいから慎重に」との注意があった。



大会競技パイプは主催者の宮城パイプスモーカーズクラブの肝いりで、一般にみられるビリヤード型より少し長めでマウスピースが若干ベントしているプリンスに近いシェープで、仙台の杜の色のグリーンで仕上げたエレガントなパイプ。ボウルがステムから直立しており、CIPCの競技規則にも適合している。

定刻になり開会冒頭のセレモニーでパイプクラブ連盟梶浦会長、名誉審判長JT東北支社重芳社会環境・CRM推進部長がいずれも「規制強化による暗雲をパイプを噴き上げ、振り払おう」と挨拶した。 選手宣誓は昨年の世界大会で見事に優勝した内藤慧(西東京煙管愛好者倶楽部)さんが行った。選手宣誓が終わり、5分間のたばこ詰めタイムに。3グラムのたばこをまずほぐす。さらに細かくちぎる人もいる。詰め方次第で競技時間が左右されると言われ、皆それぞれ“秘伝の詰め方”で慎重に詰めていた。


審判長のゴングの合図で一斉に着火、いつもながらの光景で、エアコンを止めた会場は2本のマッチでつけられた煙が充満し、ステージからよく見渡せない状況である。5分の着火危険タイムが過ぎるとエアコンが動き始めた。競技者の立ち昇る煙は既に落ちついおり、細い煙に変わっていく。


今回も着火ミスが4人、10分で7人が消えた。着火、立ち上がりは結構難しいものなのかもしれない。50分経過すると63名が消え、ほぼ半数がリタイアした。中国からの参加者3人は善戦し、48分、56分、64分を記録した。

リタイアする人が増え、80分で残すところ19名となった。これからが結構長い。90分を過ぎ残りは9人に、レディースが1名残っている。98分25秒で3位となった岡山PCの藤原秀樹さんがリタイア、100分の大台を越えたのは2選手、111分55秒でジョンシルバーPCの大曽根宏安さんが2位に。残るは1名、無人の境地を行くように喫い続け、127分47分でベーカーストリートPCの後藤久雄さんが栄冠を射止めた。レディース戦はジョンシルバーPCの井上小夜子さんが96分32秒の好記録で優勝した。団体戦は2名の上位入賞者を出したジョンシルバーPCが第1位、第2位に日本パイプスモーカーズクラブ、第3位にGun Room of Tokyoが入った。




戦いが終わり、表彰式の会場準備の小休止に入った。参加者は隣室で併設されているパイプショウの即売展示を見て回り、パイプや喫煙グッズ、たばこなどなど普段は見ることが少ない品を手に入れたりしていた。



主催者の宮城パイプスモーカーズクラブの佐々木会長の音頭で乾杯、パーティが始まった。暫く歓談したのち余興の時間、杜の都仙台の伝統の舞「すずめ踊り」が始まった。お囃子に乗って舞台いっぱいを跳ね回る踊りは見ていても楽しい。そのうち司会者の声かけで参加者も踊りに加わりますます興が高まった。


表彰式に移り団体戦、レディース戦、個人戦の表彰があった。続いて特別表彰の部に移り、数々の楽しい賞品が多くの人に渡された。 かくして最後に参加者全員が記念撮影に収まり、第45回大会は賑やかに楽しく終了した。

今回の大会を主催したのは宮城パイプスモーカーズクラブである。クラブは2015年3月に発足した新興のクラブである。会員はクラブ名の通り仙台だけではなく宮城県一円から集まって熱心に活動されている。今回の大会用に1613年に派遣された支倉常長が乗ったガレオン船サン・ファン・バウティスタ号のシルエットを配したプログラムやポスターを作成。パイプスモーキングには「人と人をつなぐ力」、「異文化をつなぐ力」があることを感じ、一方では洒落者のあの伊達政宗に思いをはせつつ大会を準備したという。

宮城パイプスモーカーズクラブの皆さんの暖かいホスピタリティ、そして大会を盛り上げてくださった参加者の皆さんに感謝いたします。

日本パイプクラブ連盟事務局