大会記

大会参加記

ポルトガル・パイプスモーキング世界選手権大会参戦記

10月10日にポルトガルのリゾート、エストリルで開催したパイプスモーキングの世界選手権大会にJPSCチームの一員として参戦してきました。

エストリルは首都リスボン中心地から約30キロメートル、鈍行列車で40分の距離にあるポルトガルきってのリゾートです。大西洋岸に近いため10月でも半袖で過ごせる温暖な保養地で、カジノホテルを中心に高級ホテルが林立しています。外国人の保養客が多いと聞きました。

世界選手権大会は4年に一度開催。国別の対抗戦と個人戦があります。今次大会は、エストリルの中心にあるカジノホテルの宴会場を借りて行われました。

日本からはJPSCのほかに、山形霞城PC,岡山PC,六本木ローデシアンPC、ジョンシルバーPC,金沢PCなどから合計25名のパイプ喫煙愛好家が参戦、世界中から集まった285名の中で、日頃培ったロングスモーキングの技を競い合いました。

リスボンから、シントラー、ロカ岬など景勝地を列車とバスを乗り継ぎながら周遊して9日夕方にエストリルに入り、最終参加登録。宴会場横の控え室で催されているパイプショウは、数多くのパイプメーカー、タバコメーカーが出品してとても賑わっていました。日本では買えない珍しいパイプタバコをいくつか買っているうちに、夜は歓迎のガラディナー。

ガラディナーは予定時刻を大幅に過ぎて始まりました。

世界選手権大会やワールドカップのガラディナーは、毎回、主催国のパイプクラブが、食事の後は様々な地元の民族舞踊や歌などを手作りで披露し、楽団が入っての舞踏会も催され、深夜まで世界中のパイプ仲間が大いに交歓して楽しいものですが、今回は、主催者のポルトガルパイプクラブ連盟がカジノホテルに運営を丸投げしたようで、ポルトガル料理の食事の後は、宴会場で一般客と一緒にホテル主催の踊りと歌のショーを観劇するという内容でした。

カジノホテルの都合で、一般客も混じっての観劇とあって、宴会場は信じられないことに全面禁煙。パイプ仲間が集うガラディナーとしてはありえない運営で、食後の一服を愉しみたい愛煙家はぽつぽつとパイプを手に持って退席して帰ってきません。歌と踊りのショーはポルトガルの歌謡曲ファドの歴史をたどる、とても華やかな内容でしたが、残念ながらアンプのボリュームを最大レベルにした耳を聾する大音量。ホテルなりの顧客サービスのつもりなのかもしれませんが、時差呆けで睡魔に襲われた我々JPSCのメンバーは眠気覚ましの一服を愉しみたく早々に退出しました。

余談ですが、面白かったのは、妙齢の飛び切りのポルトガル美女が大きなカメラを持って食卓を回り、ガラディナー参加者の写真を次々に撮ってくれたことです。満面の素敵な笑みをこぼしながら、参加者個人個人に居住まいを正すようポーズを求めるので、「ポルトガルパイプクラブ連盟も味なことをする。後で記念写真に贈呈してくれるのかな」と日本人らしい甘いことを考えたら、やっぱり勘違い。

そのポルトガル美女はしばらくして出来上がった写真を持ってきて1枚10ユーロで買えと催促。気の弱い人や、お金があり余っている人がちらほらと買っていました。日本でも観光地には写真屋さんがいて、頼めば写真を撮ってくれますが、頼みもしないのに撮ってくれるとは素敵なホスピタリティ精神だと感じ入りました。

華麗なるショーを抜け出してゆっくりと一服した後、カジノに乗り込んで、みんなで荒稼ぎしようかと考えましたが、カジノを事前偵察してきたカジノ通のJPSC仲間の話では、外国人観光客をカモにする田舎のボッタクリカジノの類で、客はまばらで閑散としているとか。けしからんことにカジノは全面禁煙だそうで、そんな子供向けのゲームセンターまがいのところでは博奕の愉しみも大いに興を削がれますから、豪雨の中をタクシーでリスボンのホテルへ皆で帰りました。

ものは考えようで、大会本番前に、宴会やカジノで夜更かしせずに、じっくり睡眠を取って鋭気を養えたわけです。カジノホテルの素敵な配慮とホスピタリティーに感謝。

翌10日はいよいよ大会です。リスボン、エストリルなどのポルトガル南部は猫の目のように天気が変わりますが、朝から快晴。昼前に乗り込んで、会場近くのレストランで蟹や貝のシーフード料理を満喫しました。店構えからしてなかなかの店でしたが、料理は美味しく、サービスも上々、おまけにとてもリーズナブルな値段だったので、ポルトガルへの好感度はますます上がりました。

ラテンのお国柄ですので、どうせ開場は遅れるだろうと思って、入場時刻の午後1時半は無視して競技開始時刻の午後2時半近くまでレストランでゆっくりと食事。悠然と遅刻気味に乗り込んだつもりでしたが、着いてみると大勢の参加者が場内に入れず、パイプショウが開催されている隣の控え室で、わいわい騒いでいました。立錐の余地もないという混雑振りです。

どうやら会場の準備が整っていなかったらしく、待ちくたびれたドイツやスイスの几帳面なパイプスモーカー連がぶつくさと何やら文句を言っています。一方、世界記録保持者のイタリアのルスカーラ氏は、控え室の外で不貞寝のパフォーマンスを見せて、余裕綽々といった感じ。郷に入っては郷に従えで、この余裕が大切です。

小一時間ほど待たされましたが、何とか準備が整ったようでようやく開場。例によって英語、フランス語、ポルトガル語でいろいろと挨拶や国際ルールの再確認があって、競技の開始は4時近く。

JPSCチームの4名は、会場外の暑い陽射しの中で立って待っていたこともあって、競技開始の頃には汗をかいて喉はからから。パイプを吸うよりも、まず、水を一杯所望したいという心境。

そんなこともあって、私は着火失敗に近い状況で7分余りで火が消えて、早々に退場。他のメンバーも普段の実力を発揮できないままに終わりました。実力通りと言えば、その通りで、返す言葉もありません。月並みですが、アウェーの土地に乗り込んで競技をする厳しさを改めて噛み締めた次第。

日本選手団は岡山PCのF選手、ジョンシルバーのT選手が健闘しました。

強かったのはイタリアチーム。聞くところによると、イタリア国内でクラブ間の対抗戦が白熱しており、有力選手は寝食を忘れて日々練習に励んでいるとのことで、世界記録保持者のルスカーラ氏が実力を発揮して堂々の優勝。2、3位もイタリア勢が占めるなど圧倒的な成績でした。

大会の公式記録は以下の通りです。ご参照ください。

NATIONAL TEAM RANKING

INDIVIDUAL RANKING

FEMININA RANKING

散々な成績でしたが、ポルトガル最後の夜は反省会と称してリスボンのシーフード店に乗り込んで、心行くまで反省。ポルトガル国民の温和で親切な国民性に触れ、美味しい料理も堪能して、楽しい気分で無事帰国しました。

終わり

JPSC Booby Pipeman