大会記

大会参加記

第37回全日本パイプスモーキング選手権大会 大会記

第37回全日本パイプスモーキング選手権大会(日本パイプクラブ連盟主催、日本たばこ産業株式会社後援)が平成22年11月14日(日)、午前11時から、茨城県土浦市内のホテルマロウド筑波で盛大に開催された。大会には全国各地から211名のパイプ喫煙愛好家が馳せ参じ、競技に175名が参加して日頃培ったロングスモーキングの技を競い合った。その結果、すみだ川PCの藤原長一氏が110分47秒で個人優勝、団体の部はジョンシルバーPCが288分23秒で優勝。レディースの部門はパシフィックパイプスモーカーズクラブの矢野初恵さんが98分38秒で見事栄冠を勝ち得た。

併設のパイプショウにもパイプメーカー、たばこ会社、パイプ作家など22団体・個人が軒を並べ大いに賑わった。また初心者を対象としたパイプ喫い方入門教室も午前と午後の2回開催したが、約50名の参加者があり、教室が満員となる盛況ぶりだった。今年10月のタバコ大幅値上げを受けて、シガレット派がパイプや煙管、手巻きタバコに転向しているというが、パイプへの関心が一段と高まっていることを窺わせた。

今回大会の実行クラブは水戸JCブライヤーズクラブ。今回は日程の都合で土浦市での開催となったが、たまたま今年は土浦市の市制施行70周年とあって、自らも愛煙家とおっしゃる中川清土浦市長がご多忙の中、来賓として駆けつけて下さり、全国から集まったパイプスモーカーに歓迎の辞と土浦市紹介のスピーチをして盛大な拍手を浴びた。

今回大会は遠隔地からの参加者の帰途の交通事情に配慮して、午前10時から参加者の受け付けを開始した。このため、水戸JCブライヤーズクラブの会員と日本パイプクラブ連盟役員らは前日昼に集合して泊りがけで大会の準備に取り組んだ。遠隔地からの参加者も前泊した方が多く、朝のホテルのレストランは顔なじみのパイプクラブの面々ばかり。受付時刻の1時間以上前から全国各地のパイプ仲間が会場に顔を出して久闊を叙すなど、いつもながらの仲間内の和気藹々とした雰囲気に包まれた。

11時過ぎに開会。司会進行役はベテランの大森常任理事。田中連盟会長の主催者挨拶、来賓の土浦市長の歓迎スピーチ。名誉審判長のJT水戸支店長のご祝辞、使用タバコ提供の日本たばこアイメックス社長の製品ご紹介、使用パイプ製作の柘製作所会長のパイプご紹介などが、参加者の盛大な拍手の中、滞りなく進み、いよいよ梶浦審判長のゴングで競技が始まった。今年の使用タバコはビッグホーンU。火付きが良いようで、着火ミスは例年の大会と比較して少なかったようだ。

着火後5分経過、会場が濛々たる煙に包まれたところで、空調を入れて真剣勝負のモードに入った。広大な競技会場は私語も無く静まり返り、競技選手は皆、自らのパイプの燃え具合に集中している。司会者が張り詰めた雰囲気を和らげようと、過去の大会の優勝者の名前を紹介したりしてあれこれ話題を提供するが、拍手も少ない。年に一回の全日本大会とあって、今年こそは満足の行く結果を残そうと、皆、一生懸命に喫っている。見ると壇上の来賓席の中川土浦市長も熱心にパイプを燻らしておられる。

10分経過して、卓上の水が飲めるようになってから、あちらこちらのテーブルでぽつぽつとおしゃべりが始まり、ようやく会場の雰囲気も和んできた。とはいえ、火が消えてしまった選手はまだ少ない。30分ほど経過するとあちこちのテーブルで消えた選手が淡々と一礼して離席するシーンが増えてきたが、八割以上の選手が黙々と喫い続けている。

司会者から着火後1時間が経過したとのアナウンス。見回すと空席がぼちぼち目立つが、これからが勝負の本番と精神集中する選手ばかり。80分を超したところで残りは30名ほどに絞られた。90分を前にして有力選手が次々に席を立つ。残り10名になったところで、暫定10位以内の選手は終了後にパイプチェックをするとのアナウンス。一昨年の大会でレディース優勝した矢野選手が健闘しているのが目立つが、100分の大台を前に惜しくも消えた。残りは強豪ぞろいだが、最後に残った藤原選手が110分を超えて消えたところでギャラリーから盛大な拍手が起こった。梶浦審判長によるパイプチェックも全員問題なしで、選手権大会は目出度く終了した。

場外では、顔なじみの間で「何分だった?」「残念だったね」などの挨拶が飛び交い、いつもながらの悲喜こもごもの雰囲気。早々に消えてしまった選手たちがロビーで開催中のパイプショウを覗いて、冷やかしている。厳しいデフレの時代とあって高級パイプの売れ行きは今一つだったようだが、わざわざ韓国から訪れたパイプファンが結構、購入したそうだ。聞くところでは韓国では目下、パイプブームだそうで、日本の有名パイプ作家のパイプや日本製パイプの売れ行きが好調という。日本パイプクラブ連盟のホームページも韓国からのアクセスが増えている。

浦和PC会長の大久保会長、ジョンシルバーPCの佐久間会長が手取り足とり、ジョークも交えて楽しく教える無料のパイプ入門教室も、参加者が会場に入りきれないほどの盛況ぶり。パイプを始めて手に取るという人たちが熱心に両ベテランの指導を受けて喫っていた。


表彰式と懇親パーティーが始まった。パイプ界の重鎮、内田PCJ副会長(千葉PSC会長)が、開会のスピーチと乾杯の音頭をとった。内田氏からスピーチ原稿を頂いたので、全文を紹介したい。


サクラ 烈風の中咲き 季節をつくる
パイプ 自然を友に 人生をつくる
素晴らしい第37回大会は終了した
無口の植物たちの様に 私たちパイプ煙草愛好者たちは
今、 その無口の時代の中にある
しかし日本パイプクラブ連盟の主催する全日本パイプスモーキング選手権大会は
全国のパイプ仲間が寄り集い 心を開き 希望に燃える心をパイプに託す
大指揮者フルトヴェングラーは「人間的感動というものは人間の内部にあるのではなくて、人と人との間にあるものだ」と云った
水戸JCブライヤーズパイプクラブを軸にこの大会は「神無月 パイプ仲間は 土浦に」をスローガンに 仲間の絆を確かめる大会となった
雑草は踏まれるごとに強くなるの精神で この大会を大発展のスタートとしたい
昭和36年、1961年2月 全国紙1面広告の開高健の名コピー「人間らしくやりたいな トリスを飲んで人間らしくやりたいな 人間だからな」の標語ではないが、我ら仲間は「人間らしくやりたいな パイプ燻らし人間らしくやりたいな 人間だからな」と皆で唱和し
さあ 自由な人生づくりの道を
パイプ仲間たちよ 歩もう
連盟大発展とパイプ仲間のそれぞれの人生を乾杯しよう

内田副会長の音頭に、全員が高らかに唱和して乾杯、盛大な懇親パーティーが始まった。冒頭のアトラクションはハワイのフラダンスショー。地元茨城県でフラダンスを習う娘さんたちが、壇上に勢ぞろいしてハワイの民族衣装で様々なダンスを踊って、場内から歓声と盛大な拍手が続いた。参加者有志が壇上に上がって即席でフラダンスを習う趣向もあり、大いに盛り上がった。

円卓上に次々に運ばれる料理は茨城県産の食材のみを材料にした手の凝った中華料理。元ホテルマンの大森常任理事がホテルの総料理長と智恵を絞ったものだそうで、美酒美餐に舌鼓を打ちながら歓談するうちに、いよいよ成績発表と表彰式が始まった。

今回は水戸JCブライヤーズクラブの大金会長以下会員の皆さんが、日頃の人脈を駆使してたくさんの豪華賞品を集めた。またパイプメーカー、タバコ会社、飲料メーカーからも多くの賞品が寄せられた。競技参加者には笠間焼きのタンパー、ツェッペリンカレーなどの参加賞を満遍なく事前配布。茨城県の養鶏場提供の生卵が提供され、レディース選手全員が特別賞としてもらって満面の笑みだった。

大金会長差し入れの甕入り栗焼酎、大甕紹興酒などで興が盛り上がる中、午後4時半過ぎに懇親パーティーは盛況のうちに閉幕した。

実行クラブの水戸JCブライヤーズクラブの皆様、後援していただいた日本たばこ産業株式会社をはじめ多くのたばこ関連業界の皆様、パイプメーカーの皆様、また豪華な賞品、素敵な賞品を提供して協賛して頂いた皆様方に、心から厚く御礼申し上げます。

来年は北海道・函館市で第38回大会を開催します。全国選手権大会を北海道で開催するのは初めてです。全国のパイプ仲間の皆さん、振るってご参加下さい。

日本パイプクラブ連盟事務局